「プロ」の定義
「ポーカープロって、どうやったらなれるのですか?」
とは良く聞かれることです。
囲碁、将棋、野球、サッカーは、まあ誰もが認めるハッキリとした線引きがあります。
一方、ポーカー、麻雀、テニスなどは、はっきりした線引はなくて、人によって違います。そこで、自分なりの「プロ」の定義を書きたいと思います。
ただ、あくまでこれは自分の定義であって、それをみんなが認めるべきだというつもりはありませんので、あらかじめ。
「プロ」とは英語のprofessionalから来てます。professionalの日本語訳は
・職業の
・専門的な
・専門家としての
などの訳が出てきます。その訳語には、団体に所属しているかどうかは出てきません。
https://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/professional
英英辞書を見ても、やはり
「job, paid, trained」
がキーワードになってます。
なので、自分としてのプロの定義は
「それをすることを収入のメインとしている人」
だと思っています。収入のメインに出来るには当然スキルが高くないと無理なので、スキル云々はそこに内包されているものだと思っています。
一方、プロ団体に所属していて、団体から
○○プロ
という肩書を与えられていても、それが収入に直結していない場合は、サークル活動の仲間内の呼称と同じだと思っています。
逆に、団体に所属していたり契約を貰っていなくても、それを収入のメインにしていればプロです。
麻雀で言えば、阿佐田哲也の麻雀放浪記に出てくるような人はプロだけど、今の麻雀団体に所属している人の9割は自分の定義的にはプロじゃないと思ってます。
ところで、囲碁将棋野球サッカーの場合、それらのプロ組織の地位が非常に高いため、プロがアマにスキルで劣ることは非常に少ないです。
しかし、ポーカーや麻雀のように、プロの地位がそこまで高くない世界の場合、プロの平均よりもずっと強いアマ、というのがたくさん存在するのです。
そう、「プロじゃない」と言った時に、自分はスキル的に下に見ているという意味ではなく、それを元に食ってない、ということしか言っていないわけです。
投資家のcisさんがポーカーが強いことはかなり知られていると思います。
cisさんはポーカーはアマチュアです。ポーカーで食っていないので。しかし、ポーカーで飯を食っている人のうち、9割以上はcisさんにNLHEで負け越します。自分でも正直、負け越す可能性のほうが高いと思います。NLHE以外のポーカーならどれでも勝ち越せる自信はありますが。
麻雀で言うと、Mリーガーになる直前のアサピンさんは、誰の定義でもアマチュアだったはずです。しかし、麻雀でアサピンさんに勝ち越せる人は団体に所属していてそれで食べているような、誰もが認めるプロでも少数派だったでしょう。
また、自分の定義ではアマチュアの「プロ団体に所属している雀士」が、裏麻雀で食べているプロ(今でもいるのかな?いても少数だとは思うけど)よりもスキル的に上であるということも当然たくさんあると思います。
難しいのは、
「定期的に収入は得ているけど、収入のメインではない」
というパターンです。
この場合、自分は
「セミプロ」
と呼ぶのがふさわしいかなと思ってます。ちょうど自分がバックギャモンで一時期そういう感じだったように。いわゆる副業ですね。そして、今の時代はこの「セミプロ」の層のレベルが跳ね上がっている時代かもしれません。
これからの時代、ゲームのプロは1つの職業の選択肢として残り続けると思いますが、一方で趣味としてやりながらも非常に好成績を残す人も増えるでしょう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E4%BA%95%E7%A7%80%E8%87%B3
囲碁の坂井先生。
京大医学部卒で医者になり、その後プロ編入試験を経てプロ棋士になり、7大タイトル獲得+名人リーグ8期所属。
プロ入り後の実績を見れば、坂井先生がアマチュアだったときでも、坂井先生に勝ち越せたプロ棋士は一握りだったのではないでしょうか。まさにプロより強いアマ。
そして、タイトルにはもう絡めないと思うからと、今年、実質的に引退して医者に戻るという選択。世間的には違うかもだけど、自分の定義的にはアマチュアに戻るわけです。今の坂井先生に勝ち越せるプロ棋士もやはり少数でしょうが。
坂井先生が特別なバケモノなのは間違いないけど、今後はAIの影響もあって、そういう人がどんどん出てくると思います。
結局、「プロ」というのは単なる職業の選択に過ぎず(職業に出来るくらいだから最低限のスキルはあるのは間違いないけど)、アマも職業の選択に過ぎません。
プロはアマより強いことは保証されてないし、プロもアマに負けてはいけないという時代ではなくなるとも思うのです。
その代わり、プロとして食べていくためには、食べていけるだけの何らかのモノを持っていることが求められていくのかなとも思ってます。勿論プロである以上、いちばん大切なのはその専門のスキルなり知識ですが、それだけだと本当にトップの数人以外はダメで、他に何らかのスキルや経験、行動などを持つことが求められる時代なんじゃないかと思います。