木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

囚人のジレンマとコロナ

コロナ対策は、囚人のジレンマそのものです。

 

ゲーム理論の有名な例題として、囚人のジレンマ、というのをご存知でしょうか。

ja.wikipedia.org

 

囚人が二人います。

二人は共謀してある犯罪をしました。

二人で口を合わせて秘密にすれば、微罪で懲役1年で済みます。

二人とも真実を話せば懲役7年です。

一方で、片方が口を割って、もう片方が真実を話せば、もう一人が罪を犯したとして、真実を話した方を無罪釈放するという司法取引が警察から持ち込まれました。どうしますか?

 

囚人は、仲間が秘密にしていれば、

秘密にする→1年 真実を話す→0年

仲間が真実を話していれば、

秘密にする→10年 真実を話す→7年

 

そう、どちらも場合でも、真実を話す方が得なのです。すると、二人とも真実を話して7年の懲役を受けるのです。

でもですよ、お互いが秘密を守れば、お互い1年で済んでたはずなのに・・・

なんとも板挟みですよね。これが囚人のジレンマと呼ぶのです。

 

 

さて、今回のコロナ騒動ですが、これは壮大な囚人のジレンマなのです。

全世界の人が1ヶ月くらい完全に対策をきっちり守った場合、ちょっとした不便で済むのです。

でも、全世界の人が完全な対策をきっちり守り、自分(とその周り、現状感染してない可能性の方がずっとずっと高い)だけ普段どおり行動したらもっと得ですよね。

 

たった2人の囚人ですら、お互い7年の刑になってしまうのです。

何十億人という全世界の人が完全な対策をすれば・・・というのは、ゲーム理論的に考えると、空想、夢想、妄想の世界です。それどころか、1億人ですら無理です。

そこで思いつくのが、罰則を与えるロックダウンです。あちこちでやってましたよね。

でもですよ、罰則で縛っても、70億人の利得が

罰則の大きさ>一時的な自由

となる罰則なんて存在しません。

そもそも、殺人より重い罰則にするなんて無理だと思うけど、殺人ですらアメリカで(行方不明は含まずに)毎年15000人も殺されているのです。

フィリピンのように、外出したら即射殺、とかレベルにしないといけないですが、それって警察/軍隊は普通に動かないといけないわけで、そこ経由で感染が発生しますし、そもそもその期間に別の病気になった人は見殺しにするの?という問題もあります。

 

 

今回のこの騒動は、完全なる囚人のジレンマなのです。

他の人が強く対策して、自分たちだけ普通に行動するのが一番得なのです。

そして政府は、この構造を理解した上で対策を打たないといけないのです。

コロナの感染力の高さと囚人のジレンマの構造から考えると、抑え込むのは不可能。

でも、対策をするように言い続ける、そういう政策をするだけだと、真面目に言うことを聞こうとする人だけがどんどん損をしてしまうのです。そんな政策は到底取れないのです。個人的には、尾身先生はそこを非常によく理解していると思います。

コロナが広がっているのは、GOTOなんかの理由では無いです。

そもそも3000万人ものGOTO利用者がいて、利用者がその時、その後で感染が確認されたのはたったの100人ちょっとですし。

 

ここまでくれば封じ込めは幻想、妄想のレベルです。

封じ込めをしない政府を批判するのは、ゲーム理論で1億人が手を取り合うことが出来ると思うお花畑の頭の人か、分かった上で損な囚人の役割を他人に押し付けようとしている人(その方が得だから)だと思うのです。