木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

悪の論理、感想

先日、友人のとつげき東北さんから、出版した本の献本を頂きました。

その感想です。多少のネタバレがあるので、気になる方は本を読んだ後に記事を読んでください。

 

 

とつさんからは、過激な内容だと聞いていたのですが、読んだ感じは全然過激な感じはしませんでした。むしろ、炎上しないようにかなり守った表現をしているなあと思ったくらいですw

 

前半は、とつさんが、全く論理的じゃない内容の議論を仕掛けて来る人を論破するという内容。

とつさんの論理構造、非常にしっかりしてます。論理的に考えるとはどういうこと?と言われて、ピンと来ない方には非常に為になるんじゃないかなと思います。

論理とは、

「元の議論が正しいとした時に、絶対に正しいと言い切れることを積み重ねて論を組み立てること」

です。

で、多くの人が勘違いしていると自分が勝手に思うのは、前提のもとでは絶対に正しいと言い切れることしか言えないため、殆どの場合、正しい論理的思考の先には、強い断言は出来ないのです。また、殆どの場合、論理思考の前には、共有すべき前提(=仮定)を必要とします。

しかし、論理的ではない議論をしたがる人は、結論ありき(往々にしてその結論は過激な内容)で、その結論を相手に認めさせようと話を展開していこうとするのですが、正しく論理的な議論だとそういうことは大体困難です。

その、相手の論理のどこにほころびがあるのか、それをとつさんが突いていくというのがスタートです。

 

とつさんは、間違えた方向に進めようとする論理を、ほんのタイトルでもある「悪の論理」と呼んでますが、自分からしたら、悪の論理と言うより、稚拙な論理、くらいの感覚です。ただ、相手の論理が正しいと仮定するとこんな結論(大体到底認められないもの)になるよ、というのを利用するのは悪の論理と呼んで良いのかなとは思います。

まあ、ここらへんは売れるためのキャッチーなタイトル的なゴニョゴニョ

 

最初、論破相手の論理はもっと際どく難しいものを用意するのかと思ってましたが、論理思考に慣れない人でも読みやすくすることを思ってか、相手の論理の破綻は非常に見えやすい例を選んだと感じます。なので、論理といいつつ、かなり読みやすく、どういうのが間違えた論理なのか分かりやすいと思います。

 

 

その後、とつさん自身の思考や価値観を論理を交えて語ってます。

個人的には論理的な考え方は共通ですが、とつさんとはそこの価値観が結構違っていて、読みながら

「ああ、良くも悪くもとつさんらしいなw」

と感じてました。ただ、本を出版するにはある一定数以上の字数が必要で、そのためにゴニョゴニョ

 

で、最後にとつさんが一番書きたかった2つが来ます。1つ目は

「ボタンを押したら誰かが死ぬけど1万円貰える。罪には問われないし絶対ばれない。ボタンは押す?押さない?押すなら何回?」

というツイッターでのアンケートを踏まえた論が出ます。

そして、その結果に対する考察があるのですが、とつさん的にはこれの正解は一つしかないようです。

しかし、そこが自分の価値観というか、そもそもの前提が全く異なることかなと思いました。

 

自分は

「ボタンを押したら1回当たり1万円貰えて、それ以外の影響はない。好きな回数それを押す事ができる。そのボタンを押しますか?」

という質問であっても、押さないと答えます。

自分は、自分自身の人生の幸福を最大化することが個人が目指すべきことだ、という信念があります。これは自分にとって、数学の「公理」と同じです。ただし、これは数値化も出来ないです。

で、押したらお金が出てくるボタンが存在すると、日本で平和に暮らせている人のうち9割以上は、人生の幸福は減少する、と考えてます。自分自身も、そこまで強い人間であるとは思ってなくて、そういうものがない方が幸せだと思います。そんなボタンが手元にない状態ならこう言いますが、そんなものが本当に目の前にあったら、それを海に投げ捨てることが出来るかどうか怪しいとも思いますが・・・

他に数値化出来るものがないとはいえ、「お金の増加=無条件に幸福が増加」という前提がとつさんにはあるものの(そう仮定しないと議論にならないというのもありますがw)、自分はその大前提に同意ができないので結論も異なるものになるのです。

 

 

最後に、

「殺人はなぜ悪か」

というメイントピックの二つ目が来ます。

自分はこれ、

「なぜ殺人は悪いことと法律や道徳でみなすようになったのか」

ということを問うているのだと思ってて、それに対する自分なりの答えもあるのですが、とつさんの解答は、自分的には

「え?それだけ?」

というものでした。ただ、それについては当たり前過ぎるように感じるものの、特にギャンブルやカジノ関連の議論でも広く応用出来る解答でもあって、絶対に間違いにならない、という意味では非常に論理的な解答かなと感じました。

 

あちらこちらにとつさんの価値観(=前提条件)が散りばめられていますが、論理構造は本当にしっかりしてます。興味があれば読んであげてください!

 

 

オッズが良い、とは

UTGが3bbにオープン。

UTG+1がコール。

HJがコール。

COがコール。

ボタンがコール。

SBがコール。

ここでBBが

「こんなにたくさんコールがいたらオッズが良すぎてエニハンでコールしないといけないぜ!」

と言いながらコール。

こういうシーン、よく見ませんか?

 

アンティがないゲームだとして、誰もコールがいなかったら、6.5bbのポットに2bbの投資で参加するのに対して、コールがこれだけいる状態なら、21bbのポットに2bbの投資で参加することになります。その数字だけ見ると確かに

「オッズは良い」

と言えるかもです。

仮にUTGと1対1で46でコールしたとして、フロップ459と落ちたら、それなりに勝っている可能性は高いでしょう。もちろん負けている可能性も十分にありますが。

一方、7人テーブルで46でフロップ459なら、ほぼ勝っていることはないでしょう。

そもそも44のボトムセットを持っていても、150bbくらい持ってたら不安になるくらいですよね。

フロップが467なら?

2ペアですが、ストレート、セット、上2ペア等ありすぎて、100bbを7人テーブルで突っ込むのはこれですらかなり躊躇してしまいます。ベットしてレイズされてオールインして相手にコールされたら、ほぼ負けているでしょう。

一方、相手がUTGだけなら100bbは余裕で突っ込むところです。

 

一般的に「オッズ」とだけ一言で言いますが、こういうカタカナ言葉は思考を間違えた方向に導いてしまうことが多々あります。

こんな7人フロップでポジションが無いところからブラフをしていこうというのは無謀すぎるわけで、実際はモンスターハンドを引き当ててのバリューベットと、強いドローでのセミブラフくらいしかベット出来ないところだとは思います。

そういう状態では、ベストハンドを作る(もしくはドローから頑張る)しかポットを取る方法はありません。

ところで、21bbポットに参加するために2bbを投資するのは、10.5回に1回投資を回収する必要があります。

しかし、7人参加のフロップで46oで参加してフロップでベストハンドの可能性が高いと思う事ができるフロップに巡り合うのは本当に10.5回に1回あるのでしょうか。

そう、見た目のオッズ(21対2)は良いのですが、ベストハンドを作るオッズは21対2を超えるのはかなり難しいのです。

 

一方、UTGがオープンして、こちらがBBで46oでコールしたとします。

6.5bbに対して2bbの投資です。

フロップでベストハンドを作るオッズは30%必要。これの方がまだ現実的だと思いませんか?

もちろん、フロップ以降にポジションを取られてプレーされてしまう分を考えると、実際はコールは悪いプレーです。それでも、7人ポットにノコノコとオッズがいいと言いながら46oのようなハンドで参加するよりずっとマシだと自分は思います。

 

つまり、たくさん参加者がいる時の弱いハンドは

1、ポットオッズは確かに良い

2、しかし、ベストハンドを作るオッズはそれ以上に悪い

3、なので、オッズは合わない

のです。オッズが良いかどうかとオッズが合うかどうかは別物で、プレーする際はオッズが「良い」かどうかではなく、「合う」かどうかで判断しないといけないのです。

 

宝くじは、300円で3億円が狙えるとすると、100万倍の良いオッズがあります。

しかし、宝くじに大当たりするオッズはそれ以上にめちゃくちゃ悪いので、オッズは全く合わないのです。

うつ病九段

先崎先生著

うつ病九段」

読みました。

 

自分はうつ病で薬を処方して貰ってるという人を何人か知ってます(自分が知っている人は躁鬱病が多かった)し、それなりにうつ病に対して知識はあったつもりです。

やる気とかの次元ではなく、本当に身体が動かなくなるというのは知識では知ってました。そして、その方向に関しては自分の想像の範囲内ではあったのですが。

 

少しネタバレになってしまいますが、先崎先生が

「簡単な7手詰めの詰将棋が解けなくなっていた」

とあったのが一番の衝撃でした。

プロ棋士にとって7手詰めが解けないというのは、一般の人が13+8が解けなくなった、というようなものです。うつ病によって人間の能力が多少落ちるのは分かってましたが、まさかここまでとは知らなかったです。あまりに衝撃を受けました。

もちろんある程度以上重い方の症状なのは間違いありません。

それでも、先崎先生は1年弱で概ね回復するくらいでもまたあったわけです。お兄さんが優秀な精神科医だったり、家計を心配する必要なしに十分な治療が受けられる環境だったのが幸いしたのも間違いないでしょうが。

うつ病は心の病気ではなく、脳の病気である」

と本でもありましたし、よく聞くことでもあります。

この例から、本当に脳に直接的なダメージがある病気なのだとすごく納得がいく、そしてうつ病を少しだけまた理解出来た気がします。まさに、足を骨折した状態で走ることを強要されるようなものでしょうか。そして、足を骨折することは誰にでも起こり得る・・・

とても色々考えさせられる本でした。

 

うつ病は甘えだ!」と今でも心のすみに思っている方、是非一度読んで見てください。羽生さんと同世代でありながら、羽生さん以上の天才と言われ、将棋だけじゃなく文才にも恵まれ、傍から見たらうつ病にかかるとは想像もつかないような先崎先生のありのままの苦悩が描かれてます。

超小さいベットに対する対策

http://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2018/08/30/153151?_ga=2.98090070.833669124.1538629919-1097867378.1515996544

 

フロップでの超小さいベットについての記事を一ヶ月ほど前に書きました。

以前にも記事で書きましたが、

「小さいベットやレイズにはフォールドを減らしてコールを多めに」

「大きなベットやレイズにはフォールドを多くしてコールは少なめ、レイズを多め」

というのがポーカーの基本です。

 

そこに、AIによる戦術の進化で、人間が思いつかなかったようなプレーがどんどん出てきます。

「大きなベットにはフォールドを多くしてコールは少なめでレイズを多め」にするのであれば、お互いのレンジ的に、相手にはレイズ出来ないようなボードの時にオーバーベットすれば良い」

という考え方が登場します。

http://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2018/08/21/134354

 

次に、

「小さいベットに対してはフォールドを減らしてコールを多め」

に対しての対抗策として、コールしか出来なかった相手に対して、ターン以降でオーバーベットをバランスを取って行うことで、ポジションが無いところからのコールを牽制しているのです。つまり、小さいベットだからと広くコールしすぎると、ターンで大きなベットをされることでフロップでのベット分をみすみす奪われてしまう恐れがあるのです。ではポジションがない側はどうやって対抗すべきなのでしょうか。

 

ここで、ポーカーのもう一つの原則があります。

「広いベットには、フォールドを減らしてコールやレイズを増やす」

「狭いベットには、フォールドを増やしてコールやレイズを減らす」

 

ポットがそれなりに大きい時に、IPから1bbのベットをすることは損ですよね。何故かと言うと、相手に一方的にプレーの選択権を与えていて、コールされても殆ど追加で取れないからです。そう、このベットは相手にレイズする機会を与えている分、チェックより損なのです。

ポーカーに限らず、基本的にプレーの選択肢を相手に与えるということは損なことです。ただし相手が強い前提で、相手が格下だと、プレーの選択肢を与えたほうが得になることがありますが、原則という意味からは外れるのでそれは例外とします。

 

広く小さいベットをIPがするということは、こちらが有利なときにも広くレイズするチャンスをくれるということと一緒なのです。

また、この小さくベットするフロップは、お互いがモンスターハンドをヒットさせている可能性があるボードですから、オーバーポットが正当化されるようなレイズ出来ないボードではないのです。

 

相手はターンで、バランスを取ってオーバーベットを仕掛けて来ます。

それに対して、ターンでコール(やレイズ)してリバーの判断に持ち込む事ができるハンドとフロップではコールに値するけどターンではイージーにフォールド出来るハンドをコールにします。

そして、フロップですらコールするに値するか分からないようなハンドとモンスターハンドの7,8割をレイズに回し、それ以外をフォールドします。

 

ここで、NLHEのハンドを例にして説明します。

ボタンが2.5bbにオープン、自分がBBでコール。

フロップ9c7d5c

こちらがチェックに相手が30%ベット。

「ターンでコール(やレイズ)してリバーの判断に持ち込む事ができるハンド」

としては、78や76、キッカーの弱い9(9Tとか)などですね。

「フロップではコールに値するけどターンではイージーにフォールド出来るハンド」

の例としては、2オーバーカードなどが当てはまるでしょう。

そこに、ある程度の割合で強くないフラッシュドローをコールに混ぜます。

 

レイズに値するハンドは、2ペア+と2オーバーフラドロ、オープンエンドフラドロなどのモンスタードローがマジ手側。これらはターンでチェックレイズ要因として(ドローの場合はブラフになりますが)、コールにも混ぜます。

A6、A8、K6s、K8sなどのペアがないブロッカーハンド(+ドローの価値もある)がブラフとして。

基本的にA2からA4はチェックフォールド側ですが、Acを持っている場合はコールもレイズも(もちろんフォールドも)ありじゃないでしょうか。

A5やA7はどうしようかなとか、K7はどうしようかなとか非常に悩ましいです。

 

 

基本的なラインとしてはこういうことを考えますが、ここですごく大切な点として、相手はターンでどのくらいの頻度でオーバーベットをしてくるかを考えることです。

フロップで小さいベットを広くコールすることに対するエクスプロイトプレーは、ターンでのレンジの強さを活かしたオーバーベットです。

相手のターンでのベット率(特にオーバーベット)が高いと判断すれば、こちらはフロップのレイズを減らしてスロー側に多くのハンドを回して、ターンのチェックレイズやチェックコールを増やします。モンスターハンドと合わせて、ドローをターンでのチェックレイズにたくさん用意します。

一方、相手のターンでのベット率が低いならば、こちらはフロップで広くコールし、ターンで打たれたら強い手以外は素直に降りるのが良いです。

 

ソルバーで解析してわかるプレーは、相手が完璧にバランスを取ってプレーしてきた時のものです。

それを大体把握しておくことはとても大切ですが、でもそれだけだと、NLHE以外への応用が一切出来ません。

NLHEだけプレーできればいいよ、って人は多いかもしれませんが、真の意味で

「ポーカーが強い」

というのは、どんなポーカーのルールでも戦える、新しいルールでもその場で対応出来る、ということだと自分は思います。そのためには、ソルバーやスノーウイーが出した結果を覚えようとするのではなく、その元にある原則を理解しようとするのが近道だと自分は思います。

 

 

フロップでのドローハンドの考え方

先月末、次男が産まれてバタバタしてて、ブログを更新する暇が全くありませんでした。なので、月末にも関わらず、今月初めてのエントリです。

 

掲示板で、以下の質問を受けました。

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Heroのハンドはスーテッド。フロップにおいて9アウツあるフラッシュドローとします。
フロップ時点でのオッズは2と4の法則より36%とすると、フロップでベットされた場合には36%に見合うオッズならコールが肯定されるというような説明をよく受けます。
しかし、ターンで見れるカードは1枚。とするならば、2枚ドローできた場合のオッズの36%ではなく、1枚ドローした場合のオッズである18%を基準にアクションを考えるべきなのではないかと思いました。
この場合のオッズは36%と18%のどちら考え方は正しいのでしょうか。

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結構面白いかつ、数行で答えるのが難しい内容なので、ブログの記事にすることにします。

ザックリと回答すると、18%(20%)と見るのも36%と見るのもどちらも正しくないです。

 

 

1点目。

こちらがフロップでベットをコールした後、どんなカードが落ちてもターンで相手がベットしてくるとします。すると、こちらのドローはフロップ分しか考慮できません。

しかし、逆に言うと、20%を引けたとしても相手は必ず打ってくるわけです。

10ドルのポットに7ドルを打たれてコールしたとして、ポットは24ドル。

ターンでフラッシュ完成した場合、もちろん再逆転される可能性もあるとは言え、ここでレイズオールインしたら勝ちとすると、最低でも17ドルを追加でもらえるわけです。そうすると、7ドルの投資で41ドルを取りにいけるので、20%でもオッズに合います。

逆に相手がターンで必ずチェックしてくるとします。すると、こちらはリバーまで見れる前提でプレー出来ます。すると36%で良いわけです。

 

実際は、相手のターンのCB率はその中間で、ターンに落ちたカードによってプレーを変えるわけです。なので、20%と見るのも36%と見るのもどちらも正しくないのです。

 

 

2点目。

まず、9アウツで必ず勝てる(少なくても引いた時にフェイバリット)とします。すると、Aハイ(AハイボードならKハイ)フラドロのみです。その場合、Aを引いても勝てる可能性はそれなりに勝てる可能性はあるでしょう。そうすると、12アウツ弱あるのではないでしょうか。

そしてそもそも、仮に37Thhと落ちていて、A6hhと持っていると仮定すると、相手がKQ等で現状勝っている可能性すらあります。

逆に、ペア系での勝率が0ならば、それは相手はセットです。その場合、9アウツではなく8アウツです。ボードのペアになっていないカードのスートは死んでますから。

そう、相手のハンドが見えていれば○アウツとか言えるのですが、相手のハンドが見えてない状態では、9アウツとか言いようがないのです。

 

 

3点目。

フラドロを持っている時の勝ち方は完成させることだけではない、という事です。

質問では、プリフロップのアクションもポジションもスタックも相手のベットサイズも相手のフロップやターンのCB率も何も書かれていないのです。

仮に100bb持ちずつで相手がボタンから3bbにレイズ、こちらがBBでコール。

相手のフロップCB率が80%を超えるような状態で、相手がボードが37Thh、こちらのハンドがA6hhだったとしたら、引いたら勝てると考えずに、レイズして相手が降りたら勝てるわけです。

また、相手がSBからレイズで、こちらがBBからK8hhでコールして37Thhだったら、こちらは相手のCBをレイズしてもいいし、コールしてターンのカードと相手のアクションを見てプレーを決めてもいいのです。

 

 

ポーカーはハンドを作るゲームではなく、ブラフとバリューを混ぜ合わせたアクションによって稼ぐ、投資のゲームなのです。

 

最後に、自分の感覚ですが、NLHEにおいて、スーテッドハンドでフロップでフラドロになった場合、HUならその他の要素を考えるとほとんどの場合、事実上のフェイバリットだと思います。なので、フロップのフラドロはポジションやスタックがどんな状況でも大体、「最低でもコール」だと思います。

 

ランダム将棋

囲碁や将棋、オセロ、連珠などは、ゲーム性そのものには運の要素はないゲームです。もちろん、実力が近い人同士なら、たまたまより悪手をたくさん選んだ方が負けるわけで、そういう運の要素はありますが、いずれにせよプロ棋士にアマ初段の人が勝つことはあり得ないと言っていいです。

一方、ポーカーや麻雀、バックギャモンは、ゲーム性そのものに運の要素が含まれているため、ルールを覚えたばかりの初心者でも世界で一番強いプレーヤーに勝つことも普通にあり得るのが特徴です。

 

前者は、初心者がハンデなしだと上級者に絶対に勝てないので、それが普及の大きなハンデになっていると感じます。

一方後者は、長期的にやれば大数の法則によって実力上位者が勝つのですが、それにも関わらずどこまで行っても、「運ゲーだから」と言われます。

(まあ、ポーカーや麻雀が運ゲーだからくだらないとか言う人のかなりの割合は、囲碁将棋は強い人に勝てないからつまらないって言うんですよねwまあそれは置いておいてw)

 

いつも疑問に思うのは、メジャーなゲームで運の要素があるゲームはどれも、かなり運の要素が強いものだらけですよね。かなり実力差がある人たち(イメージは世界トップクラスとアマ初段)が一晩戦ったとして、弱い人が3割以上勝てるゲームばかりです。

一晩戦ったとして、格下側の勝率が0%のゲームは多々あります。しかし、格下側の勝率が5%から30%くらいのゲームは殆ど存在せず、そして格下側が30%から50%くらいのゲームはたくさんあるんですよね。不思議だなと思うわけです。

 

格下側の勝率が5%とかあるのは、バックギャモンのPR勝負などがこれに当たるんじゃないかなとは思いますが、それはあくまでゲームの一部を切り出したものという感じです。

 

そこで、格下側の勝率がその中間くらいだと思われ、さらに非常に面白いゲームがあるんです。それが「ランダム将棋」

http://shogitter.com/rule/107

 

ルールは、2点を除いて、普通の将棋と一緒です。相手の王を取ったら勝ち。

違う点の1つ目は、例えば初手で王を動かすと決めたとします。王の行くことが出来る場所は、48、58,68の3つ。ランダム将棋は、動かすコマを決めた場合、ルール上行くことが出来るところに完全ランダムに移動するのです!

持ち駒を打つ際も、二歩などの制約を考慮したあとで、打つことが出来る場所にランダムに配置されます。

二つ目は、詰みという概念がなく、相手の王を取るまでが勝負です。また、王手をかけられても、王手放置して良いです。相手が次に王を取れるとは限りませんしw

また、王を移動させるときも、相手の駒の効きにも移動できます。

 

これ、配信しながら元奨励会員のポーカープレーヤーとやってみたことがあるのですが、めちゃくちゃ笑いますw

 

 ちょっとやった感覚としては、世界トッププロとアマ初段なら、アマの勝率は20%くらいかなと。結構実力差は出る気がします。

もしかしたら、ある程度の定跡が出来たら差が出づらくなるとかかもしれませんが。

本当に面白いのでオススメです!難点としては、ランダムを作るのが大変なので、アプリ上でしかプレー出来ない点ですが。

 

超小さいフロップでのベットについて

最近、AIの影響でオーバーベットも流行りですが、それだけじゃなく超小さいベットもかなりたくさん見ます。

しかし、大きなベットに比べて、この超小さいベットは非常に考え方が難しいです。かくいう自分もそこまで完璧に理解しているわけではありません。ただ、ある程度は理解しているので、それを書いていこうと思います。

 

以前書いたように、小さいベットにはコールを多用するのが有効で、大きなベットにはハンドを絞ってフォールドとレイズを使うのが有効です。

オーバーベットは、相手にレイズの選択肢が非常に少ないようなボードで有力でした。

 

では、超小さいベットはどういうボードの時に有効かと言うと、相手にレイズの選択肢が多いボードで有力です。

具体的には、150bbずつ持ちで、ボタンが2.5bbにオープン。SBがフォールドしてBBがコール。

フロップ5s7d9s(5.5bb)

 

このボードは、強い順に68>99>77>55ですが、8Tssは68に対してやや有利、8Jssは68に対してほぼ五分なので、それらもモンスターハンドと呼んで良いでしょう。

BB側のレンジにこれらがどの程度あるかですが、99はBBの3ベットに入るでしょうが、77 は半々。55はコールのほうが多いでしょうか。

68はスーテッドならかなりコール側にいますし、オフスートでも半分くらいはコールにいそうです。8Tssや8Jssはコールレンジにあります。

ボタン側のレンジを考えると、これらはすべてオーブンレンジに入ってます。

つまりこのフロップでは、ボタンとBBのどちらにもモンスターハンドが含まれるのです。

以前だと、こういうウェットなボードはドローが多く、さらにBBのレンジにかなり噛んでいるため、CBは頻度を下げて大きめにしましょう、というのが普通の考え方でした。もちろんその方が、AAやKKだった時の期待値は高いでしょう。また、AQのようなハンドはチェックして、そもそものAQハイのハンドの強さを活かすというのが主流の考え方でした。

しかし、フロップでチェックすることで、ターンでラグが落ちた時に、前回の記事で書いたようなオーバーベットを相手にさせる機会を与えてしまうのです。それで降ろされてしまっては、なんのためにショウダウンバリューがあるハンドでチェックしたのか分かりません。

 

そこで、このようなフロップでは、ポットの30%くらいのCBを、ある程度高い頻度で打つことを考えます。

30%ベットなら、30/(100+30)で23%程度降ろせればブラフとして割に合います。なので、K6やQ8のようなブロッカー(+アウツ)を持ったハンド意外にも、K2ccのような以前の戦略だったら完全に諦めているようなハンドでも、ブラフで打つことは肯定されるでしょう。

もちろんモンスターハンドが入った時は損をします。

しかし、以前なら5.5bbのポットに4bbをベットし、相手コール。ターンでラグが落ちて、13.5bbのポットに10bbをベットしていたのですが、5.5bbのポットに2bbをベットし、相手コール。ターンでラグが落ちた時に、相手のレンジにはスロープレーをしていない限りモンスターハンドは存在しなくなりますので、オーバーベットを打つ基準を満たし、ターンでのオーバーベットが肯定されます。なので、ターンで9.5bbのポットに12bbを打つとしましょう。すると、以前のようなベットサイズの時と同じ金額をターンで入れる事ができるのです!

もちろんターンでラグが落ちないとそうは行かないのですが、しかしモンスターハンドが入ったとしてもフロップで小さくベットすることは、ターンでの戦略を考えると、実はそこまで損じゃないんですよね。

そして、その見返りとして、フロップでかなり広いレンジでブラフを打つことが出来る。5.5bbのポットを2bbのベットでブラフで取れたら非常にお得です。また、ターンでブラフを頑張るかどうかはその時に考えますが、完全ブラフで打った場合は、ターンで諦めればいいのです。以前だったらフロップで諦めていたものですが。

 

じゃあそういうプレーをさせないためにはどうします?

フロップで小さいベットに対して、ブラフで高頻度でレイズ?

でもそれって、小さいベットに対してはコール、大きいベットに対して手を絞ってレイズ、という原則に外れます。

スロープレーは有力ですが、でもモンスターハンドなんてそうそう完成しません。また、相手がドローだった場合に、ターンでチェックされてすごく安くフリーカードを取られます。

 

そう、こういうどちらにもナッツが含まれていて、ドローが多いボードに於いては、フロップでポジションがある側からの小さいベットが非常に有効になるのです。

 

そして、もし89oや76oのようなハンドを持っていたら、IP側はかなりチェックします。これらのハンドは、そこそこ強い上にブロッカーを持っているため、ターンでのBBのオーバーベットに対してもコールしやすいからです。

ベットするのは、2ペア+とオーバーペアと強めのドロー(ここまではレイズに対してコールかリレイズ)と、弱めのドローやナッシングのそこそこの割合と2オーバーカードの少しの割合など(これらはレイズに対してフォールド)をバランスさせてプレーを組み立てるのです。

 

 

正直、自分は今はNLHEのキャッシュゲームをそこまでやりこんでないので、これらのバランスを組み立てるのはもう良いやと思ってて、もっとミックスゲームをやりたいと思ってます。しかし、NLHEに特化したいのなら、これらの考え方は必須なのです。

また、自分はそこそこついて行っているつもりではありますが、NLHEは世界のトップを走っているわけではありません。なので、この考え方はちょっと違うよ、とか概ね正しいよ、というソルバー派やスノーウイー派の人がいたらツイッターにレスをくれると自分の勉強にもなって非常にありがたいですし、そういう議論が起これば記事を書いた甲斐もあると思います。