木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

何%のシェアを取れば成功か、によって取るべき戦略は変わる

物事によっては、取るべきシェアが違います。

例えば商売だと、日本全体の1%から満足される商品を売れば、100万(消耗品とか食品ならもっとたくさん)売れるわけで、大成功と言えます。なので、一般的には狭いファンとなり得る層にめちゃくちゃたくさんの選択肢の中からしっかり選んで貰えるように戦略を考えます。

 

選挙だと、中選挙区は10%ほどを取ればOK、市長、知事選では50%が必要です。中選挙区で50%を取る必要はないし、市長選挙で30%をとっても無意味です。

そうなると、中選挙区ではある程度の人に刺さることを主張するのが期待値が高く、過半数の人に消去法で消されても問題ありません。○○党や○○○○党なんかがこの選択肢に近い戦略であると思います。

一方、市長選などでは、本気で当選する気があるのなら、過半数の人に消去法で消される戦略は禁忌です。同じ選挙であっても、取るべき戦略は全然変わってきます。

 

感染症に関しては、90%以上の人が受け入れてくれる戦略を取らない限り効果は本当に小さいです。

日本の場合、マスクへの抵抗が元々無いので、

「まあ、コロナで重症化しない世代だけど、マスクくらいは協力しようか」

と、割と無頓着な人でも街中ではマスクをしてます。東京ではマスク着用率は99%をはっきり超えています。本当にマスクをしてない人を見かけない。真夏の、すごく暑くコロナが一旦落ち着いていた時期ですら95%くらいあったんじゃないかな。これこそが、同じ自由主義国家である欧米と日本で、ここまで結果に差が出た要因だと思います。

欧米では、どんなに政府が呼びかけても、マスク着用率が90%なんて遠い夢という話でしょう。日本とは桁違いの数の感染者数が出ているにも関わらず。

 

一方、行動に関しては非常に難しい。箱根駅伝では、沿道での観戦の自粛が呼びかけられた結果、例年の15%ほどの人出だったようです。結局、呼びかけても、15%ほどは無理なのです。更に、人間は生きる上でコミュニケーションを取らないといけない生き物です。どんなに聡明で自分自身で深い思考が出来る人でも、半年一切のコミュニケーションを取れなくさせると精神が崩壊するようです。自分はゲームが好きなので、オンラインでのコミュニケーションで十分満足出来るタイプですが、スポーツが好きな人はスポーツでのコミュニケーションを必要とするし、対面での飲食が無いと生きられない人、人との触れ合いが必須な人もいます。

その上で、そこに協力する人を90%以上にしようとアメとムチを使って頑張ろうとするのは、根本的に頑張る方向が間違えていると自分は思うのです。どんなにアメとムチを使ってもそこは90%を超えることは出来ない。コロナ対策は

中国のように、人権を思いっきり無視できる国なら、それを100%に近づけることも可能です。武漢で、家に外から鍵をかけて、食料などだけ一ヶ月半も配給したように。家の中で病気になっても放置して。当然だけど、自由主義国家ではそんなことは無理です。罰金がいいところです。

そもそも、人間は生きるために仕事をしないといけない。仕事をしなくても長期間生きていくためには、社会がそこまで豊かじゃない。自粛とか対策って、要するに働かずに生きていくという話になってくるので、結局の所贅沢品なのですよ。

 

自由主義国家が取るべき対コロナ戦略は、全体の90%以上が

「それなら協力しよう」

と思える内容を徹底し、90%が協力出来ないものは残念ながら諦める。経済で言えば、自由に活動してもらい、それを消費者が自分自身で安全を判断して選ぶしかないと自分は思うのです。結局、90%以上が協力できない内容ならば効果は薄い上に、

「正直者がバカを見る」

ということになりかねかい、というか、過去の施策をみても実際にそうなっています。それがまた、協力する人が減っていくことに繋がります。

 

 

・欧米の自由主義国家は、90%以上が協力することが出来るものが非常に少なかった。だからどう頑張っても感染拡大は避けられなかった。

・アジアの多くの国は、国家によって90%以上の、協力ではなく強制が可能だった。人権の代わりにパンデミックや戦争といった非常事態にはとても強いシステム。

・日本は自由主義国家にも関わらず、90%以上の協力が得られる範囲が非常に広いという特殊な国。この点で一番近いのは韓国かな。

 

 

成功とされるのに必要な数字を意識して、取るべき戦略をしっかり考えましょう、という話でした。