木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ゲームを普及するために

以前、どなただったかが

「せっかくMリーグが出来て、麻雀がこれから普及しようとしている。麻雀を打つ人にとって、麻雀が普及することは良いことなんだから、喧嘩したりせずにMリーグに協力しましょうよ」

という趣旨の内容のツイートがそれなりの数RTされてて、自分も目にしました。

その時思ったのです。

 

「その思想には賛成するんだけど、そういう呼びかけは残念ながら実を結ぶことはないよ」

と。そこについて、自分が思うことを書きたいと思います。主に麻雀を想定して書きますが、これは他のゲームについても全く同じことが言えるはずです。

 

まず大前提として、自分は自分が好きなゲームをやる人が増えたら嬉しいと素直に思います。そのツイートを書いた人も同様です。

しかし、

「普及したら嬉しいとは思わない」

「むしろ普及してほしくない」

という人も多々いるんだと言うことに気づかないと、普及させる上で足かせになると思うのです。

 

まず、麻雀をここから更に普及させるためには、現行のMリーグのように、クリーンさを売りにしていくしかないです。しかし、麻雀は小博打であって賭けないと面白くないと思う人はかなりいます。そういう人に、クリーンさこそが大切なのだと言ったところで、協力してもらうのは不可能です。

ゲームに限らず、自分の基本的なスタンスとして「価値観の押しつけ」は良くないというものがあります。普及させたい、そのためにはクリーンであるべき、というのは一つの価値観であって、小博打として楽しみたいというのも一つの価値観です。価値観が違う人をどんなに説得しようとも、それは無理です。

また、普及すると、

「お山の大将」

となることが難しくなります。お山の大将の立場って美味しいですからね。そういう人も、普及すると損をする人です。

 

ではどうすべきか。

 

kihara-poker.hatenablog.com

以前も別のテーマで書きましたが、普及させるということは、まだ麻雀をやっていない人に如何に興味を持ってもらうか、それが何より大切です。

そういう人に対して、麻雀はクリーンで有るべきか、小博打で有るべきかというような議論を見せること自体が、普及の足かせになるのです。

クリーンだクリーンじゃない、そういう次元ではなく、

「麻雀とはMリーグのようなものを指すのだ」

と思わせること。それこそが大切だと思うのです。

将棋がそうでした。自分が産まれる前は、将棋はお金を賭けてやるのが普通だった時代がありましたし、みんながタバコを当然のように吸っている時代もありました。

しかし、今は将棋といえば羽生さん藤井さんのイメージになってます。

「将棋でお金を賭ける?将棋を指してる最中にタバコを吸う?そんなわけないでしょ!」

あたかもそれが昔から当然であったかのように今は思われていますよね。少なくても一般には。

今は麻雀もそこを目指すべきなんじゃないかなと思うのです。

 

じゃあどうすべきか。

それは、価値観が違う人を説得することではなく、このMリーグの熱狂と議論から「排除」すること。

小博打として麻雀を打っている人は、別のゲームをやっていると思ってそういうグループにそのままいてもらう。他方で、Mリーグを盛り上げたい人は盛り上げたい人たちで盛り上がるのです。お山の大将でいたい人は、もっと積極的に邪魔をしてくるでしょう。

多いとは言えない麻雀愛好家だから、少しでも数を確保したいのは分かります。でも、長期的に普及させたいなら、協力を呼びかけるのではなく、しっかり分断して排除することこそ、普及への近道だと思うのです。

 

 

Higashiさんの問題に対する回答

 

この問題、面白かったのでRTしました。

アンケートの結果は、なんと完全に分かれましたね。

それで、Higashiさんの解説をみんなが待っていたのですが、なかなか解説が出てこないので自分が書いてしまいますw

 

これ、正解は確実に

「小さくなる」

だと思います。

例えばQT7sshというボードだとすると、普通のNLHEだとAAやKKを持っていても嫌なターン以降のカードはたくさんありますよね。

一方、このルールならQTと77位しか無いです。もしかしたらQ7sとT7sもかな。

そして、それらはリバーまで一切逆転されません。なので、普通のNLHEにおける、ドライボードのトップセットのようなものです。それがこちらにだけ一方的にたくさん存在するのです。

フロップで勝敗は決まっている。にもかかわらず、ベットは3回。

これだと、トップレンジをたくさん持っているオープンした側の期待値が非常に高くなるのですね。トップレンジで荒稼ぎできます。

トップレンジで荒稼ぎできるなら、弱いハンドでもブラフが効くということです。

 

仮にターンとリバーでポットべットすると仮定して、リバーから逆算してみましょう。

リバーまで躊躇なくべットできるナッツ級と言えるこちらのハンドは

QQ、TT、77、QT、Q7、T7、AA、KK、AQ、KQ

くらいかな。

3+3+3+9+9+9+6+6+12+12=72コンボ。

リバーで2対1で混ぜてポットベットをすると、72:36なので、足して108コンボ。

ターンで2対1で混ぜてポットベットをすると、108:54なので162コンボ。

実際は72コンボしかモンスターは無いのに、162コンボもモンスターがあると同様になってしまうのです。

コンボの計算に出ているカードを除いたものを考えているので、全体のレンジは49×48/2=1176コンボ。ボタンのオープンレンジをルース目に45%とすると、529コンボ。

529コンボのうち、相手が仮にQJを持っていてもターンでフォールドしてもコールしても期待値が同じというハンドが162コンボもあるのです。

更に、ボタンに200%べットという選択肢があるのなら、

72:48なので120コンボ。

120:80なので200コンボ。

QJで降りるかどうかのコンボが200もあるのです。

 

そうなると、相手はQJでレイズするのは本当に難しいです。

QJでレイズができないのなら、他のQxやTx、JJなどでフロップはバリューベットをうち、これらはターンでベットするかしないかをコールされた後に考えるハンドに回せるでしょう。つまり、フロップでバリューベットを打てるコンボ数が鬼のように多いのです。それならば、エアーの時にリスク小さく降ろすために、小さいべットをする方が良いのです。

 

ただまあ、このボードはこのルールだとオリジナルレイザーに有利すぎて、多分大きく打っても小さく打っても殆ど変わらないものだと思います。フロップでQ以外は、小さく打たれても大きく打たれても、結局殆ど降りざるを得ない。

 

では

876

のようなフロップを考えます。

今度はストレートも2ペアもどちらにもあります。

こういうボードなら、J9のようなハンドで小さく打って、AハイやKハイ等を降ろすメリットは非常に大きいでしょう。

2ペアは相当降りないけど、実は89とか79のように、ターンリバーが存在するなら強いハンドは価値が激減しているのです。

小さく打って降ろせる範囲が非常に広いので、より効率よくフロップでブラフをしたい。そのために小さなサイズを選び、そこで生き残ったレンジに対してターン以降はこちらも選んだレンジを使って大きくベットをしていくという展開になると思います。

 

 

まあ、色々書きましたが、逆転が薄いボードにおいては、最後のストリートで大きく打つことを見越して、最初のストリートでトップレンジを多く持つ側が広く小さく打つというのが非常に強力になるのです。

 

 

 

*10/8追記

「平均的なべットサイズ」

と問題にあったけど、自分は「べットサイズ」という言葉からフロップのべットサイズに限定して回答してました。

でもこれ、ターンやリバーまで含めた平均的なポットサイズ(=それ以降まで含めたべットサイズの合計)の話なのでしょうかね。もしそうなら、なんとも言えないが回答になりますし、リバーでショウダウンになったときの平均的なポットサイズ なら、大きくなるという回答になります。

 

*10/8追記パート2

QT7ボードで、QJがレイズするのが難しいなら、フロップで大きくベットするほうが正しい可能性もかなりありそうだと感じました。

レイズが来ないなら大きく、というセオリーですね。

一方で、876ボードならかなりレイズがあるので小さく。一方でドローが無いので、通常のNLHEだとよりワンペアに強烈なプレッシャーを与える事ができるので広くべットはできる(なので通常より小さめ)とも思います。

麻雀最強戦を振り返って

今日は麻雀最強戦に呼んでいただきました。

結果は既報の通り一回戦敗退・・・

 

一番最初の局、南家で手牌が

1233一五九⑥⑥⑨西南白中 ドラ④

8種あります。端ハイから切っていったら、すごくいい感じに入って8巡目にカンチャンと両面のイーシャンテンで先行リーチを受けるという展開になる可能性が高いです。

それなら、国士とチャンタホンイツを天秤にかけて、15順目にテンパイを目指し、安牌を確保しながら打つのがあまりに自然な打牌だと思います。独創的と言われたけど、流石にここから⑥を切るのはMリーガーに聞いたらマジョリティだと自分は思うのですが。

 

東4局。

ドラは六

6順目に456七⑤⑥⑥⑦⑦⑧⑨⑨⑨の仮テン。

8順目に6sを引き、リーチを迷いますが、6sが既に広瀬さんに切られているので自重。

9順目に③

ここで、広瀬さんの2巡目が①、須貝さんの2順目が②、剱持さんの4順目が②

非常に③の場況が良かったのです。

また、直前に剱持さんがツモった八が見えてしまいます。

そこで、上がりやすそうな③に待ちをチェンジ。

したのですが、手替わり待ちでダマを選択したのが、結果論ではなく今日の一番の悪手だったかなと思います。

場況がここまで良いなら③単騎でリーチ行くべきだったし、手替わりを考えるなら暗刻の⑨の筋牌なので、手替わりへの寄与は非常に小さい。どちらにしても非常に中途半端な打牌でした。

 

南2局の親番、7順目。ドラは中

12478一二三四②③北北

ここから6を引きます。イーシャンテン

関連牌は場には①が2枚(広瀬さんと須貝さんの捨て牌)に3が1枚。③が⑥巡目に剱持さんが手出しで切ってます。

まあ、3は引けなかったら諦めると心中するとして、123と234のどちらに決めるか。

須貝さんと広瀬さんは①を持ってなさそう。そして、剱持さんが③を個々まで引っ張って切ったので、ピンズを何らか持っていそう。

2枚切れていることを考慮しても、①の方が④より生きていると判断して、4切り。

結果論ですが、①は2枚、④は1枚残りでした。

その後絶好の3を引いてリーチ。

剱持さんもリーチでめくり合いに。そして、①を引き入れてテンパイした剱持さんが④を掴んで、自分の2900のアガリ。234受けなら12000だったけど、うーん。

これはしかし、じっくり考えても123の方が優秀に見えるので結果論だったと諦め。

 

その後、1500点の仕掛けを須貝さんにマンガンツモられ、親がなくなります。倍ツモ条件の逆転手を遠く見てましたが、結局上がれずで終了になりました。

 

振り返って、小ミスは多々あったかもしれないですが、大きなミスは③だけだったかなと自分では思います。

 

普段は、小手返しを結構してしまうのですが、今日は一切しないように気をつけてて、それはクリア出来たかなと思います。

また、盲牌してそのままツモ切る等はしないようにと思ってて、一旦手牌につけるようにしていたのですが、それがどの程度出来ていたか。

他には、ハイをこぼさないとか(これは一回だけやらかしました・・・)がテーマでしたが、トータルではまあまあだったかなと思います。

 

 

この対局、自分はめちゃくちゃ楽しみにしてて、待っているときも小山さんに

「何ニヤニヤしてるの?」

と突っ込まれるくらいでした。実際、対局は非常に楽しかったです。

またこういう放送対局に呼んで頂けるのなら、喜んで参戦しますので、関係者の皆様、良かったら宜しくおねがいします!

 

相対的と絶対的、良いと悪い

ツイッターとかで見ていて、よく思うのです。

相対と絶対を混同して使っている人があまりにも多い、と。

 

主に、「良い」「悪い」という言葉に関して。

「良い」「悪い」とか、「大きい」「小さい」、「多い」「少ない」、「強い」「弱い」と言うのは、相対的な評価を表す言葉です。

ある日本人の身長185センチと言うと文句なく「大きい」ですよね。それは平均的な日本人と比較しているわけです。一方、NBA選手の身長が185センチと言うと、「小さい」です。それは平均的なNBA選手の身長と比較するからです。

身長185センチという数字が、絶対的に大きかったり小さかったりはしないのです。

良い悪いも同様で、比較でしか語れないものなのです。

 

よく治安の問題で

「日本でもこういう事例はある。だから日本が治安が良いなんて言えない」

という文章を目にします。

でもですよ、「良い」は比較を表す言葉なので、それより治安が良い国をそれなりに指摘しないと

「日本の治安が良いとは言えない」

という発言は間違いなのです。

 

そして、「良い悪い」は相対でしかないので、

「良い=改善するところがない」

でもないのです。

他と比較して、確かに良い。でもまだ良くする余地はある。そこを良くしていこう、となるのです。

藤井聡太二冠は将棋が強い。これを否定できる人はほぼいないでしょう。

しかし、藤井聡太二冠でも、まだまだ強くなれる部分はめちゃくちゃたくさんある。

 

なので、

「○○という事件があるから、日本は治安が良くない」

と主張した人がいたら、それに対する感想としては

「良い、という言葉の定義を勘違いしているし、それによって「から」という言葉が何も因果も示せてない」

となるのです。

 

これがもし、比較対象が

「話者の理想とする完全に犯罪がない世界」

だったとしたら。

それなら、

「日本の治安は良くない」

と言って良いでしょう。

しかし、理想とする世界との比較なら、世の中全て治安は悪いことになるし、「日本の」と限定する意味もないし、そもそもこの文章自体何も意味しません。

藤井聡太二冠は将棋の神様と比べたら弱い」

うん、正しいですよ。で、それで何を言いたいの?その文章に何の情報価値もないよね?となるのです。

 

 

 

男の生きづらさと女の生きづらさ

 

このツイートを見て、本当にそう思います。

男の生きづらさと女の生きづらさって、結構異質なものなのです。

女性の生きづらさは、散々言われているよね。

 

男は子どもを産むことも母乳を出すことも出来ないから、子育ては必然的に女性が多く分担することになりやすいです。

すると必然的に男性はたくさん働くという分担になる。是非は置いといて、そうなりやすいのは間違いないです。

女性の生きづらさとは、子育てや育児のために途中で離脱することが想定されたり、そこで退職する可能性があるため、会社が戦力として見づらくなる。

すると、バリバリ働きたい女性からすると、自分自身の扱いに対して非常に大きな不満を感じるわけです。比較対象の男性社員より圧倒的に優秀ならともかく、同じ位だったら男性の方が優先的に選ばれる。そこは大きな不公平でしょう。そこが一番の生きづらさだと思います。

 

一方で、バリバリ働きたいという以外の生き方をしたいならば、女性の方が現状、圧倒的に選択肢が多いのです。

今の段階の世代までは、女性は家庭に入るのが当たり前という価値観がありましたが、今は子どもがいても、働く人もいれば専業主婦になる人もいるし、子育てをメインにしながらパートで働くという選択肢もあります。いろんなゆるい働き方が可能なのです。

 

そこと対照的なのが、男性の生きづらさです。

バリバリ働きたいというタイプの人なら、かなり変わったとは言え、依然として断然男性の方が生きやすい世の中だと思います。

しかし、バリバリ働くのは辛い、という男性にとって、この社会は非常に冷たいのです。正社員になってないと、結婚どころか、パートナーを見つけることすら至難です。

世間一般の生活をしたいと思ったら、どんなに性格的に合わなくても働かざるを得ない。合わなくても無理やり働かざるを得ないので、鬱にもなりやすいし、女性よりずっと自殺率も高いのです。

また、よほど能力が高くないと、一時期遊んでたけどまたバリバリ働くことにします!というような生き方は認めてもらえない。女性が、キャリアの途中での離脱があり、そのために仕事で不公平な評価を受けてしまうこととは対象的に、男性はキャリア途中で離脱することが認められないのです。

 

自分は大学を中退する覚悟で休学しましたが、どうやって食べていくのか24歳のときでも全く検討もつかなかったです。普通に就職することも難しい。

塾で手取り18万円で年金も無しでずっと生きていくのかな、と。

その後、自分にあったものがたまたま見つかったから良かったものの、レールを外れることのリスクの大きさは女性の比じゃない。

「選択肢が非常に少ない」

これが男性の生きづらさなのです。

 

そして、この生きづらさはなかなか理解して貰えません。単なる怠け者のレッテルを貼られるし、当然パートナーなんか見つかりません。女性の生きづらさとして、子どもが産まれた時の離脱とそれに伴う不公平な扱いというのがありましたが、男性だとそもそも子どもを持つことすら出来ないのです。

 

単なる怠け者のレッテルを貼られているので、そういう人にフィーチャーした記事は出てこないし、メディアにも取り上げて貰えない。

コミュニケーションが苦手で、就職するのが困難。でも、フリーで生きていくのは就職する以上にコミュニケーション能力が問われたりします。かといって、そういう人が多数いた、いわゆる「職人」という人はこの文明でどんどん減っています。

生きていくためには何かで圧倒的なスキル、適性を持っていないといけないのですが、たまたまそれに巡り会えるかは運です。

 

男性の自殺率は女性の2倍以上です。

合わないにも関わらず離脱がほぼ許されないレールの上で疲弊した人。離脱した結果、生きていくすべを失った人。それがこの数字に現れているのではないかなと思うのです。

 

 

ゲームのプロを目指す人は進学をすべきか

将棋の世界では以前は

「プロ棋士を目指すなら、中学を卒業したら高校進学せずに将棋一本で行くべきだ」

という考え方が主流でした。

それが大きく変わったのはいわゆる「羽生世代」の活躍です。

先崎先生以外は揃って高校に進学しました。

特に最近復調していて、50歳を迎えたにも関わらず竜王戦の挑戦者決定戦を戦っている丸山先生は早稲田大学に進学しています。

高校に進学してもその後の活躍にはなんら影響はない。そういう考え方が主流になったのです。

 

では大学はどうでしょう。

今の30前後でタイトルを取った人たちで言えば、広瀬八段と中村太地七段が早稲田大学、糸谷八段が大阪大学大学院。

豊島竜王、永瀬二冠、菅井八段、斎藤八段は大学には進学せず(もし間違いがあったらツイッターで指摘してください)。

ここは色々分かれそうです。

ただ、このメンバーは、高校生のうちにプロ入りしているか、高校卒業してすぐにプロ入りした人たちだらけではありますが。

 

*9/18注:永瀬二冠と菅井八段は高校中退で、年齢的には高校生の時にプロ入りだけど、実際は中退後にプロ入りとの情報を頂きました。

*豊島竜王は大学中退とのことです。

 

 

以前遠山六段が

「朝、妻とケンカをした日は、対局で殆ど勝ってない」

とブログで書かれてました。

ゲームのプロって、非常に小さな差を突き詰めて考えていかないといけないので、非常にメンタルが大切になります。これは本番でもそうだし、練習に関してもそうです。

むしろ練習においてのほうが、ある意味もっと重要かもしれません。時間が長いので。

 

結果が出続けている時は、大学に行く時間でもっと本業の研究したりプレイをしたりした方が良い、と思うのです。しかし、

「退路を断つ」

というのは、集中する上で一見良いように思えるかもしれませんが、調子が悪いときのメンタルに非常に大きな悪影響を与えてしまうのです。

ゲームを真剣にプレイしたことがない人には分からない感覚だとは思いますが、いつもと同じように体調を整えて、睡眠時間を取って、同じような時間にプレイしても、良いプレイをしっかりし続けることができる時と、なぜか悪いプレイをたくさんしてしまう時があるのです。

これが2,3週間から2,3ヶ月の間で周期的に来るんですよね。

この波の調子が悪い時、大学とか別にやるべきことがあると、メンタルは本当に救われます。やるべきことが他にあるというだけで救われるのです。単なる気晴らしというレベル以上に。

一方、本業一本に絞っていたら、この調子が悪い時に途方に暮れるのです。

「自分は他に何もせずにこのゲームばかりやっているのに、このゲームでなんでこんなに成績が出せないのだろう。このままだったら自分の存在価値はないんじゃないだろうか」

と。このときの黒い気持ちはなかなか強烈です。そして、この黒い気持ちが心にある時は、スキルが伸びることは殆どないのだと自分は思うのです。

 

自分は大学を卒業して2ヶ月後に、絶不調の時期が来ました。自分はかなりメンタルが強い方だと自分でも思っているし、多くの人にも思われていると思いますが、それでもこのときのメンタルはなかなかキツかったです。在学中はこういうことは無かったんですよね。多分、調子が悪い時はちょっと多く寝て大学の課題をこなすことで気が紛れたのでしょう。というより、他にやらないといけないことがたくさんある時は、調子の波がそもそも小さかった気がします。

それでも自分は大学を卒業していたし、いつでも塾の講師をすれば食っていけるという保障はあり、塾の先生はとても楽しかったので、まだなんとかなったという面はあったと思います。

 

確固たる自信がつくと、この波はまた小さくなります。自分はタイトルを取ったことで自信になったわけではないです。

WSOPのタイトルを取ったのは2012年ですが、この自信がついたのは2014年後半でしょうか。

 

 

 

ポーカーが楽しくてしょうがない。だからもっと時間を費やしたい。なので、大学(もしくは仕事)をやめてプロを目指したい。

こういう話はよく聞きます。

しかし、本業(学業でも仕事でも)を持ちつつ勉強してプレイしていても、十分に強くなれるし、それで強くなれないならそもそも才能が無いです。

副業としてポーカーをやり、それで収入的にも十分やっていけるだけの中長期の結果を出して、生活していける確証が出来てからでも、本業を辞めるのは遅くないです。

 

将棋のプロ棋士を目指して、結局プロに成れなかった人はたくさんいます。

それなりの割合の人は、大学に行かずに将棋の勉強にコミットした人のはずです。

しかし、大学に進学していた方が三段リーグを突破する確率が高かった、という人はそれなりに居たんじゃないかなと思ったりもするのです。

羽生九段、渡辺名人(三冠)、藤井二冠のような中学生棋士は、ある意味この世界でやっていくことが確実にできることが確約されたような存在です。そういう人は確かに大学に行く時間は勿体ないと思うのかもしれません。

しかしゲームのプロは非常にメンタルが重要なゲーム。大多数の人にとっては、メンタルを維持できる環境を作ることが、プロとして成功するための近道なんじゃないかなと自分は思うのです。そしてこのことは、将棋、囲碁、ポーカー、その他のゲーム、全てに共通することじゃないかと思います。

 

麻雀最強戦

 

既に書きましたが、麻雀最強戦の著名人頭脳決戦に出場させて頂くことになりました。

10月4日にAbemaで中継されます。

 

 

kihara-poker.hatenablog.com

 

以前、ポエムっぽい記事を書きましたが、自分は割と麻雀に関しては特別な思い入れがあります。

自分は麻雀とバックギャモンとポーカーでは、ポーカーを「選んだ」人間です。一番報われるから。そして、今の所それなりに報われていますし、後悔とかは当然全くありません。

なので、今更Mリーグに入りたいなんて気持ちはこれっぽっちもありませんし、少しさびしい気持ちと羨ましい気持ちと、そして報われる保障が無いにも関わらずずっと麻雀に打ち込み続けてきた現Mリーガーたちへの強い敬意を持ってます。

 

でもですよ、かなり真剣にやってた麻雀に、シロウトとして、著名人枠で出させてもらう。これこそ、自分が麻雀に関して一番求めていることであって、なので今回のオファーは本当に嬉しかったです。

麻雀最強戦は、一発勝負。どんなにスキル差があっても、短期決戦の結果は本当にどうしようもありません。もちろん、出来ることなら本戦に進出したいけれども、自分が今回目標とすることは、Mリーグを見慣れて目の肥えた視聴者たちが

「お、こいつ強いじゃん!」

と思ってくれるような麻雀を打つことかなと思うのです。

そして、そう思ってもらえたなら、今後も

「リアルに麻雀が強い著名人」

として、呼んでもらいやすくなるはず。

カッコつけた麻雀を打つつもりはありませんし、シンプルに打つつもりです。自分の麻雀は割と普通な麻雀なので。それを目立った大ミス無くこなす。それこそが目の肥えた人から評価される麻雀だと思いますし、今回の麻雀最強戦に関してはそれを目標にしたいと思っています。

 

とりあえず、直前に1,2回は練習しないとですね・・・