WSOPからの帰国のドタバタ
今回のWSOPからの帰国にあたってのドタバタを書いておこうと思います。
行きはエアカナダにて。こちらに関しては特にトラブルもなし。
問題は帰国です。
行く前に、メールにて
「帰国の出発便がキャンセルになって5分後に別の便として出るから、それに変更でOK?」
というメールが来てました。もちろん問題ないのでOKします。
そして、10月頭に、もう一つメールが来ていたのを自分は見落としてました。それは帰国便が変更になるからメールして、という内容。どの便とかそういうのは一切書かれておらず、正直、ポーカーのセッションで疲れた頭で流し見したのでスルーしてしまいました。当然英語ですし。
現地時間11月17日午前6時半、ラスベガスの空港のマッカラン国際空港に行きます。
しかし、エアカナダのロビーが全然開く気配がありません。8時の飛行機(バンクーバー行きの国内線扱いの便)なのに、6時半に空いてないとはどういうこと?
空港のワイファイに接続して、メールをチェック。すると上記のメールを見つけました。うわ、これはやばいやつだ・・・
そこで急遽、他の会社で帰国できる便がないか探します。
あった!
それはアメリカンエアーのロス乗り換え。自分がいつも利用している便ですね。料金は9万円ほど。まあしょうがない。出発は午前9時半。おお、これなら行けるか?
そのままサイトから予約しようとします。しかし、片道チケットは日本のクレジットカードでは取れないと表示されます。そうなると、アメリカンエアーのターミナルまで行って予約するしかありません。
エアカナダとアメリカンエアーのターミナルは別のターミナルで、シャトルバスで移動します。時間が本当にギリギリだったら、そこでタクシーを使ったかもしれませんが、15分待ってシャトルバスに乗り、5分後に到着。時間は午前8時。
アメリカンエアーのターミナルに到着して、航空券を購入します。ここでは大きなトラブルはなく、そのまま購入できました。やれやれ・・・
飛行機は遅れることなくロスに到着。
日本からラスベガスに行くときのロスの乗り換えは非常に面倒ですが、ラスベガスから日本に帰る時の乗り換えは、いつも到着した目の前のところが出発ロビーになります。たまたま一緒の飛行機になったY君と一緒にハンバーガーを食べて、乗り換え時間まで待ちます。
しかし、飛行機のターミナルが、他の便はほぼ全て番号が出ているのに、自分が乗るものだけずっと
「TBIT」
と表示されたままです。出発の時間は12時半。10時半に到着したときは、
「まあそのうち番号が表示されるよね」
と思っていたのですが、ハンバーガーを食べ終わってお土産も買い終わって11時半になってもまだ
「TBIT」
と表示されたままです。なにかおかしい・・・
12時になっても未だに
「TBIT」
となっているので、流石に近くのスタッフに聞いてみたところ
「それはトムブラッドレイインターナショナルターミナルだよ。あっちの方」
とのこと。うわー、まじか・・・
一緒にいたY君も余裕そうな顔をしていましたが、状況を伝えて思いっきり走ることに。多分ですが、1.5キロくらい走りました。
ターミナルに到着すると、ちょうど最終案内の最中。間に合った・・・
なんとか飛行機に乗ります。乗車率は20から30%というところでしょうか。
3列シートの窓側に座ります。ここは残念ながら2つとなりに他の乗客がいました。一人で3席専有出来ている人も結構いた様子でしたが。
1.5キロもダッシュしたので、ゼーゼー言ってます。そして、息切れでめっちゃ咳が出ます。このご時世、めちゃくちゃきまずいですw
なんとか息を整え、こまめに水を飲んでごまかします。いや、本当にコロナじゃないから!!!w
そしてアナウンスが。
「当機はお客様のご案内中です。出発まで今しばらくお待ち下さい」
結局30分ほど待ちました。それならゆっくり移動できたのに!!!w
そこから先は特にトラブルもなく帰国。空港で、
「どうやって自宅まで帰りますか?」
という質問項目があり、選択肢は
・家族が迎えに来る
・レンタカー
・ハイヤーを呼ぶ
・その他
のどれかをその場で選べと。ハイヤーを呼ぶを選びます。
諸々が終わり、検査も陰性で帰ることに。
空港のロビーで、ハイヤーの会社に電話します。しかし、全く出ません。30分くらいずっとかけ続けてましたが、ずっと保留です。これは困った・・・
しかし、検索した時の広告欄で、ハイヤー会社のラインでの依頼が出来るものがあったので、試しにやってみたら、2分もしないうちに返答が来て、ハイヤーに乗れることに。料金は13800円。どうやら、海外から帰国した人用の料金で、そうじゃない人だと5000円くらいっぽい。いいビジネスだなあ。でも高いけどしょうがない。
そこから30分待って、指定されたハイヤーに乗車。そしてその運転手さん、びっくりするくらいに道を知らない・・・
文京区と言ったのに、なぜか上野で高速を降りるし、そこから帰宅する途中に、後楽園の駅すら知らなかったりしました。なのに普通のタクシーより高い料金・・・
とはいえ、なんとか自宅に帰って来ることが出来ました。めでたしめでたし。
今回の教訓
ロスでの乗り換えでTBITとあったら、それはトムブラッドレイ国際ターミナルのこと。これは覚えておきましょう!
スタッドハイの1ハンド
とあるHORSEトーナメント、残り4人です。
スタックは自分が20べットのチップリーダー、一番少ない人でも10べット以上あって、1ハンドで飛ぶようなことはない状況です。ゲームはスタッドハイ。
ドアカードは関係ないスートはちょっと覚えてないですが
自分 相手1 相手2 相手3
(XX)T (XX)9 (XX)8h (XX)9
相手2がブリングイン。
相手3がフォールド。
自分がコンプリート(1SBにべット)
相手1がフォールド。
相手2がコール。
4th
自分 相手2
(XX)T 9 (XX)8h J
相手2チェック、自分チェック。
5th
自分 相手2
(XX)T9 K (XX)8hJ 4h
自分チェック、相手2べット、自分フォールド。
自分のXXは完全に関係ない2枚、35のようなカードだったのですが、このアクションを見てどう思うでしょうか。
疑問1、4thで何でベットしないの?
疑問2、5thで何でべットしないの?
それをどういうことを考えてプレイしたのか、解説します。
まず3rdですが、9が2枚見えていて、ブリングインは8。
ここでのTはエニー2でコンプリートするところです。そして、そのことは相手の十分に承知の上です。
9が降りて、ブリングインの8がコール。
さて、ここでブリングインのプレーヤーが持っている可能性があるハンドを考えます。
大きく分けて4つ。可能性が高い順に
1,ペア
2,3枚スート
3,3枚コネクター
4,Tに対する2オーバー
4thでこちらが9、相手がJです。
相手のチェックにこちらがチェック。9は相手の8より大きなカード、しかもTとコネクトしているカード。何故打たないのか。
まず、相手のハンドの本命、ペアに対して。特に8のペアより高いカードです。
しかし、この9って、実はかなりのキーカードなのです。というのは、降りた二人が二人とも9を見せてます。
その状況で、こちらの9は、相手がペアだったときはかなりの安全カードになります。なので、ペアはプレッシャーを受けません。
次に相手が3枚ハートだった場合。
相手のJは、フラッシュドローになってませんが、こちらの9やTより大きなカードです。つまり、ペアのアウツになります。なので、イージーにコールできます。
次に相手が3枚コネクターだった場合。
9が3枚見えたので、そもそも、その組み合わせの可能性は激減しています。
(7T)8のようなハンドでも、一応4thはコールできますし。
最後に2オーバー。
これはAKQJの組み合わせです。Jはそれがヒットするカードです。
仮に(AQ)8だったとしても、Jがあれば3オーバーになるので、4thはイージーコール出来ます。
どの可能性であっても、4thのべットで大きなプレッシャーを与える事はできません。
もちろん、自分のハンドが強いなら当然ベットしますが、実は今回の自分の2枚は本当にラグだったのです。
5th。
こちらは
(XX)T9 K
一見ハイカードが落ちて、相手にプレッシャーがかけられそうに見えます。
しかし、4thでチェックしているので、相手が8のペアだった場合、プレッシャーはあまりなくイージーコール出来ます。ストレート完成も非常に薄いです。だって、JQと持っていたらべットしますから。
相手は4h。
これは、相手が3枚ハートだった場合、5thでフラドロになっています。当然絶対に降りません。
更に、相手が3枚コネクターで、(76)8のようなハンドだった場合、ガットショットが付きます。これも降りません。
(AQ)8J4のようなハンドだけ降りる可能性が少しあるかもくらいです。
つまり、一見強そうに見えるこの4th5thですが、実はこちらからは非常にブラフしづらく、相手は降りないカードなのです。
降ろせなく、こちらは(35)T9Kのような弱いハンド。チェックして、相手のベットにフォールド。実はとても自然なプレイです。
これが、降りた二人が見せていたカードが両方とも2なら、4thで9を引いた時にブラフでベットしますし、5thでのKでもう一回ベットします。そうすれば、この5thのベットはとても強烈です。ストレート完成の他に8から見たときのオーバーカードが3種類。しかも、3回コールしたら、3べット、スタックの3割位に相当します。トーナメント終盤ではかなり大きいです。
スタッドでは、降りた人のハンドはとても重要な情報ですし、自分も相手もそれを踏まえた上でプレイします。それを踏まえたら相手はどう考えてくるのかをこちらも考えてプレイしていくことが大切なのです。
べットする価値があるハンド
ここでは、例としてNLHEを使いますが、議論としてはNLHEに限らず、ビッグベットゲーム一般に通じるものを想定して書きます。
それは大きく3つ
1,レイズされても困らない
2,チェックで回った時とベットしてコールされたときの勝率差が小さい
3,相手を降ろせた時に奪ったエクイティが大きい(=FEが大きい)
参考:フォールドエクイティーの話 - 木原直哉オフィシャルブログ
例えば、ボタンから78sでレイズしてBBがコール。
フロップ56Jr
ここでのベットしたとします。
レイズされたら?
・強いドローがあるのでコールできます。困らない。○
・チェックで回した時でも引かないと大体勝てないし、ベットしてコールされても勝率はそんなに変わらない(7や8で勝つ可能性が少し変わるくらい)。○
・相手を降ろせたら、大体50%くらいのエクイティを奪える。○
○が3つ付きますね。ベットするのに最適なハンドです。
NLHEに置いて、スーテッドコネクターの強さはここにあります。自然にアグレッシブにプレイできるのですね。
では同じボードでAJを持っていたら?
・強いハンドなのでレイズされてもコール以上出来ます。困らない。○
・チェックで回してもベットしてコールされても大体勝っているので勝率はそんなに変わらない。○
・相手を降ろしても、奪えるエクイティがとても小さい。×
○が2つ、×が1つです。チェックするとしたらスロープレイですよね。でも2つの○はとても強い○なので、ベットが強く推奨されます。
AKを持っていたら?
・レイズされたら多分降りるけど、ドローのレイズが結構ありえてちょっと嫌。△
・ヒットしてないハンドには75%から85%の勝率はあるけど、コールされたら何か持たれているので、ペアを持たれていたら12%から25%、ドローを持たれていたら50%。チェックで回った時とべットコールが入ったときの勝率差は大きい。×
・相手を降ろせたときは、大体はヒットしてないハンドなので、ドミネイトしてない場合で奪ったエクイティは25%、ドミネイトしていたら12%くらい。△
チェックする理由が大きいですね。ただ、ベットするメリットもそれなりにあるのでちょっと困ります。
22を持っていたら?
・レイズに対してはAKとほぼ一緒。△
・ヒットしてないハンドには75%、ヒットしているハンドには9%、ドローには50%。AKよりももっと×
・相手を降ろせた時に奪えたエクイティは25%。△
やっぱり打つかチェックか迷います。
9Tsを持っていたら?
・レイズされたら確実に負けているので降りれば良いので困らない。○
・チェックで回ってもベットにコールされても大体負けているので差は小さい。○
・相手を降ろした時でも引かないと勝てない可能性が高く、75%くらいエクイティを奪えている事が多い。○
57sを持っていたら?
・レイズされたら困る。×
・チェックで回った時はそこそこ勝っている可能性がある。一方コールされたらかなり負けている。×
・相手を降ろした時は75%くらいは勝率があるので、奪えているエクイティは最大で25%。△
これはイージーチェックですね。
まあこんなことを、フロップだけじゃなく、プリフロップ、ターン、リバーについてもやっていくのです。
これ、×があるとダメなハンドということではありません。全部×ならチェックするわけですし。
ただ、プレイのしやすさという意味では、○がたくさんと、×がたくさんに分かれてくれる方がプレイしやすいです。
これを色々なフロップでやってみてください。そうすると、スーテッドコネクターは結構分かれますよね。だからプロはスーコネを好むのです。
一方、22のようなハンドは、セットにならない限り、常に難しい判断を迫られます。セットになったらとても強いので迷いますが、見た目よりは弱いハンドなのです。
ところで、クズ手は2/3でペアが出来ないわけですが、その場合は全て○が付くのでベットしないとどうしようも無くなることもわかると思います。
すると、弱いハンドのべット頻度が高くなりすぎて、バランスが悪くなってしまいます。今回の記事はハンド単体のことしか考えて無くて、実際はここに様々なバランスを考えないといけません。バランスが悪いと、相手のプレイが簡単になるのですよね。そこまで考えていくと本当に難しくて、考えるべきことは底なしに難しいのですが、とりあえず簡単な指標として3つ挙げてみました。
ゲームの存在意義と、プロの存在意義
「○○なんて無くても問題ない」
この○○に当てはまるもの、当てはめた言説をされるものの筆頭に、ゲームがあると思います。
それ以外にも、スポーツだったり、芸能だったり、音楽だったり・・・色々あります。
まあ実際、無くなっても誰かが死ぬわけではないのは間違いないでしょう。ではこれらの存在意義は何なのか。
それは、先日ポーカー歴2ヶ月(訂正:ポーカー歴はもっと長いけど、真剣に勉強しはじめた歴が2ヶ月、とのことです。誤情報すいませんでした)にしてJOPTを優勝されたようすけさんが簡潔にまとめてくださいました。
基本的に木原さんはポーカーを(他のゲームもだけど)人生を豊かにする手段として捉えていて、それを周りにもそれとなく伝えている姿がとっても素敵だなっていつも思う。
— 黒田洋介 @ 謎解き会社の代表 /小さな会社の組織作り (@krd_yosuke) 2021年8月3日
ポーカーも謎解きもマダミスもボドゲもすべては人生を豊かにするためにあるし、それを楽しめる社会はとっても素敵だと思う。 https://t.co/KL7BY0mxpO
「人生を豊かにする手段」
とても素敵な言葉ですね。本当にそう思います。
まだ途上であるとは言え、今の人類は必死に生きることに努力しなくてもある程度の暮らしができるようになりました。豊かになっているということですね。
そうすると、人生において、余暇が出来ます。その余暇をどう過ごすか。それを選ぶことができるようになっています。
余暇を更に勉強にあててもっと高みを目指すという生き方も良いですし、ゆったりとした人生を送るのも良いでしょう。スポーツをやるのも良いですし、漫画を読んだり読書なんかも素敵ですよね。勿論複数の趣味を掛け持ちして、忙しく遊ぶのも良いですよね。
その選択肢の一つとして、ゲームも存在しているのです。
また、ゲームへの取り組み方も、トップを目指して真剣にプレイするのも一つですし、そこそこのレベルまで到達してある程度の成果を得るというのも一つ。また、成果とか考えずに、単にプレイすること自体が楽しいという向き合い方も一つです。どのスタンスが正しくて、どのスタンスが間違えているとかそういう類のものではないのです。
ただ、これは絶対的な正解では無いかもしれないし、自分の価値観に過ぎないのですが、自分の価値観として
・楽しいと思えること
これが何よりも最も重要だと思います。
話をポーカーに移します。GTO的な勉強をして、それ通りにプレイしようとすることが最も大切だと思っている人がそれなりにいる印象です。
勿論、勝つことが最上の喜びで、そのためにGTOを勉強するというのは一つの楽しみ方です。
しかし、GTO的なプレイから大きく外れることを恐れ過ぎている人がそれなりにいる印象です。また、そういう人は得てして、他人に依るGTOから大きく外れたプレイを見下してしまう傾向もあると思います。
でもですよ、ポーカーをプレイする最大の目的は、人生を豊かにすること、楽しむこと、なんじゃないでしょうか。
・スーコネで参加してフロップでドローになってわくわくする。
・ドローが引けたときの喜び、そしていくらバリューベットを打つか考える楽しみ。
・ドローが引けなかった時にガッツリとブラフをして、降ろせるかどうかドキドキする。
仮にプリフロチャートでスーコネの部分が0%となっていたとしても、スーコネで参加することは「禁忌」でもなければ、「アウトな行為」でもないのです。
麻雀で言うなら、ドラ3の三暗刻出来上がりで、233から2を切ってリーチするのは損とされてても、やったっていいんですよ。
損得に全振りすることが価値観の全て、というのも一つの楽しみ方ですが、その価値観が絶対的に正しいわけじゃないことを理解していないと感じる人が多いです。
とにかく楽しみましょう!
ではプロの存在意義は何か。
プロの定義は色々あるところですが、自分は
「それを収入の中心にしている人」
だと思ってます。
その収入がどこから来るかは競技に寄るところですが、自分はプロの存在意義は
「他人の楽しさを増やすこと」
だと思っています。それが業界のプロ全体の収入を増加させることに繋がるからです。
ポーカーのように直接的に相手とお金のやり取りがあるゲームだと、自分が勝つ=相手が負ける、なので難しい面はありますが、少なくても負けるにしても、ゲームをすること自体が楽しかったと思ってもらえることが大切だと思っています。
また、観戦される競技だとすると、見ている人が楽しい、ハラハラドキドキする、そういうものを提供するのがプロだと思うのです。それが長期的に収入に繋がっていくのです。
日本でもメジャーな頭脳ゲームとして、オセロや連珠などがあります。
これらの競技は、プロがいません。
お金を出してくれる人や組織がないからで、するとどんなに強くてもプロになることが出来ないのです。
逆に言えば、現状プロとしてやっていけるゲームであっても、外から業界内にお金を引っ張ってこれる人でない限りプロとしての存在意義は非常に小さいと思います。引っ張ってこれるお金の大きさは、他人に与える楽しさの総量(計算できないものですが…)に比例するわけで、それこそがプロの価値と言っても過言ではないと自分は思うのです。
将棋のタイトル戦とマスク
最近、将棋のタイトル戦に限らず、たくさんの対局が生中継されるようになってきました。タイトル戦は、渡辺名人(三冠)、豊島竜王(二冠)、藤井二冠、永瀬王座が中心です。
この4名、特に終盤の持ち時間が減ってきて勝負が架橋に入る頃、マスクを外します。
残り10分になったらどう秒読みするかを記録係に聞かれるのですが、その際はタオル等で口を抑えて返事をしてます。
そして、投了するときに、おもむろにマスクを取り出してマスクをつけてから投了します。勝った側も、それを受けてマスクをしてから、感想戦やインタビューをしています。
そう、対局中に(ぼやいたりとか)声を発することがない4人なので、マスクは不要なのです。
このような対策を取っている将棋界。今までに誰もコロナに感染していません。関係者が数百人になる組織にも関わらず、です。
これは実は一般の場でも同様です。
・風邪のような症状がなく(=突然咳やくしゃみをすることが殆どない)
・喘息や花粉症などの症状もなく
・言葉を発することがない
これらがしっかり担保されていれば、本来はマスクをする必要すらないのです。
これを一般にアナウンスするとどうでしょうか。
一つ確実に言えるのは、
「3つの条件が全て当てはまったらマスクをしなくて良い」
と政府や医療従事者が公に言うと、3つの条件を満たしていないにもかかわらず、
「マスクしなくて良いと言ったじゃないか」
と言い出す人がそれなりにたくさん出てきます。
将棋界のタイトルホルダーのように、そんな誤解をするわけがない人同士であれば良いのですが、やっぱりそれらの立場の人から公式に言うのには無理がありますよね・・・
3つの条件が整えば、本来はマスクをしなくても良い。
それでも、道を歩いている人がノーマスクだった時、そういう常識を持った人かどうかの判別は不能です。
しかし、やはりマスクをするのは、この灼熱の中では非常に大変です。
なので、自分が提案したいのは、
・3つの条件が整っていて、外にいる時は、鼻出しマスクを推奨する
ということです。
だって、本来はマスクすら不要なんだから、鼻を出すとか出さないとか、全く関係ないです。人間にできる我慢には限度があります。その我慢を、感染対策に不要なことに使ってしまうのは非常にもったいないと自分は思います。
ポーカーを教わってはいけない人
初心者で新しくゲームを始めるにあたって、やっぱり一番最初は誰かに教わるのが手っ取り早いです。
しかし、最初にたくさん教わる相手によって、その後の上達にめちゃくちゃ大きな違いが出ます。
自分は幸運なことに、ポーカーはzakiさんに教わり、バックギャモンは(現世界ランキング1位の)望月さんに教わりました。しかし、そういうしっかりした方が身近にいるかどうかは完全に運だと思います。
ここでは、「こういう人には師事しないほうが良い」という人の特徴を書いてみたいと思います。タイトルでは「ポーカー」と書きましたし、内容はポーカーを意識して書きますが、これはどんなゲームでも、もっと広く学問とかあらゆることに当てはまると思います。
レッドカード
1,オープンな場(もしくは強い人が複数含まれるコミュニティ内)で教えず、初心者しかいない場でしか教えない人
2,具体的なプレイを直接的に教え、考え方を教えない人
3,教わる側からの質問を嫌がる(しっかり答えない)人
4,自分が才能に満ち溢れている、というような内容の発言する人
5,プレイや考え方を広く教えると損をする、と主張する人
6,弟子から学ぼうとしない人
7,発言内容がプロのマジョリティの発言と違う
1番から。
クローズドな場でしか教えないのは、自分のプレイを他の上級者に突っ込まれるのを避けるためです。つまり、教えている内容に自信がないんですよね。もしくは悪意を持って嘘を教えている可能性もあります。
どんなに強い人でも、ポーカーの神様からみたらずっと弱いです。議論するのは少しでも近づきたいと思う気持ちの現われです。その議論を避けるということはどういうことなのでしょうか。
2番。
これは、その人自身が、プレイを言語化出来ていないということです。言い換えると、はっきりした理由なしにプレイを選んでいるということです。
3番。
教わる人からの質問を嫌がるのは、2番と近いですが、プレイの理由がないからです。
4番。
強くなればどんどん強い人と戦うことになりますが、どんな世界でも本当に才能に満ち溢れた人がたくさんいて、その格差に愕然とさせられます。本当にその人が藤井二冠のような人で無い限り。
そして、藤井二冠のような人は、そこそこ無名でくすぶることが出来ません。ポーカー界ではTruetellerなどがそれに当たります。そうなると、本人が無名でいたいと思っても、勝手に有名になってしまうのです。
強くなればそういう人と戦う機会はたくさんあります。そうすると、とてもじゃないですが自分自身が才能に溢れているなんて言葉は出てこないのです。世界的に有名で無い限り、井の蛙かブラフかのどちらかです。
次からはイエローカード。ただ、自分中ではレッドカードと近いと思ってますが、例外が多いのでイエローカードにしました。
5番。
本当に強い人は、自分自身のプレイや考え方を教えたところで、教わった相手がその人と同レベルまで来ることは本当にマレです。なので、教えても全然問題ない。
また、教わった人が本当に同レベルまで登ってきたなら、その人は一緒に切磋琢磨する相手として最適だし、抜かされたのなら、今度はこちらが遠慮なく色々聞ける素晴らしい師匠になります。
例外として、対戦が狭いコミュニティである場合。
その場合は同じ相手と何度も戦うことになります。その場合は、戦術が他の人を通してでも伝わってしまえばかなりの損をしてしまいます。例外ではあるけど、かなりありえる例外なんですよね。
6番。
特に不完全情報ゲームは、自分より弱い人であっても、特定のスポットでは強い人より正しくプレイできることは多々あります。教えていても、そういうスポットに敏感に気づけることが強くなるためには必須だし、こういう意識を持っているかどうかは分かるはずです。
例外としては、プロ棋士をアマ級位者くらいの差がある場合は残念ながら参考になることを見つけるのが難しいのですよね。なので、初心者が教わる相手を探す時の参考にしづらいです。
7番。
プロのマジョリティの意見は、よほど飛び抜けた人で無い限り、ある程度同じような話になるんです。そこからずれているということは、飛び抜けているか、正しくないか。ただ、飛び抜けている場合、4番と一緒で勝手に有名になっちゃうんですよね。
ただ、初心者からすると、誰が「プロ」なのか本当に見分けづらいのと、師匠がマジョリティじゃない場合、その周りにいる「プロ」もマジョリティにはならない人で構成されている可能性が高いのです。なので、初心者がセカンド・サードオピニオンを探そうとしても、それが本当にセカンドオピニオンになり得るのか判断するのが難しいのです。
いちばん有名な人が「ニセモノ」である可能性もあります。狭い世界だと、外に向けたアピールが上手な人が有名になったりすることも多々あります。
また、(例えば世界チャンピオンだとか東大卒だとか)立派な肩書があっても「ホンモノ」を保証しません。
また、肩書は過去に対してつくものですが、過去は確かに「ホンモノ」であったとしても、そこから闇落ちしてしまうこともあります。
自分が師事する人がホンモノかどうかは、自分の目で判断しないといけないのです。
ブラフやブラフキャッチと、ブロッカー
ブロッカーという概念、PLOや2-7で結構重宝されてきていて、それがNLHEにも輸入されてきて久しいです。
5年くらい前はトップクラスのプレーヤーだけのものと言って良いような概念だったのが、色々な記事や動画、その他で解説された結果、多くのプレーヤーが知るところとなりました。
「本手をブロックしていて、ブラフをブロックしていないからコール!」とか。
新しい概念を知ると、ついつい使いたくなるのが人間のサガです。しかし、ブラフやブラフキャッチをする上で、ブロッカーよりもっともっと大切なものがあるのですが、それがおざなりになっているイメージがあります。それを2つ、挙げたいと思います。
COがオープンして、BBからAh4hでコールしました。
ボードがAc2c3s Ks 8h
相手からのトリプルバレルを
「45のストレートとAをブロックしていて、フラッシュドローをブロックしていないからコール!」
とかですね。
1、そのコンボが相手のレンジにどの程度あるか。
COから45oでオープンしませんよね?45sが低頻度で入るくらいです。なので、45はそもそも相手のレンジにほとんど無いですよね。そんなナッツストレートをブロックしていることが、ブラフキャッチにどの程度価値があるのでしょうか。
2、相手はどれくらいのハンドでトリプルバレルバリューべットを打ってくるのか。
(45s?)、AA、KK、33、22、AK、A3s、A2s、AQ位でしょうか。A8sはターンでチェックが入りそうです。AJがどちらもありそうではあります。
結構たくさん組み合わせがありますよね。コンボ数とか気になる人は数えてみてください。Aをブロックしていても結構沢山あります。
3、相手がどれくらいの頻度でトリプルバレルブラフを打つのか。
これが一番大切です。相手の自然なブラフの組み合わせとしては、QJTの組み合わせとフラッシュドローミスでしょうか。で、この相手は、それをどのくらいの頻度でそれらのハンドでブラフで打ってくるのか。リバーだけでなく、ターンでは?
仮にリバーがポットベットだったとすると、ブラフ:バリューが1:2以上あるかどうかがオッズが合うかどうかの分岐点です。
ここまでコールしてきたBBは、かなりの確率でAを持っているでしょう。そんなトップペアをCOはブラフで降ろしに来るでしょうか。来るならどの程度の頻度で?
相手が強い人なら、リバーでポットベットをしてきた場合、しっかりと
ブラフ:バリュー=1:2
に近い頻度になってます。正確に1:2を達成できるわけではないけど、大きくずれません。そういう割合で打ってきているなら、コール判断にブロッカーを考慮することは価値があります。ブロッカーを1枚持っていると、相手が打ってきた時の条件付き確率で、ボードによりますが多くの場合ブラフの割合が2%から4%ほど上昇します。
しかし、相手のブラフの割合が33%より5%以上ずれている場合。
具体的にはポットベットのブラフ率が28%以下だったり38%以上だったり。
その時は、ブロッカーを考えるまでもなくコール/フォールドのプレイが決定するのです。
ハイレベルになると、相手のブラフ率が33%から大きくずれている可能性は下がるでしょう。その時は、この2%や4%が長期的に大きくものを言うのです。
相手はどの程度ブラフをしてくるのか。それまでのプレイから推測したり、相手からみたこちらのイメージを考えたりしてそのブラフ率を見積もらなければなりません。
それまでのプレイ履歴から相手がどういうプレイをするかの情報を手に入れたり、お互いのイメージを考察したりすることをサボって、
「ブロッカー」
というかっこよさげな概念にばかり頼ってプレイするのは本末転倒なのです。