投資に関して、ケリー基準とかケリーの公式と呼ばれるものがあります。
それは、同じ投資を無限回出来る前提で、いくら資産をかけると一番効率よく資産を増やす事ができるか、という基準で、式としてはリンク先にある通り
f=(p*(b+1)-1)/b
というものです。
fはかける資産の割合。
pはその勝負の勝率。
bはその勝負のオッズ(US方式)。
一番わかりにくいのはbだと思うのですが、日本の競馬式の○倍から1を引いた数字だと思ってください。定義としては、1円かけて勝った時に増える金額、ですね。日本式だとかけた金額まで含めて、トータルで返ってきた金額ですが、アメリカ式は増えた分しかカウントしません。100円かけて300円になったら、日本式では3倍になったと言いますが、アメリカ式では2倍増えた、という感じです。
まあ、日本式の公式に変えたかったら、b+1をBに、bをB-1にしたら全く同じ式になるのでそこはどうでもいいです。
例えば競馬で、50分の1で当たるのに100倍ついている馬券があったとします。
競馬はたくさんかけたらオッズが変わってしまいますので本当はそれは例として不適当かもですが、ビル・ゲイツの100倍の資産を持っている人たちが何千人もいて、ガンガンかけているような架空の世界での話だと思ってください。
すると、pは1/50でb=99なので、fは
f=1/99になります。
つまり、100円かけたら+100円の期待値、ROI(リターンオブインベストメント、投資金額と期待利益の比)が100%の超優良物件ですが、資産の1%しかベットしてはいけないということになります。
ポーカーでいうならば、100人参加のMTTで優勝総取り、自分の実力はその中では非常に高く、50回に1回優勝出来る。しかもレーク(手数料)は無料。
総資産10000ドル。そのトーナメントは、100ドル以上の参加費だったら、投資しすぎであると基準は言うのです。
勝率が60%の勝負だったとします。それならいくらかけるべきでしょうか。
これ、非常に単純で、期待値と同じ分だけかければ良いのです。
勝ちが60%で負けが40%なので、期待値20%。なので、資産の20%をベットすべきなのです。
勝率60%の勝負に資産の20%もベット!?かけ過ぎな気もしますよね。
このケリーの公式、その公式に従ってかけ続けることが資産を最大化させると証明されているようです(自分は証明を知らないので伝聞ですが)。
ただ一点だけ注意して欲しいのは、100万円の資産があって、60%の勝負に20万円かけて負けた場合、次の勝負は80万円の20%で16万円しかかけてはいけないのです。勝負ごとは独立なので、勝負スタートした時にいくらあったかとか無関係なのです。しかし、実際の勝負ではそんなことは相手は受けてくれないですよね、当たり前ですけど。その点で、この基準はあくまで理論的なものです。
また、ゲームではなく、株式投資とかに応用したい場合ですが、1単位持つごとに
10%で1000円負け
30%で500円負け
30%でチャラ
20%で1000円勝ち
10%で3000円勝ち
のように、複数の結果が存在したりします。
このような場合、ケリーの公式をそのまま当てはめることは出来ないのです。
ポーカーのトーナメントなんかも全く同様ですよね。
期待値を計算することは出来て、1単位ごとに
-1000×0.1+-500×0.3+1000×0.2+3000×0.1=+250円です。
ところで、ケリーの公式は
f=(bpー1×(1-p))/b
とも変形出来て、分子は1円のリスクを取った時の期待値、分母は勝つ時のオッズ(=増える金額)となります。
50分の1で万馬券のような、少ない可能性でドカンと当たる賭けは、純粋な期待値が高くてもかけるべき金額は低いということですね。
一方、分子は期待値なので、ケリー基準的には
「期待値がマイナスの賭けは一切行ってはいけない」
とも言えるわけだし公式から導出されるマイナスの数字からは、もし可能なのであれば、式から出てくるような資産割合で逆張りやサイドベットをすべきとまで言うのです。
ただし、これはあくまでポーカーのトーナメントなどを投資対象とみて、投資効率を最大化させるための数学的な背景の理論です。
しかし、ディズニーランドに行くことを考える時に
「期待値-10000円だから行くべきではない」
とかやらないですよねw
楽しいとか人生における幸せとかは数学の公式は一切考えてくれないのです。モチベーションも考えてくれないし、健康も体調も考えてくれないのです。
期待値マイナスだから5000円のトーナメントに出ない、と言うのは、期待値マイナスだから5000円の御飯は食べない、と同じくらい無意味だということを付け加えておきます。