木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

価値観と経済と

コロナ対策で、西浦教授が

「全く対策を取らなかったら日本で42万人死亡」

という試算を出して、色々賛否あったのは記憶に新しいところです。

 

結構この予測を批判する人も多いけど、割と全ツッパ寄りの自分はこの予測、正当なんじゃないかなと思います。

政府と国民がこれだけ対策を取って、もう少しで1000人に到達しようかという状況です。もし政府が全く対策を取らなかったら?

おそらく一桁上の結果になったでしょう。

ところで、「全く対策を取らなかったら」というのは、主語が政府だけじゃなくて国民もです。感染症が流行っていたら、政府が対策をしなくても、当然国民(特にハイリスク層)は自主的に対策を取ったでしょう。そう考えると、国民が対策を全く取らなかったら更に一桁上、というのはすごく合理的な数字だと思います。

 

42万人がコロナで亡くなる。これは勿論悲劇的なことです。

一方で、強い対策を取ったことによる経済被害は100兆円とかそういう規模です。

対策を取らず、42万人が亡くなった場合の経済被害について、3兆円という試算があります。3兆円???と思うかもしれません。また、命をお金で換算するなと思うかもしれません。ただ、それを一旦置いておき、その試算が妥当かどうかだけ考えます。

 

コロナが流行していて医療機関がパンクしていることで、二次的な被害も想定されます。

しかし、コロナが無くても、そもそも日本では年間130万人が亡くなるのです。

42万人って30%でしかないのですよ。

更に、42万人のかなりの割合は、いずれにせよ130万人に含まれる人であろうことは間違いないです。実際は15%から20%増ってところでしょうか。

そう、毎年130万人亡くなって、その前提で経済は語られているのです。その前提で、2,30万人多く亡くなることによる経済損失ってそこまで大きくないんですよね。しかも、引退世代がほとんどですから。

勿論、亡くなる以外にも、後遺症の話もあります。ただ、3兆円というのは後遺症まで含んだ数字です。

 

毎年日本では、階段からの転落事故だけで毎年4桁の人が亡くなってます。そして、命は助かっても、感染症とは比較にならないくらい、階段からの転落は後遺症も多く重いです。1億人以上の人口を持つ日本からすると、これくらい限定した事故であっても4桁とかは普通なのです。人が亡くなることって、それくらいありふれたことなのです。そもそも、人間は必ず死ぬのです。

 

 

医療従事者は、勿論お金の為に働いているのは当然ですが、それでも平均よりかなり、個々の命を大切にする価値観を持っているからその職についている割合が大きいのです。

自分はなろうと思えば医者になれました(実際医学部に合格はしてます)が、なるつもりは最初からありませんでした。収入は良くても価値観が違ったからです。

 

 

仮に無対策状態だった場合で、生産世代から2万人亡くなったとしましょう。

一方、現状の対策を取って、2万人の生産世代の命が救われるとします。この騒動の為に、感染しても被害が本当に軽微な子どもたちが、騒動の犠牲になってます。保育、教育、スポーツ、その他・・・この状態では、子どもを作るのを一旦中断しようと多くの親が思うことで、仮に10万人子どもが減ったとしましょう。

これ、自分としては、8万人の命が失われたと感じるのです。

医療従事者は、目の前で患者さんが亡くなるのを目にすることもあり、現状生きている人の命を優先します。また、価値観もそうなります。それは当然です。

一方政府は、諸々を総合的に判断しないといけません。

経済だけを考えるなら、世界中がコロナを完全に無視して動くのが明らかに最善です。しかし、経済だけを考えることは政治の世界では許されません。じゃあどの程度対策を取るか。完全に価値観の問題なのです。

 

 

その上で自分の価値観としては、政府として無対策でいることによって数万人の死者というのは致し方ないと思いますし、アメリカやヨーロッパなどはそういう方向に舵を切り始めました。それも当然予見できた未来です。

ワクチンが出来ない限り、コロナウイルス自体は絶対に無くならないと自分は思っています。そして、それは多くの医療重視者も合意することでしょう。

ここから先は価値観です。どの程度、瞬間の犠牲を受け入れるか。どの程度長期的な犠牲を受け入れるか。

短期的な強い対策は同時に、長期的には産まれるはずだった子どもを犠牲にしているのです。

国民個人としては、ある程度短期的な対策しか取りようがない。しかし、世界各国政府は、もっと長期的な視点で考えるのが正しいのではないかというのが自分の価値観です。

とはいえ、それは民主主義的には政権が倒されてしまうことにもつながるので真に長期的視点のみで動くのもまた難しいのですが・・・