木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ミックスゲームの勧め、スタッドハイロー

やっとスタッドハイローまで来ました。

スタッドハイローはオマハハイローと並んで、ミックスゲームプレーヤーならしっかり勉強しておくべきトップ2のゲームです。

ちなみに、stud8(スタッドエイト)とか、studH/Lとか、stud 8 or betterとか、Eとか色々な呼び方がありますが、全部一緒です。

 

ゲームの進め方は、スタッドと全く一緒です(正確には、4thでのダブルベットが無いというのがありますが、一旦忘れてください)。

ベット形式も全く同様に7thまで進み、最後にショウダウンになった時に、スタッドと同様に7枚中5枚でベストハンドの人がポットの半分を獲得します。残りの半分は、7枚中5枚を使って、8以下のローで一番強い人がポットを獲得します。

誰も8以下で5枚のローが出来なかった場合はハイが全部ポットを取ることが出来ます。

例えば、(A5)7 5 6 2 (7)のハンドなら、ハイは7と5の2ペア、ローは76521です。

一方、(32)3 4 A 2 (3)のハンドの人は、ハイが3のフルハウス、ローが4321だけなので、ローはありません。オマハハイローと一緒で、ペアになったものはカウントしないのです。 なので、この二人が戦った場合はチョップ(引き分け、ポットを2分の1にして折半)になります。

ちなみに、フルハウスは絶対にローがありません。

 

簡単な戦略ですが、8以下はローを作れますが、9からKはローとして完全に無用です。なので、あらかじめ大きなペアがない限り、9からKはこのゲームではクズカードなのです。

ローカード3枚あるか、ビッグペアがある時に参加するというのが基本です。

そして、4th以下は、9からKを引いた人(先アクションになることが多いです)がチェックし、ローカードを引いた人がベットしていく、というのがスタンダードな流れになります。

イメージ的には、ローカードの枚数で勝負がつくと言っても過言ではありません。途中で9からKを2枚引いたとしましょう。本当に運良くストレートやフラッシュにならない限り、ローが出来たらハイはほぼ負け、ペアが出来たらローは負けなのです。

カンのいい人は既に気づいているかも知れませんが、このゲームではAはハイでもローでも最強のカードです。1.5枚分の価値があると思います。

また、スタートの3枚が345のようにコネクトしているのも、0.5枚分の上乗せの価値があります。同様に、スタートの3枚がスートなのも、0.5枚分の上乗せの価値があります。

 

基本的なプレーはなれるとある程度機械的に出来、それがあまり大きなミスにならないゲームです。なので、6人以上で打っている場合、相手がどんなに強い人でもある程勉強すれば殆ど負かされることはなく、また相手が基本を理解していない場合、そこからは莫大なエッジが出ます。強い人同士ならほぼ差が出ないゲームです。

なので、強くなるハードルが低く、強くなる価値が非常に高いゲームだと言えるのです。

 

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スタッドハイローの解説動画

 

 

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HORSEの解説動画

 

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8ゲームの解説動画

 

 

ミックスゲームの勧め、Razz

ミックスゲームの勧め、続編です。

学ぶオススメ順としては、何度か書いているようにスタッド8がかなり優先度が高いのですが、説明の都合上、Studの次はRazz(ラズ)にします。

 

http://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2018/06/13/172833

 

ラズはスタッドと同様にプレー進行します。なので、スタッドのルールがまだ怪しい人は上のリンクからスタッドのルールを復習してください。

違いは、ラズはローゲームなのです。

スタッドと全く同様にプレーして、最初のブリングインは一番ハイカードを引いた人が行います。

イカードが同じ場合は、スートで決めます。スタッドの場合は、3sと3cがいたら3cがより下のカードなのでブリングインしますが、ラズの場合は、KcとKsがいたらより上のカードのKsがブリングインします。

ラズの場合は、Aはローカードです。

Aをローカードとして扱う場合、そのローはフラッシュもストレートも関係ありません。なので、ナッツはA2345です。

スタッドと同様にプレーして、7枚中5枚を使い、ローを競うのです。

ローの強さの基準ですが、オマハハイローのローと全く一緒です。つまり上から順に見るんですね。

A2348と34567がいた場合、34567は一番高いカードが7、A2348は高いカードが8なので、34567の勝ちです。

ルールはそのゲームをスタッドと同じようにプレーする、というだけです。

スタッドをやっていると、ルールは簡単に分かるかと思います。

実はミックスゲームって何十種類もあるのですが、基本のいくつかのゲームを覚えたら、後は似たようなことをやるだけなので、慣れたらそんなに大変なことではないんです。

 

ハイゲームばかりやってきた人にとって、勘違いしやすいものとしては、スタッドだと7枚中3枚がトリップスだったらかなり勝ちます。なので、7枚中5枚を使うのですが、使う5枚のうち2枚が無くても十分強いです。

しかし、ローゲームは5枚目のカードの強さを比較するわけです。

なので、A2Qと持っていて、2枚強いカードを持っている、ということで強気になるのはものすごい間違いで、347とローカードを3枚持っている方がずっとずっと強いのです。

 

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ラズの解説動画。

 

 

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HORSEの解説動画

 

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8ゲームの解説動画

 

ポーカーと税金の話

一ヶ月ぶりのエントリです。

WSOPに行っていて、帰ってきてから色々忙しくてなかなかブログ書く暇が・・・

ミックスゲームの勧めのシリーズは早く終わらせたいのですけど。

 

とりあえず、最近話題になってる税金の話を分かる範囲で書こうと思います。

ただ、自分は税金に関しては完全に素人なので、鵜呑みにされても困りますが。

 

 

まず、ポーカー以外に仕事がある人の場合。

ポーカーで賞金を獲得したら、それはほぼ例外なく、一時所得になります。

仮に、3000ドルと5000ドルと10000ドルのトーナメントに出て、5000ドルのトーナメントで20万ドル獲得して、3000ドルと10000ドルは賞金無しで飛んだ場合ですが、20万ー5000=19万5000ドル分の利益を一時所得で支払います(チップを、アメリカでの相場の1%の2000ドル払った場合は、それは利益から差っ引くことが出来ます。その場合は賞金の受け取りの際に、gratuityに2000と入れるようにお願いすればOKです)。

一時所得は、その他の損失を控除出来ない代わりに、利益金額を半分として計算します。

つまり、195000ドルの賞金を獲得してますが、税金の計算上、97500ドルの利益があったと思って計算する、というわけです。

 

 

次に、ポーカー以外に仕事がない人の場合。つまり、ポーカー専業ですね。

この場合は、本来ならば既に事業申請しているべきですが、多くの人はそうじゃないでしょう。

とはいえ、申告した際は他の収入も調べられます。

その上で、ポーカー以外の収入がないのなら、どうやってその参加費を出したの?という話になります。そして、その場合はまず、事業所得とみなされるでしょう。

事業所得なら、その年のすべての収入を合算します。

マイナスは当然計上出来ます。

なので、195000ー3000-10000=182000ドルの収入があったとして税金を計算するのです。

 

そう、一つだけ大きく走った場合(そして、ポーカーで大きく勝つときってほぼこれです)、一時所得の方がずっとずっと有利なのです。

日本の最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)。

しかし、一時所得なら、WSOPメインイベントを優勝しても、最大で27.5%なのです。一方、プロだと55%です。

 

 

ところで、有名な競馬裁判がありますよね。

これはどういう裁判だったかと言うと、被告は28億円強の馬券を買って30億円弱の配当を得ました。利益は1.5億円くらいだったかな。

この人は他に仕事があります。なので、これに関しては事業所得には当たりません。

多くの人が競馬で当てた場合は一時所得になります。これは、一時所得の例として公式に書かれているくらいです。

しかし、この人の場合は、たまたま当たったのではなく、継続して利益を上げるために購入し続けていたので、一時所得(外れ馬券を経費で引けない代わりに半額)ではなく雑所得(=外れ馬券を経費で引ける)に当たるという主張だったのですね。それで裁判になり、雑所得になることが最高裁で認められたという話です。これは、ポーカーで言うならば、キャッシュゲームを想定し、勝ったポットだけカウント(=一時所得)して税金を計算するのではなく、通算の利益に対して計算する(=雑所得)のが認められたという感じですね。

 

一方、トーナメントに関しては、ゲーム中の毎回のお金の移動はないですし、出る回数が少ないことを考えると、プレーヤーの利益的にも論理的にも、一時所得が適用されると見るのが妥当でしょう。

 

 

ところで、大きく取ったらどこの国にも180日以下しかいなかったら税金を支払わなくていい、という話がありますが、これは完全に都市伝説です。

日本は全世界課税を導入しています。つまり、日本に家があったり家族がいたりで、日本に帰ってきた際に滞在する場所や人があれば、国外での収入に関しても納税の義務があります。それは180日以上云々は関係ないのです。

タックスヘイブンに多くの時間いて、オンライン事業等で利益をあげていても、日本とその国に租税協定がない限り、日本から完全に移住してない場合は納税義務が発生するのです。

日本とアメリカのように租税協定がある場合は、どちらの国の人でも、住んでいる方の国で税金を収めるという決まりがあります。なので、アメリカ在住としてアメリカで納税していれば、日本に本拠地や家族がいても問題ありません。

一方、日本にも家があるけど、とある国Aにも家があってそこで一年の過半数を過ごしている、という場合であっても、日本とA国の間に租税協定がないのであれば、日本でも課税される可能性があります。

また、中国と日本は租税協定がありますが、日本に家があるけれども、実際はマカオで一年の過半数を過ごしているプレーヤーでマカオに納税していない場合。これはほぼ日本の国税からは、日本在住と扱われて課税されます。マカオへの入港は観光ビザでしょうし。

 

知っている範囲での税金の話でした。

知っている範囲でのステーキング税制の話もあるけど、それはまたの機会に。

 

 

ミックスゲームの勧め、スタッド

ミックスゲームの勧めシリーズ、続編です。

NLHE、PLOと来たら、次に勉強すべき種目としてオススメなのはFLO8かStud8と書きましたが、ルール説明の都合上、次に説明するのは、

スタッド(7スタッド。Stud。略称はS)です。

 

ルールとしては今まで見たことがないものだと思います。

まずは、全員が所定のアンティを払います。

今でこそ、NLHEが流行った影響で、アンティはトーナメントのもので、キャッシュゲームでは基本的に存在しないと思っている人が多いかと思いますが、元々はアンティはキャッシュゲームからスタートしているのです。

というか、ハンドを貰うのに払う場代、と考えると、むしろブラインドよりアンティの方が自然だと思いませんか?

NLHEをやりこんで、それが当たり前になっていると、ちょっと考えたらより自然なことがすごく不自然に感じられたりするのです。

 

スタッドでは、8人マックスで行われる事が多いです。

まず、全員が所定のアンティを払います。ここでは25/25/100/200としてルール説明をします。

まず、プレーヤーは25のアンティを払います。

トイレに行きたいとか電話したい等でハンドを受け取りたくない場合はアンティを払いません。ブラインド形式と違ってミスドブラインドというようなものは無いので、帰ってくる時も次のハンドで単にアンティを払うだけで良いのです。

 

全員が25のアンティを払ったとします。

すると、ディーラーは常にシート1から全員に2枚ずつカードを裏向きに配ります。その後、3枚目を、全員に「表向きに」配ります。

この3枚目のカードのことを「ドアカード」といいます。

そして、ドアカードが一番弱いプレーヤー(同じ数字の場合は、スートが弱い人。s>h>d>cの順です)が25のチップを出すか、いきなり100にベットすることが出来ます。

しかし、一番弱いカードを貰った人は普通は25だけにするのが自然です。この25をブリングイン(BI)と呼びます。

 

リングインのプレーヤーの左からアクションスタートです。プレーヤーの選択は以下の通り。

1、フォールド

2、25をコール

3、100にベット

ブラインド形式の場合は、最初のBBは「ブラインドベット」と呼ばれるように、強制ベットが入っているので、そこで金額を釣り上げたかったら、「レイズ(上乗せ)」になります。

しかし、スタッド形式でブリングインはベットではないので、最初のベットはベットであってレイズではありません。ただまあ、レイズと言っても通じますし、混乱もしないですし、実際にレイズと発声するプレーヤーは多々います。

また、25チップは100チップに満たない半端な金額なので、それをちゃんとした金額にするというような感覚で「コンプリート」という用語も使います。NLHEで、誰もレイズが入ってない時にSBでコールすることをコンプリートといいますが、同じ意味合いですね。

100にベットする際、何も言わないと25のブリングインをコールした扱いになるので注意。25を4枚で出すか、100チップ+更に何かのチップを投入して(余った分は後で戻す)ベットの意志を明確にするか、親指を上にして(いいね!みたいな感じ)ベットの意思表示をするか、ベットと言うか、コンプリートと言うか、レイズと言うかしましょう。

キャッシュゲームでは、100ドルチップは自動的にコンプリートになるという内輪ルールがあることもあります。

 

後は普通のFLHEと同様に進行しますが、25チップのまま上乗せされていない場合は、最初に25チップを出した人はベットの権利はありません。それがNLHEプレーヤーにとっては珍しいルールでしょうか。最初にいきなり100にする権利があったので、それを行使しなかった、って感じですね。

 

 

金額が揃ったら、生き残っているプレーヤーに4枚目(4thカード)をシート1から順に表向きに配ります。

ここから、アクションは、見せているボードが一番強い人が先アクションになります。その人はチェックか100ベットです。ただし、ドアカードと4thカードがペアになってる場合は100だけじゃなく200にダブルベットすることも可能です。金額は100-200-300-400といつものリミットゲームと同じです。

金額が揃ったら、5thカードをシート1から順に表向きに。

ここからベット金額は倍の200になります。FLHEやFLO8でターン金額が倍になるのと同じですね。

同様に6thもプレーし、7thカードに突入します。

7thカードはシート1から順に、「裏向き!」にカードを配ります。

そして、6thカードまでで一番ボードが強い人からアクションします。

最後まで行くとショウダウン。

ショウダウンする場合は、7枚から5枚を使って一番強い手を作ります。

それはNLHEと全く一緒ですね。

 

リングインの時にスートの強さで誰がブリングインするかが変わったりしましたが、ハンドの強さを見る時はスートは関係ないです。なので、4th以降で誰が一番最初にアクションするかの時もスートは関係なく、同じ強さの人が複数いる場合は、ディーラーさんの左側に近い方の人が最初にアクションします。

アメリカ社会やポーカー界は公平さを異常に重視するのに、ここの決めがこうなっているのは、不思議ではあります)

 

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スタッドの解説動画

 

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HORSEの解説動画

 

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ポーカープロはサービス業だ

ちょっと過激なタイトルですが。

これ、賛否両論あって、特にプロ側から否定されることが多いのですが、自分は常々そう思ってます。

 

ポーカープロは何も生み出していない、とは良く言われることです。

別にそれを否定する気はないし、そういう価値観の人はそうなんだ、で自分としては完結です。そちら側の価値観にも賛同は出来ないですが。

 

しかし、言ってしまえば、例えば漫画喫茶だって無くても誰も生活に困らないわけです。任天堂のようなゲーム機メーカーだって無くても誰も生活に困らないわけだから、ゲーム機を作っているけど別にそれがないと生活が困るという人はいません。その流通とか、そこに既に関わっている人以外。その他サービス業の大半はそうなんじゃないでしょうか。

もちろん藤井七段や羽生結弦さん、大谷翔平選手だって、いなくたって誰も生活には困りません。卓球の平野、伊藤、張本選手だってそう。他の棋士や他のゲームのプロも同様だし、芸能人も同じです。

 

そういう人は何も生み出していないから価値がない、と言うのなら、別に自分はそういう価値観は全否定はしませんが、少なくても自分は賛同できない、と言うだけです。

そして、このような職業が許されることが、社会が豊かになってきている証でもあると思うのです。生活するための必需品だけじゃなく、みんなの生活を豊かにしていく、生活に潤いを与える職業。

 

ポーカーって、めちゃくちゃ面白いゲームだと自分は思います。

ポーカーを知って、程よい距離感で楽しむことが出来たら、生活は楽しくなると思うのです。もちろんそうじゃない人はポーカーをやらなくていいとは思うけど、本当は一生の趣味としてのポーカーに向いているのに、たまたまポーカーを知ることなく一生を終える人がいたとしたら、その人は人生を損していると思うのです。

そして、そういう人にポーカーの魅力を届ける、また、対戦相手としてポーカーを楽しませる。それによって対価を得て生活する人が「ポーカープロ」なのだと思います。

 

一方で、ポーカーは非常に競技人口が多いゲームです。

プロも数万人います。

しかし、数万人のプロのうち大半は、アマチュアのプレーヤーを楽しませることなく、単にお金を稼いでいる人たちです。

もちろん、最初はある程度しょうがないんじゃないかなとは思います。

プロ野球の選手だって、多くは二軍時代に給料をもらいながら、でもその対価以上に誰かを楽しませることは出来なかった人でしょう。

一軍のレギュラープレーヤーは、貰う給料は二軍の選手の数十倍ですが、ファンを楽しませて対価を貰うという観点からはむしろ、二軍の選手のほうがパフォーマンスが悪いのです。しかし、二軍の選手はそうやってスター選手が稼いできたお金の幾ばくかを貰いながら、いずれ一軍の選手の立ち位置になれるように努力しているわけです。

 

ポーカーも、ポーカーの魅力を世界中のファンに届けることが出来ているプロはかなりの少数です。ダニエルネグラーノはかなりの金額のスポンサー料を貰っていと思いますが、それでも彼は貰っている金額以上にポーカースターズ(ダニエルのスポンサー先)やポーカー界に対して貢献しています。

その一方、大多数のプロは、そういう有名プロが集めたポーカーファンから勝つことで生計を立てています。

 

結局、負けるプレーヤーが来てくれない限り、ポーカープロという職業は成立しないんです。

でもそれを悪く言うつもりはありません。ディズニーランドだって、お金を落としてくれる人がいないと業として成立しないんです。

現状そこまでの余裕がない、というのは仕方ないと思います。ダニエルだって、フィルアイビーだって、そういう時代を経て強くなったんでしょうし、他の有名プロも一緒です。野球の二軍選手とも同じです。

でも少なくても、一緒に打ってて、負けてもこの人に負けるんだったらまあいいかなと思われるような、一緒に打っている時に楽しいと思わせることができるような、そういうプレーヤーに、少なくてもそこはプロは全員目指さないといけないんじゃないのかなと思うわけです。

 

そうやって、相手を楽しませて(ポーカーの場合は長期的な期待値として)対価を頂く。これってサービス業の感覚そのものですよね。こういう感覚を持っていたら、ミスプレーをして結果的に引いて勝ったプレーヤーに対して怒るプロとか、ちょっとあり得ないと思うのです。もちろん引かれて残念という気持ちはあるし、短期的に落ち込んでもいいし、

「うわああ!!」

くらい声が出てもいいけど、対戦相手や、ましてディーラーを罵倒するなんて出来ないはずです。

 

 

今日、とあるプレーヤーに

「同じ負けるにしても、○○や△△のようなプロじゃなくて、君に負ける方がずっといいよ」

と言ってもらえて、普段から意識していることを認めて貰えたように思えて非常に嬉しかったし、今日のこのエントリを書くきっかけでもあります。

そして、より多くのプロがそういう心構えでいるならば、ポーカー界はずっと良くなります。現状、そういう心構えでポーカーをやっているプロは少数派だと思うので、こういう感覚を持つことは、短期的に得を逃すように見えても、実は長期的にはそのプレーヤー本人のためになると思ってます。

 

ミックスゲームの勧め、2-7TD

連載中のミックスゲームの勧めシリーズ、覚える順番としては、次はスタッドハイローをオススメするのですが、説明の都合上先に2-7TD(ドゥーストゥーセブントリプルドロー)です。

5枚配られて○回チェンジして強い手を作ったら勝ち、というのは日本でも昔からあるポーカー、5ドローです。

2-7はその逆、チェンジして弱い手を作った方が勝ちです。

ペアになったら強くなってしまうので、弱い順から5枚並べてみましょう。

23456

これだとストレート。ストレートはめちゃくちゃ強い役ですから、2-7ではめちゃくちゃ弱いハンドです。

なので、最後の6を7と入れ替えて、

23457

これが最強、ナッツです。2から7が最強。なので、deuce to sevenという名前になっているのです。NLHEでは、A2345のストレートのことをwheelと呼びますが、ローゲームでは最強のローのことをwheelと呼びます。なので、23457がnutsでありwheelです。

TDはtriple drawです。トリプルは3回。ドローは引く、なので、3回チェンジする、という感じですね。

ちなみに、1回だけチェンジしてノーリミットでやる、2-7NLSDなどもかなりの人気種目で、10ゲーム(10種競技)には含まれますが、8ゲームには含まれません。

 

ルールは、普通のブラインド形式です。

SBが1、BBが2とします。

今までのリミットゲームと全く同様に、コールは2、レイズは4です。

3ベットは6、4ベットは8です。

ベットが揃いました。

ディーラーをやっている人は、ここでついバーンカードを出さないように気をつけてください。

 

ファーストドロー。

バーンカードを出す前に、ポジションが悪い順にチェンジする枚数を前に出します。そして、全員のチェンジ枚数が確認し終わったら、ディーラーさんはバーンカードを出して、全員に捨てたカードと同じ枚数を配ります。

アクションは普通のNLHEと同じようにSBからですが、リミットゲームなのでベットする際は2、ベットに対してレイズしたかったら4です。

ここで金額が揃いました。

 

セカンドドロー。

また同様にチェンジします。

その後ベットしますが、ここでベット金額は4、レイズは8と2倍になります。これはFLHEやFLO8におけるターンと同じ感覚です。

また金額が揃うまでやります。

 

サードドロー(ラストドロー)。

同様にチェンジ。

その後もベットも4,8,12,16です。金額が揃うとショウダウンです。

 

片方が23459をショウ。

片方は34678をショウ。

さて、どちらが勝ちだと思いますか?

 

迷ったら、NLHEだったらどっちが勝ちかを考えると良いです。

NLHEだったら23459が勝ちですよね。なので、2-7という天の邪鬼なゲームでは、23459が負け、つまり34678の勝ちです。

 

普通のハイゲーム、例えば5ドローだと、手にトリップス(3カード)があったらかなり勝ちですよね。でも、ローゲームは234と強い3枚を持ってても、結局勝負を分けるのは5枚目のカードなのです。

5枚目のカードが同じ場合は4枚目になるわけですが、なので強いローカード

を持っているより、一番ハイカードが強いほうがいいのです。

 

5教科で合格を決めようとなった時に、一番点数がいい1教科しか見ないのがハイゲーム。一番悪い教科の点数で比較するのがローゲームなのです。

 

 

ちなみに、特殊ルールとして、2-7ではA2345はストレートにならないという決まりがあります。あまり見ない状況ですが、一応。

 

note.com2-7TDの解説動画

 

note.com8ゲームの解説動画

ミックスゲームの勧め、FLO8

連載化しようと思っているミックスゲームの勧め。

PLO、FLHEと来て、次に何をやるのがいいですか?とよく聞かれますが、自分的な回答ではこの次はFLO8かStud8のどちらかです。

ただ、説明の都合上、FLO8(リミットオマハハイロー)を先に説明してしまいます。そうすると、フロップゲーム(=共通カードがあるゲーム)はほぼ終了になるからです。

そう、ポーカーをやってると、フロップやコミュニティーカード(共通カード)があるのは当然と思うようになってきますが、ポーカーのゲームの中でも共通カードがあるゲームの方が実は少数派なのです!!!日本人だったらまず最初にやるポーカー、それは5枚配って1回交換する5ドローポーカーですよね。これ、フロップはないですね。

今現在プレーされている数で言ったら圧倒的にフロップゲームの方が多いですが・・・

 

さて本題に戻って、FLO8です。

オマハハイローとはそもそもどういうゲームなのかというと、

・全員に4枚のホールカードが配られる

・リミット形式でリバーまでプレー

・手札から2枚、ボードから3枚を使って最強の手を作る

ここまでは普通のオマハオマハハイ)と一緒です。

違うのは最後。

手札から2枚、ボードから3枚使って8以下のペアになっていない5枚を作る。より数字の小さい5枚を作った人がローの勝ち。

そして、ハイとローでポットを2等分(チョップ)します。

 

例えば、共通カードが

248TJ

だったとしましょう。すると、ローを目指す人は全員が248を使うことになります。

そして、手札にA3を持っていた場合、ローのナッツ(最強)です。これをナッツローといいます。

ちなみに、A7と35を持っていた人がいた場合、どちらが勝つでしょうか。

A7の人のローはA2478

35の人のローは23458

ですよね。

NLHEとかに慣れている人は、ついついAがある方が強いと勘違いしてしまいがちです。

しかし、ローの強さは、5枚目から見ていくのです。これはすべてのローゲームに共通なので、覚えておいてください。

この例では、お互い一番弱いカードは8です。

次に弱いカードは、A2478だと7、23458だと5です。

なので、2枚目に弱いカードが5なので、35の人がローの勝ちになります。

ローは慣れてても混乱するシチュエーションが多いですので、最初はある程度ゆっくり考えるのが良いし、分からなくてもゆっくり考える時間を貰ったほうが良いと思います。

 

基本的に、A2と持っていたら、3から8の6枚から3枚出た場合、ナッツローになります。そして、ナッツローが出来たら、それがナッツじゃなくなるのは6アウツしかないので、意外とナッツローって変わりにくいんです。

ただまた難しいところですが、せっかくナッツローを引いても、ハイが取れなくてチョップになったら全然儲からないし、相手もナッツローを持っていて1/4(ローの半分)ということもよくあります。ハイで2ペアの人相手にナッツロードローだけで

 ついていき、引けても半分というのはフリーロールされている状態と同じなわけで、結局ハイもある程度狙えるハンドじゃないといけないわけです。

逆に358とフロップで落ちて、相手がA24と持っていたら、88を持っていても非常に低いエクイティーしかありません。ハイしか無くても辛く、ローしか無くてもツラい。でも、両方とも強いハンドはなかなか来ない。そのバランスをどうプレーするかというのが、このゲームの面白いところです。

ちなみに、フロップ時点でHU(ヘッズアップ、1対1のこと)になっていると、ハイもローもそこそこだけどどちらもめちゃくちゃ強くはない、というようなハンドがかなり上位に来たりしますが、3人ポットになった瞬間に、Aさんにハイ、Bさんにローを取られて簡単に負けてしまうということもあったりと、色々面白いのがこのゲームです。

 

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FLO8の解説動画

 

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HORSEの解説動画

 

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8ゲームの解説動画