ホールデムをプレーしてます。100bbずつ持ちです。
— Naoya Kihara 木原直哉 (@key_poker) 2018年1月30日
SBが3bbにレイズ、BBで7s8sでコール。
フロップは3s9sTh。ここで何故かお互いにハンドが分かり(相手もこちらの7s8sが分かる)、相手はAdTdでした。フロップ時点の勝率は7s8sが56%です。どちらを持ちたいですか?
7s8sが58%
AdTdが21%
これだけじゃ答えられないが7%
分からない/結果を見るが14%
これの回答ですが、設問者的には3番目の「これだけじゃ答えられない」が正解です。
もし設問に、
「レークのないノーリミットホールデムのキャッシュゲーム」
と書いてあったら1番目が正解です。
その場合は、ATsのアクションに関わらず、フロップで7s8sいきなりオールインするのが正解なのです。ノーリミットホールデムでは別にポットの15倍を打ったらいけないというルールはありません。
じゃあ、分解して考えてみましょう。
「キャッシュゲーム」の部分。
アベレージが30bbで残り9人のファイナルテーブル。二人合計で200bb持ってて、残り7人で合計70bb持ち。珍しいけど絶対にないシチュエーションではないですよね。
普通の賞金ストラクチャーだったら、100bbのオールインを勝率56%ではコールしてはいけません。お互いハンドが見えているなら、ここでATがいきなりオールインします。すると7s8sはコールできないのです。なので、ATがお得。ただし、自爆コールされる恐れはありますし、そういう相手なら降りないとダメです(それも含めてやっぱりこれだけの情報では答えられませんよね)。
サテライト終盤でもATのオールインが(相手が正解のプレーをしてくるなら)正解ですね。
次に
「レークのない」の部分。
韓国のキャッシュゲームだとレークが10%です。キャップはレート次第で15ドルから30ドル。レーク10%と言うのはそこそこあります。WSOP会場のRIOも、キャップが5ドルと良心的ですが、レークは10%です。
ここで、上限なしの20%レークだとします。
すると、ATがオールインすると、BBは、コールして勝ったら160bbポットがもらえるので97bbのリスクを負って63bbモアを取りに行く計算なので、
97÷160=60.6%
の勝率が必要なのです。実際は56%なので、割に合わないです。
(自分は今後同じようなプレーをさせない意味も含めてコールしますがw)
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最後に、「ノーリミットホールデム」の部分。
実はここがこのエントリの主題です。
仮にレークがないキャッシュゲームだとします。
しかし、もしこれがポットリミットホールデムだったらどうでしょう。
その場合は、ターンから逆算します。
ターンでラグ(2c)が落ちたとします。
すると、7s8sは44枚中15アウツ、勝率が15÷44=34.1%です。
ATはターンでポットベットします。そして、お互いハンドが見えているので、リバーでのアクションは起こりませんので、このベットはオールインと同じです。
ポットベットに対して、必要勝率は3分の1、33.3%です。
これは、コールしてもフォールドしてもどちらでも良いくらいのベットです。
具体的に計算すると、ターンのポットが1とすると、
フォールドした場合は期待値0。コールした場合は、
3×15/44-1=45/44=0.02
(ポット×勝率ー追加投入金額)
なので、わずかにコールが得ですね。
ターンが7か8の場合を考えましょう。この時は、7s8sのアウツは20アウツなので、コールした際の期待値は
3×20/44-1=16/44=0.36
です。
一方、ターンでストレートかフラッシュが引けた場合は、AT側は勝率が0%なので、単に降りるだけです。
フロップ時点で残り45枚中、ターンのポットサイズ(=フロップでベットが終了した時点のポットサイズ)を1とすると
ストレートかフラッシュ完成の15枚→7s8sが期待値1(ATは期待値0)
7か8の6枚→7s8sが期待値0.36(ATは期待値0.64)
それ以外の24枚→7s8sが期待値0.02(ATが期待値0.98)
合計すると、7s8sは
1×15/45+(16/44)×6/45+1/44×24/45=13/33=0.397
ATは、(1-13/33)=0.603
つまり、ATは、ターンでポットサイズくらいのスタックが残る範囲でフロップでポットをふくらませるのが得なのです。フロップで勝率が44%しかないのにも関わらず!
なので、ATがフロップでポットベットの6bbをベットして、7s8sがオッズコールするのです(ポットレイズしてもスタックが残ってしまうため)。
このアクション後は18bbのポットになるので、7s8sが7.2bb、ATが10.8bの期待値になります。(プリフロップから通算したい人は9bbずつ引き、フロップから通算したい人は6bbずつ引いて下さい)
まとめ
どうしてこんなことが起こるのか。それは、45枚中24枚のカードによって、ATがターンで「最強のオールイン」を打つことが出来るからです。
最強のオールインを打つ、ということの重要性を知ってほしいがためのエントリでした。