木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

超小さいフロップでのベットについて

最近、AIの影響でオーバーベットも流行りですが、それだけじゃなく超小さいベットもかなりたくさん見ます。

しかし、大きなベットに比べて、この超小さいベットは非常に考え方が難しいです。かくいう自分もそこまで完璧に理解しているわけではありません。ただ、ある程度は理解しているので、それを書いていこうと思います。

 

以前書いたように、小さいベットにはコールを多用するのが有効で、大きなベットにはハンドを絞ってフォールドとレイズを使うのが有効です。

オーバーベットは、相手にレイズの選択肢が非常に少ないようなボードで有力でした。

 

では、超小さいベットはどういうボードの時に有効かと言うと、相手にレイズの選択肢が多いボードで有力です。

具体的には、150bbずつ持ちで、ボタンが2.5bbにオープン。SBがフォールドしてBBがコール。

フロップ5s7d9s(5.5bb)

 

このボードは、強い順に68>99>77>55ですが、8Tssは68に対してやや有利、8Jssは68に対してほぼ五分なので、それらもモンスターハンドと呼んで良いでしょう。

BB側のレンジにこれらがどの程度あるかですが、99はBBの3ベットに入るでしょうが、77 は半々。55はコールのほうが多いでしょうか。

68はスーテッドならかなりコール側にいますし、オフスートでも半分くらいはコールにいそうです。8Tssや8Jssはコールレンジにあります。

ボタン側のレンジを考えると、これらはすべてオーブンレンジに入ってます。

つまりこのフロップでは、ボタンとBBのどちらにもモンスターハンドが含まれるのです。

以前だと、こういうウェットなボードはドローが多く、さらにBBのレンジにかなり噛んでいるため、CBは頻度を下げて大きめにしましょう、というのが普通の考え方でした。もちろんその方が、AAやKKだった時の期待値は高いでしょう。また、AQのようなハンドはチェックして、そもそものAQハイのハンドの強さを活かすというのが主流の考え方でした。

しかし、フロップでチェックすることで、ターンでラグが落ちた時に、前回の記事で書いたようなオーバーベットを相手にさせる機会を与えてしまうのです。それで降ろされてしまっては、なんのためにショウダウンバリューがあるハンドでチェックしたのか分かりません。

 

そこで、このようなフロップでは、ポットの30%くらいのCBを、ある程度高い頻度で打つことを考えます。

30%ベットなら、30/(100+30)で23%程度降ろせればブラフとして割に合います。なので、K6やQ8のようなブロッカー(+アウツ)を持ったハンド意外にも、K2ccのような以前の戦略だったら完全に諦めているようなハンドでも、ブラフで打つことは肯定されるでしょう。

もちろんモンスターハンドが入った時は損をします。

しかし、以前なら5.5bbのポットに4bbをベットし、相手コール。ターンでラグが落ちて、13.5bbのポットに10bbをベットしていたのですが、5.5bbのポットに2bbをベットし、相手コール。ターンでラグが落ちた時に、相手のレンジにはスロープレーをしていない限りモンスターハンドは存在しなくなりますので、オーバーベットを打つ基準を満たし、ターンでのオーバーベットが肯定されます。なので、ターンで9.5bbのポットに12bbを打つとしましょう。すると、以前のようなベットサイズの時と同じ金額をターンで入れる事ができるのです!

もちろんターンでラグが落ちないとそうは行かないのですが、しかしモンスターハンドが入ったとしてもフロップで小さくベットすることは、ターンでの戦略を考えると、実はそこまで損じゃないんですよね。

そして、その見返りとして、フロップでかなり広いレンジでブラフを打つことが出来る。5.5bbのポットを2bbのベットでブラフで取れたら非常にお得です。また、ターンでブラフを頑張るかどうかはその時に考えますが、完全ブラフで打った場合は、ターンで諦めればいいのです。以前だったらフロップで諦めていたものですが。

 

じゃあそういうプレーをさせないためにはどうします?

フロップで小さいベットに対して、ブラフで高頻度でレイズ?

でもそれって、小さいベットに対してはコール、大きいベットに対して手を絞ってレイズ、という原則に外れます。

スロープレーは有力ですが、でもモンスターハンドなんてそうそう完成しません。また、相手がドローだった場合に、ターンでチェックされてすごく安くフリーカードを取られます。

 

そう、こういうどちらにもナッツが含まれていて、ドローが多いボードに於いては、フロップでポジションがある側からの小さいベットが非常に有効になるのです。

 

そして、もし89oや76oのようなハンドを持っていたら、IP側はかなりチェックします。これらのハンドは、そこそこ強い上にブロッカーを持っているため、ターンでのBBのオーバーベットに対してもコールしやすいからです。

ベットするのは、2ペア+とオーバーペアと強めのドロー(ここまではレイズに対してコールかリレイズ)と、弱めのドローやナッシングのそこそこの割合と2オーバーカードの少しの割合など(これらはレイズに対してフォールド)をバランスさせてプレーを組み立てるのです。

 

 

正直、自分は今はNLHEのキャッシュゲームをそこまでやりこんでないので、これらのバランスを組み立てるのはもう良いやと思ってて、もっとミックスゲームをやりたいと思ってます。しかし、NLHEに特化したいのなら、これらの考え方は必須なのです。

また、自分はそこそこついて行っているつもりではありますが、NLHEは世界のトップを走っているわけではありません。なので、この考え方はちょっと違うよ、とか概ね正しいよ、というソルバー派やスノーウイー派の人がいたらツイッターにレスをくれると自分の勉強にもなって非常にありがたいですし、そういう議論が起これば記事を書いた甲斐もあると思います。