優良バリュー株の見分け方
2年前に株を本格的にやるようになりました。
最近は色々分かってきたので、今の時点で思っていることを記事にしてみます。将来的に、この時点でこんなことを考えていたんだなと振り返ることもできますので、自分の記録用にも。
日本では、純資産(総資産ー借金)100億円の会社が時価総額(その株価で全部の株を買えたらトータルいくら?という数字)30億円で売られたりしてます。
この表現は正確じゃない、というのは、純資産100億円の会社を乗っ取れるほど買おうとしたら30億円ではとても足りない(途中で株価が上がってしまう)のですが、100億円の会社の0.1%を300万円で買うことは結構出来るのです。
そういうところを買えばめっちゃ儲かるのでは?と思うのは自然ですが、単にそうやっても上手くいかないんですよね。それはなぜか。
会社の利益がトントンくらいの場合。
100億円の会社は、1年後も100億円です。すると、今その一部に30億円分の値がついていても、1年後もやっぱり30億円の値段なのです。
1坪100万円の地域の土地を1坪だけ30万円で買うようなもの。1坪だけでは駐車場にも出来ません。そして、数年後に売ろうとしても、やっぱり30万円でしか売れないのです。その周りの土地が将来売られたり手に入ったりする公算がない限り・・・(ここ、実は重要)
だから資産の30%(PBR0.3)のような安い値段ですら、買われないのです。
会社に利益が出ている場合。
純資産100億円、時価総額30億円の会社が、PER(何年で時価総額分稼ぐか、という数字)10だとすると、1年間で会社は3億円稼ぐことができます。
すると、1年後は純資産103億円、時価総額30.9億円が適正になるでしょう。
純資産の30%のままだとすると、株価が3%上がるのが妥当ということになります。
でもですよ、株式投資は年利8%が目安とされてます。リスクを取って投資するので、リスクなく運用するよりも高い利回りじゃないと魅力的じゃないんです。リスクプレミアムの上乗せ分、というような言い方をしたりします。
こういう会社はリスクが少ないとはいえ、株価が3%しか上がらないのなら魅力が薄いんです。
割安株には、割安な理由がちゃんとあるんですよね。
しかし、割安株は、評価が一気に変わって株価が急上昇することが多々あるんです。それは何か、ということを書いていきます。
1,配当
こういう安定割安株は、100億円の会社が103億円になっても、0.9億円にしかカウントされません。
しかし、配当として3億円を還元すれば、それは株主にとって3億円そのものの価値になります。
30億円の株を買って3億円の配当がもらえるのなら、年利10%になります。これだとリスクを取った価値が非常に高くなりますのでみんなが欲しくなる。結果として株価は上がるのです。
半分が配当、半分が会社に蓄えられるのだと(配当性向50%)、株主にとっては、1.5億円が即もらえて(配当利率5%)、1.5億円の30%で0.45億円分が株価の上昇分。トータルで30億円投資して1.95億円もらえる計算になり、年利6.5%。これだとまあまあ魅力的に見えてきますね。
基本的に利益を継続的に配当として還元している場合、配当利率5%を出していれば、配当が下がらない限り、株価はそれ以上下がりにくいのです。
2,自社株買い
こちらも、30%の価値しかない現金で、出回っている株を回収しているので、配当と全く一緒で100%の効果があります。
だから、余った現金で自社株買いをすると発表されたら株価は上がるのです。
100億円のうち3億円を使って自社株買いすると発表したとすると、株主にとっては0.9億円の価値の現金を3億円にしてくれるようなものなのです。
3,会社の成長
1,2は基本です。その上で、優良割安銘柄かどうかを判断する根拠として、自分は会社が成長しているかを見ています。
これは自分の主力の某銘柄の過去数年間の決算(株探より引用)です。
左から、
売上/営業利益/経常利益/最終益/一株益
です。ここの場合は、単位が100万円。売上は、文字通り会社の売上です。
そこから、原価や人件費、必要経費を引いたのが営業利益。
そこから利息を払ったり貰ったり、他の会社の株からの配当を受け取ったりの損益を加味したのが経常利益。
そこから税金を払ったり、一過性の利益が入ったりしたのが最終益。
その最終益を株数で割って、1株当たりどれくらい利益が出ているのかの数値が一株益です。
ここの会社は、2017年を底として、業績が地味ながら向上し続けてます。
指標としては純資産68億円が32億円で売られていて(PBR0.47)、今年は5.7億円の利益を出しているんですね。
今後もその数字が伸びるかどうかは何とも言えない。しかし、ここ数年の動きを見ていると、5.7億円よりは儲かる方が期待値は高いのでは?と推測するのが自然じゃないでしょうか。
この会社は、配当を利益の10%ほどしか出してません。6000万円ほど。
会社の値段は32億、資産は0.47倍ほどで評価され、配当が6000万円なので、年間で
0.6+5.2×0.47=3億円くらいの利益になると見積もれます。
会社の値段は32億円なので、年利9%。まあそれなりに妥当な金額に見えます。
ただ、これはこの利益と配当がずっと続く前提なのです。
ここは今のところ会社が成長していて、更に配当も増えている。その成長分が株価に全然入っていないのでチャンス。更に、株主からの突き上げで配当があがるのなら、株価は当然もっと上がります。なので単なる割安ではなく優良割安株とみて、自分は本命銘柄にしているんですよね。
次にこちらの会社。
2018年に業績が底になって、そこから回復しているように見えます。
しかし、ここの会社は自分は(現状では)絶対に買いたいとは思えないのです。なぜか。
この会社は、資産163億円、時価総額62億円。PBR0.38。
最終利益が5.3億円で、そのうち1.7億円ほどを配当に出してます。
1.7億円+3.6×0.38=3.07億円。
利回り5%ほど。先ほどの銘柄と見た目があまり変わってないのに、利回り小さいですよね。
更に、会社の利益が増えようと減ろうと、配当がずっと変わってません。(図の一番右の欄です)
実はこの会社、親族だけで50%以上の株をがっちり保有することで、外からどんなに文句を言おうとも、常に過半数確保できているので、経営者側からすると安心安全なのです。だから配当を上げる必要なんかなく、自分たちが悠々と生活できるだけのお金が毎年入ってくれば良い。配当はそういう目線で決められているんです。この会社の株価が跳ね上がることって想像しづらいし、だから投資対象として魅力的じゃないんです。これが投資界隈で言うところの
「バリュートラップ」
です。割安なのは間違いないけど、今後も割安であろうと思われる会社です。
経営者が大株主の会社って、大きく分けて2通りあります。
会社の利益=自分の利益。そこまでは一緒だけど、
・ガンガン会社を大きくして資産的にも名声的にも自分自身が大きくなりたい。
・人生上がりの資産を得て、悠々自適に暮らしたい。
前者の銘柄は買いでも、経営者が後者で大株主の銘柄は避けた方が良い。
慣れると、これくらいの考察は1銘柄当たり2,3分でできます(そこまでできるようになるまで2年かかりましたがw)。
そこから面白そうな銘柄は更に深堀りして調べていきます。本命銘柄候補はどれも、最低でも10時間は調べてます。
そして、それらを株価の推移を見て、お得だと思ったら買い、評価が追い付いてきたなと思ったら売るのです。