木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

東京都の保育園問題5 自分なりの結論

kihara-poker.hatenablog.com

 

東京都の保育園問題5です。こんな連載みたくなる予定はなかったんですけど・・・w

 

前回までで、1歳クラスから入りたかった場合について書きました。

では0歳クラスから入りたいと思っている場合はどうすべきでしょう。

特に加点が見込めない家庭を想定して書きます。

前回書いたように、0歳クラスで認証保育園に入れるのはすごく難しいです。ある意味認可保育園より激戦かも。

2020年の4月入園に向けて、2019年の4月に産まれる予定で2018年の8月から活動するのなら可能ですが(なのでこの時期のブログは役に立ってくれるとありがたいです!)、2年前から行動しないといけないのです。そして、妊娠前から保活を勉強している人はほとんどいないので、他の人を出し抜く事が出来るのです。

 

そうではない場合、自分の一番のオススメは、「引っ越し」です。

 

一般的に、家賃が高いエリアは保育園の激戦ではありません。

千代田区、港区、文京区の一部、新宿区の一部、豊島区の一部、などは比較的認可保育園にも入りやすいです。

家賃が高いところに住む余裕なんてないよ!とか言うかも知れません。

同じ広さの家で、二人で15万円で住んでいたのが、二人で18万円になったりします。その差額は大きいですよね。

でもですよ!

0歳クラスから復帰しないと行けなくて、無認可保育園に子どもを預けることになったとすると、月に15万円かかります。

認可保育園なら収入次第ですが、普通の収入だと月に3から5万円、年収1500万円+の高収入の家庭でも7万円です。月に10万円くらいの差額があります。これを1年間続けるわけです。それだったら、最初から3万円多く家賃を払ってそれらの区に住んだほうがいいと思いませんか?

当然通勤時間等も短縮になる場合が多いでしょうし、移動するとしても通勤に下りだとラッシュもそこまで大変じゃないです。QOL(生活の質)は向上します。もちろんそれでも確実に認可保育園に入れるとは限りません。しかし、それらの区だと加点なしでも入れる上に、他の世帯に高収入の人が多いため、収入での戦いも意外と戦えます。その収入勝負で戦えない人は、シッターさんを雇うとかも余裕な家庭でしょう。

そして、これらの区は財政に余裕があるので、認可保育園に入れなくても色々となんとかなるように施策をしています。千代田区は、認可保育園に入れなかった世帯を対象に、認可保育園と全く同額でベビーシッターさんを家に派遣してくれます。文京区は、臨時保育所をいくつか設置しています。

 

ということで、子どもが産まれる前のタイミングで引っ越しをしましょう、というのが自分の一番の結論です!

 

 

東京都の保育園問題4 認証保育園狙い

kihara-poker.hatenablog.com

 

東京都の保育園問題4、取るべき戦略編です。

まず、1歳から保育園に入れたいと考えている場合。

 

無認可保育園や認証保育園は、どの子どもを入園させるかは保育園に任されています。選別方法は大きく分けて2種類、園長先生との案内兼面談をする保育園と、単純に順番通りの保育園です。

前者は基本的に戦略の立てようがありません。会社が運営している保育園はその社員は優先的に入れますし、宗教団体系なら信者が優先的に入れます。事業者系でも、なんらかの基準で子どもを選びますが、その基準は公表されてません。

狙い目は、順番待ちの保育園(案内の時に順番通りだと説明をされます)です。1歳から保育園に入れたかったら、0歳クラスの申し込みに秋くらいに行きましょう。12月に行った保育園は、順番待ちの人数を教えてくれたのですが、そこは10人の定員に対して、200人待ちと言われました。

 

順番が最初の方の子は、4月生まれ予定だと妊娠が判明するのがその前の年の8月とかですが、その段階で見学&申し込みをするのです。つまり、4月5月生まれをしっかり狙い、ピンポイントで妊娠しない限り厳しいのです。(もしくは妊娠してないのに妊娠していると嘘をついて8月くらいに行くのかな?そこら辺は不明です)

フルタイムで働いていないと認可保育園は確実に無理なので、そういう家庭は最初から認証保育園に一本で狙いを付けて来るのですね。

 

まあ、200人待ちなんて絶望ですw

しかし、そこの保育園から、1歳児クラスに進級する直前の3月に

「枠が空いたけどどうでしょう?」

と電話がかかってきたのです。

何とも律儀だなと思いました。だって、200人待ちでうちにも電話が来たということは、1年以上前の名簿をしっかり保管してて、全員に電話をかけていたということですよね。

(余談ですが、その保育園は見学に行った認証保育園の中で一番好感が持てるところでした。そういうところはこういう対応もしっかりしているということなのかも)

 

つまり、1歳から復帰したいと考えていても、

・0歳から保育園活動として、主に認証保育園を回る。その時に選択方法を聞き、順番通りと言われたら申し込みをする。

・1歳から入ってみたいと思う認可保育園に、1年以上前から見学に行く

・認可保育園は0歳クラスには申し込まずに期日を過ぎてから申し込む、もしくは無理目のところだけに申し込む(認可保育園は受かってから断ると、次回以降の減点になります)

すると、順番通りの認証保育園なら、その子達が次の年に認可に行くに当たって空いた枠が3月に空くので、0歳クラス前から活動していた人たちに電話がくるのです。

最初から1歳クラスと考えている人は意外と0歳クラス前には行動しないので、そこは大きなリードとなるのです。

その上で、ダメ元で認可保育園にも申し込みをします。入園の半年前(区によって違うかも。そこは済んでる区で確認してください)から申し込みをしておかないと、待機児童ポイントが付かないので、しっかり申し込みをしておくことが大切です。

 

ところで、意外なことに、年度の途中でも空きが出ます。

うちの保育園は0歳クラスの4月スタートから3月までで、10人中2人入れ替わりました。すると、突然

「空きましたよ」

と電話が来たりします。

認可保育園は一度断るとポイントが減点になるので、認可保育園にいずれ入れたいと思っているのならば、断るのは相当無謀です。

しかし、認可保育園や認証保育園は、両親が共働きというのが入園の条件です。突然電話がかかってきて、その次の月から入園になるわけですが、その時に職場に次の月に復帰しないといけないのです。なので、可能性としては小さいですが、その点を職場としっかり話をしておき、突然であっても復帰できるように職場の協力を取り付けておくのは大切だと思います。

 

ミックスゲームの勧め、PLO

多くの日本人にとって、ポーカーと言えば5枚貰って一回チェンジして手を見せあって勝った負けた!です。最近では、取材を申し込んで来る人はポーカーがそれではないということは知っているのですが、2012年とか2013年くらいまでは、ポーカーはどうやってチェンジするかとかのパターンを覚えるのですか?とか聞かれたものです。

 

で、このブログを読んでくれている多くの方にとって、ポーカーとはノーリミットテキサスホールデムを指すでしょう。

でも、ポーカーってそれ以外にもものすごくたくさん種類があるのです。

テキサスホールデム以外だったら何をやったらいいのですか?とよく聞かれますが、まずは、圧倒的な2番人気種目のPLO(ポットリミットオマハ)です。

ルールとしては、テキサスホールデムと同じようにブラインド形式ですが、違うところは3つ

1,手札が4枚

2,手札から2枚、ボードから3枚を使う(テキサスホールデムだと、手札1枚ボード4枚というのが許されますが、PLOでは許されません)

3,ベット金額が1bb以上ポット以下。

ポットが10bbなら10bbまでしかベット出来ません。

例えばブラインドが1/2だとします。そこでポットレイズしたいとすると、まず2ドルをコールします。すると全部で1+2+2で5ドルのポットがあるので、5ドルまで上乗せ出来ます。つまり、ポットレイズは7ドルです。

 

PLOはゲームとしては、手札が4枚あるので強い手ができやすいです。

それから、ホールデムだとAAは一人相手には平均で85%、最も相性が悪いハンドでも76%勝てます。しかし、PLOでの最強(AAJJdsと言われてますが、AATTdsだろうとAAKKdsだろうとAAKQdsだろうとAAJTdsだろうとほぼ同じです)ハンドであっても、平均で65%程度、最強のハンドでも相性が悪いハンドには60%を切ることもあります。つまり、フロップ以降での逆転(さらに再逆転も)が多いのです。

また、ハンドの組み合わせが非常に多い

(52×51×50×49÷4÷3÷2=270725通り)

ので、表を作るというようなことが基本的に出来ません。

ホールデムだと、ターンやリバーで相手のハンドが10通りくらいに絞り込めることがたまに出来ますが、PLOだと人間には事実上不可能です。

その中で何を判断の基準にしてプレーしていくのか。

 

自分はポーカーを覚えたのが25歳の後半で非常に遅いですが、ベースに数学の知識があり、計算力があり、それらを使ってポーカーをプレーしてます。

なので、ホールデムでも、相手のハンドの組み合わせを具体的に考え、数え、その中でどうプレーするのが最善かを考えてきました。

しかし、キャリアが長い人は、もっとざっくりとプレーします。そして、そのざっくりしたものが非常に正確なのです。

 

PLOは、相手のハンドを数えたり具体的に考える事が不可能です。

もっとざっくりとハンドの組み合わせをイメージし、ざっくりと扱う。良く言うのが、雲のような「もやー」っとしたイメージを持ち、そこに濃淡があり、その濃淡に対してどう対応するのかを考える感じです。

そして、PLOをプレーしたことで、NLHEにおいても、この「もやー」っとした感覚が身についてきたんですね。それは自分にとっては大きな成長でしたし、PLOをプレーすることで非常にNLHEにも好影響を与えました。

 

良く

PLOとかにも興味はあるんだけど、他のゲームをやるのはNLHEをもっと極めたらにします」

という意見を聞くのですが、これには自分は反対です。

どこまで行ってもNLHEを極めるなんて無理です。だったら、PLOに興味があるのならやってみましょうよ。得るものは大きいです。

東京都の保育園問題3 問題続編、闇は深い

kihara-poker.hatenablog.com

 

すごく遅い更新ですが、東京都の保育園問題3です。

前回の記事で、事実上解決不能だと書きました。

しかし、解決不能なら対策を打たなくていいのかと言うと、それは全く別の話です。

囲碁や将棋を完全解明することは今の所事実上不可能ですが、それでもプロ棋士は勉強をし続けるわけです。学問だって同じですよね。

 

で、実際のところ、認可保育園に入るには、個人としてはどうすべきなのでしょうか。

結局、競争に勝たないといけないのです。

 

減点ポイント:

・認可保育園に入るには、両親が共働き、もしくは就学中である必要があるのですが、週5×8時間以上、いわゆるフルタイムでなければ、点数が減点されます。

・引退した祖父母が近所に住んでいたら、緊急性が低いとされて減点されます。

・多くの区の場合、自宅労働者は、緊急性が低いとされて減点されます。

 

現在の過当競争状態だと、満点じゃないとそもそもお話になりません。

満点同士だと、次に比較対象になるのは色々条件があるのですが、事実上、「収入」です。収入が高い方が緊急性が低いと判断されるのです。

 

だがしかし、実は緊急性が高い案件として、満点の上に加点もあって、

・片親である(離別、死別)

・片親が単身赴任である

・双子

・兄姉がいる(区による)

・兄姉が認可保育園に通っている(区による)

・認可外保育園に通っている

・待機児童となっている

などです。

 

そして、超激戦の保育園だと、満点ですら最初から無理、というところもある、というか満点では最初から無理という保育園のほうが過半数なんじゃないでしょうか。

ちなみに自分は、海外に長く行くことがあるので、単身赴任を申請してみましたが通りませんでした。基本的に、もう一つ住所がないといけないようです。

一人目の子どもを認可保育園に入れるためにはどうすべきか。

1歳クラス

(4月1日に1歳である。4月生まれだと、1年の殆どは2歳なのに、1年間ずっと1歳クラス。なお、日本の法律では歳を取るのは日付が切り替わる瞬間なので、4月1日に産まれた子は最初の4/1日で1歳扱い)

に入れたい場合から考えます。

区によるのですが、4/1日の半年以上前に認可保育園の申込みをします。

すると、そのまま保育園には当然入れませんから、待機児童となります。これで加点ゲット!

ですが、これはほぼすべての子どもがゲット出来るポイントです。つまり、待機児童ポイントありきで満点と見たほうが良いです。保活の超基本手筋ですが、こんな基本手筋すら知らないようだと、勝つのはまず無理でしょう。とはいえ、基本手筋を知らない人が勝手にいくらか脱落してくれるので、知ってる人はほんの少し有利になります。

しかし、1歳クラスは保育園戦争の中で最激戦です。だって、1年間くらいは育休欲しいと思う人多くないですか?その上、0歳から受け入れている保育園は、0歳の子がそのまま1歳に持ち上がります。その子たちはフリーパスでそのまま進級できるので、枠がありません。多くの保育園では、0歳クラスと1歳クラスの定員は同じです。

1歳児を受け入れていない保育園もあります。また、わずかに1歳クラスから枠を増やす保育園もあります。事実上そこしか選択肢はないのです。それにもかかわらず、1歳から保育園に入れたい親は非常に多いのです。最激戦にならざるを得ません。

多くの場合、満点+待機児童加点だけでは保育園に入れられない事が多いのです。収入が高い家庭ならなおさら無理でしょう。

しかし、もう1点加点があると、話は大きく変わります。だって、それ以外の加点を取るのって結構難しいですよね?

さすがに保育園問題のために偽装離婚するわけにはいきません(いや、実際いるとは思いますけど、違法ですから)。

すると、事実上可能なのは、認可外保育園に通っている、ですよね。

ん?でも1歳から保育園に入れたいと思っているのに、その前から認可外保育園に通わせないといけないの?高いお金払って?

そうなんです。非常に矛盾するかもだけど、1歳から認可保育園に入れたかったら、0歳のうちに認可外保育園に入れないといけないのです。

それなら、1歳から無認可外保育園に入れて、2歳から認可保育園にしよう。

そう考えるのが自然です。実際、多くの保育園は、2歳から枠が増えます。3歳以降は幼稚園に行く子も出てくる上に枠が更に増えるので、満点未満でも入れることも結構あります。

激戦度合いで言えば、1歳>0歳>2歳>3歳以上、なのです。

しかし、1歳からの無認可保育園もなかなかの激戦で、補助が手厚い認証保育園(

東京都の保育園問題1 現状解説編 - 木原直哉オフィシャルブログ

を参照)だと200人待ちというのもザラなのです。無認可保育園なら入れるかもしれませんが、やっぱり前述のエントリの通り、出来れば避けたいです。どうしよう・・・

 

ということで、4に続きます。

 

 

 

 

 

GTOとエクスプロイット

ポーカー界では、GTOという概念が今、急速に進化、普及してます。

大ざっぱに言うと、相手がどんなプレーをしてきても、こちらは相手にやられこまれてしまうことがない戦略、です。

これだと何を言っているのかわからないかもですが、具体的に言うと、オンラインでじゃんけんをすることを想定して下さい。そこで、相手は心理学のスペシャリストだとします。普通に勝負をしたらトータルではほぼ勝ち目がない。その時、時計の秒針を見て、3で割り切れたらグー、3で割って余りが1ならチョキ、余りが2ならパーを1出す、という戦略を取ったとすると、相手がどんなに格上のプレーヤーであってもイーブンの勝負に持っていくことが出来ます。

じゃんけんでこの戦略を使ったら相手が弱くてもトータル引き分けですが、ポーカーの場合相手がミスをすると、その分こちらの利益になり、ミスをしなかったらイーブン、というような戦略になりえるのです。

必勝法的な理想的な戦略に聞こえますよね?

それを完璧にこなせるのなら事実上ほぼ負けないでしょう。

でもそれって、将棋ソフト「ポナンザ」と全く同じ指し手を選ぶことが出来たらプロ棋士にも勝てる、というような話と全く一緒なのです。

自分は、そういう意味で、GTOプラトンが唱える「イデア」のようなものだと思うのです。

 

一方、GTOと対を成す考え方が、エクスプロイット(exploit)です。

ポーカーは(手数料を考慮しなければ)ゼロサムゲームなので、相手がミスをしてくれたらその分こちらの利益になります。

GTOは、こちらがひたすらミスをしないようにプレーし、相手がミスをした時にその分の得がトータルでプラスになるという考え方です。

一方エクスプロイトは、相手から積極的にミスを引き出そうとします。

例えばあるシチュエーションで、GTOは、AQ+、ATs+、KJs+、A5s、A4s、88+で3倍に3ベットしなさいと主張するとしましょう。

しかし、相手が3ベットへの対応が下手だとすると、もっとたくさんのハンドで3ベットをしても利益が出るのではないでしょうか。

相手の弱点をとことん突こう、というのがエクスプロイットです。

 

 

ところで最近、一部の人たちに、自分はかなりのエクスプロイット志向のプレーヤーであると思われているような気がします。

しかし、これは完全な誤解で、自分はむしろかなりのGTO側のプレーヤーです。古くからひゃっほう掲示板のハンドレビューやQ&Aなどを見ている人は分かるかと思いますが、自分はずっと(恐らく2010年くらいから)「ABCポーカーが基本」と言い続けて来てます。これは今の言い方なら、ちょっとタイト目のGTOに相当します。それがポーカーの基本であって、いつでもそれをしようとしたら出来る、そういう状態になることが一番大切である、と。

その上で、どちらを選んでもGTO的にそこまで差がない場合、相手によってプレーを変えるのが正しい、と主張しつづけているのです。

さらに言えば、多く(海外のプロの大多数)のプロは、エクスプロイットを過大評価してます。そして、無理にエクスプロイットしようと本来のレンジから外れすぎたプレーをしているプロを狙って大きなポットを狙うのが自分が得意としているプレーです。

 

しかし、GTOが主張するレンジを盲信するのも考えものだと自分はまた思うのです。

先程あげたシチュエーションでの3ベット(AQ+、ATs+、KQs+、A5s、A4s、88+)がGTOの推奨するレンジだとしましょう。

その状況で、KQoや66、9Tsを3ベットに組み込むのはそれぞれどの程度期待値を失うと見積もっているのか、具体的な数字を評価出来ているのでしょうか。

また、ATsとKQsをレンジから外した場合はどの程度期待値を失うと見積もっているのでしょうか。

自分は、それらの見積もりがある程度の正確さの数字で言うことが出来ないのであれば、数学の公式の丸暗記みたいなもので、本当に価値が低いと思うのです。

一方、それらをしっかり考察出来ているとすると、

「相手のレンジがGTOレンジより3%ほど緩いからKQoとKJsと77も3ベットに組み込もう」

と考えていくのが正しいエクスプロイットだと自分は思うのです。フロップ以降で更にエッジがあると確信出来る場合は、そこからもう少しだけ広げてプレーすることも正当化されます。

 

一方、エクスプロイット志向が強いプレーヤーは、フロップ以降のエッジを過大評価してしまうのです。

100bbのポットに130bbのブラフオールインを打って相手を降ろしたらスキルで100bb稼いだような錯覚に陥ってしまうのです。

しかし、相手がナッツを持っていたら降ろせないし、たまたまブラフに適するボードになってそこで適切にブラフを出来たというだけであって、それですらたまたまなのです。

フロップ以降で0.5bbのスキルエッジを平均で出せるとしても、プリフロップでGTOから0.8bbのミスをしていたら、トータルで損なのです。

その上、多くのライブプロは自信過剰なところがあります。フロップ以降で0.5bbのエッジがあると向こうは思ってるけど、実際はこちらが0.2bbのエッジがある、ということはザラです。そうすると、相手は二重のミスをしてくれるわけで、自分が良く言う

「弱めのプロを食う」

というのはこういうことなのです。

 

精度が悪くても、GTO志向のプレーヤーから取れるのは限られてます。

ポーカーに限らず、基本がしっかりした上で応用、というのはほぼすべてのことに共通の考え方だと思います。

 

東京都の保育園問題2 解決策なし

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昨日の記事、読まれた数はいつものポーカー記事よりかなり少なかったですが、コメントはいつもより多くいただきました。

 

 

この問題、どんなに区が個別に頑張っても、絶対に解決しないのです。国が本気でものすごい金額を投入しない限り・・・

 

保育園はどんなに作っても作っても、絶対に足りなくなります。

それは何故かと言うと、20万円の商品が5万円で売られているからなのです。

一人一つしか買えない20万円の商品が、今住んでいるところだと品切れで、隣町なら5万円でまだ在庫がある。そういう状況なら隣町まで買いに行きますよね?

認可保育園の運営事業者の区がどんなに頑張って認可保育園をどんどん作ったところで、足りないところから移動してくるだけで一向に待機児童は解消しないのです。

また、23区や近隣の市が協力してすごく頑張って現状の待機児童の子が全員保育園に入れるようになったとしたら、今度は今までだったらまず無理な人(前述の優先順位が低いと判断される人)で、認可保育園を最初から諦めていた人の子どもが新たに待機児童になるだけなのです。

日本全体で、保育園がダブつくくらい作らない限り解決しない。

しかも、小学生なら1人の先生が40人のクラスを担当しますが、0歳時は1人の先生は3人の子どもしか担当出来ないのです。人的資源的にも資金的にも相当難しいものがあります。

 

20万円の商品を10万円で売ることにすれば、補助資金的にも解決しやすくなるし、それなら買わないという人も出てくるので一見待機児童問題の解決には近づきます。

しかし、それだと子どもを持てない人が増え、ただでさえ少子化で将来の日本がどうなるかと問題になっている状況で、より少子化を推し進めることになってしまいます。

昨日のエントリで書いた収入が高い人はそれを歓迎するでしょうが、今度はそれだと困る人がもっともっとたくさん出るのです。

 

 

この問題ですが、細かい改善点はたくさんあるでしょう。FBでコメントをいただきましたが、0歳児クラスと言っても4月時点で3ヶ月の子もいれば、入ってすぐに1歳になる子もいます。低月齢のうちは大変で、保育士1人で3人が限度です。しかし、1歳になると1人で5から6人を見ることが出来ます。3歳になると15人から20人を見ることが出来ます。なので、4月に一斉にクラスを上がるのではなく、2,3ヶ月ごとに選考を随時行うことで事実上受け入れ人数を増やせるでしょう。

しかし、これは根本解決につながるわけではありません。

どんなに政治家や官僚が頑張ったところで、事実上解決不能な問題だと自分は思ってます。解決しないのは政治家の怠慢でもなく、原理的にどうしようもないのです。

日本が国としてすごく裕福になり、子育てにジャブジャブとお金をつぎ込めるようにならない限り・・・

 

身も蓋もない結論ですけれども、これが現実だと思います。

 

次回は、実際の選考の流れと、じゃあ個人としては保育園戦争を勝ち抜くにはどうしないといけないかを書こうと思います。

 

東京都の保育園問題1 現状解説編

保育園問題が有名になって久しいですね。いつまで経っても待機児童問題は解消しない、政治家は何をしているんだ!!??と良く聞きますが、これは原理的にほぼ解決不能な問題だと思うのです。以下、それについて色々書きます。

 

そもそも、0歳児を保育するのっていくらかかると思うでしょうか。

これ、月曜日から金曜日までの平日、8時から17時として、20万円くらいとのことです。

高い!!!

でもよく考えると、3人の0歳児に対して最低1人の保育士がいないといけないという決まりがあります。

保育士が20万円の手取りを貰うとして、所々の天引きがあると元はその2倍、40万円ほどを保護者3家庭で負担しないといけないのです。

もちろんそれ以外でも家賃光熱費・・・と考えていくと、月20万円かかるのは納得です。しかし、多くの家庭はそんな金額は払いようがありません。これを全額親に払わせようとしたら、子どもを産めるのはかなりの高収入(年収1500万円+)の人か、かなりの資産家か、もしくは子どもをみてくれる近親者がいる人か、そうでないのなら両親のうち片方が仕事を辞めないといけません。そんな世の中だと、あっという間に日本は廃れます。そこで、行政が負担をするわけですが、国というものを維持するに当たってその負担は不可欠です。

で、保育園ですが、東京都の場合、大きく分けて3つに分かれます。

それは

1,認可保育園

2,認証保育園

3,無認可保育園

 

認可保育園とは、市や区が直接保育園にお金を支払ってます(都の援助もあると思いますが)。

保護者は収入に応じて区にお金を支払います。その金額は普通の収入だと月額3から5万円で、最高(年収1500万円+)でも8万円弱です。

大体、0歳児1人当たり15万円を区が負担してます。

そして選考は、区で行います。保育園は子ども(や保護者)を選べず、割り当てられた子どもを受け入れることになります。認可保育園に申し込むには、共働きである等一定の条件があります。

 

認証保育園は大きなくくりでは無認可保育園と同じなのですが、都の援助が入ってます。保護者の負担は大体7万円前後で、収入に依りません。選考は保育園が行います。

 

無認可保育園はほぼ援助がありません。つまり、保護者が支払う保育料がそのまま園の収入になります。保護者の負担は13万円前後が多いです。

 

 

この中で、認可保育園 が一番安く子どもを預けることが出来るので、みんなそこを目指します。すると競争が過酷になるのです。

認可保育園は行政サービスではなく福祉サービスというカテゴリです。つまり、住民の生活の質を向上させるための施設ではなく、国民の最低限度の生活を維持するためという施設、生活保護と同様のカテゴリなのです。なので、自力で何とか出来ると思われるような高収入の人や、短い時間しか働かなくても生活できる人は優先度が低くなってしまいます。また、働いていない祖父母が近くに住んでいる場合も優先度が下がります。

一方、ひとり親だったり単身赴任だったりすると優先度は上がるし、複数の子どもがいる場合(双子は優先度が高いです)も優先度はあがります。共働きなのに収入が低い人も優先されやすいです。また、認証や無認可保育園に通っている場合、次年度の優先順位があがります。そこまでして預けないといけないという証拠、という感じだからです。

そして、ある程度収入がある親で、保育園激戦区に住んでいると、事実上1年目での認可保育園は無理というのが現状です。

 

認可保育園が無理なら、次は認証保育園です。

月7万円。共働きなら何とか払えなくもない金額です。

こちらは高収入で弾かれた人以外にも、両親のどちらかがフルタイムじゃない親が殺到します。登録順番通りの保育園もあれば、順番関係なく、園が育てたいと思うような子(事実上、子どもの親)を選ぶところもあります。

順番通りの保育園ですが、うちは12月の時点で説明会に行ったら、教えてくれたところは0歳児だけで200人待ちと言われ、当然4月時点ではアウト。なんと、その次の3月になって、空きましたがどうですか?と電話がかかってきました。1歳クラスに上がるに当たって認可保育園の空きがあるところに決まった子が出て、順番に電話をしたのでしょう(保育園も大変ですよね・・・)。

 

認証保育園がアウトなら、残るは無認可保育園です。

月13万円。しかし、0歳児は20万円かかるんですよね。なのに13万円で良いということは、主に2歳児クラスの保育費が0歳児クラスに回されているのだと思います。それでも20万円に到達はしないでしょう。するとどうなるか。狭い部屋で、職場環境が良いところに就職できなかった先生が見ることになるのです。

収入が比較的高く、税金をたくさん納めている両親の子どもは1年間、無認可保育園に入って、ポイントをためないと、認可保育園に入ることは絶望なのです・・・

 

 

次回に続きます