木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ポーカーと税金の話

一ヶ月ぶりのエントリです。

WSOPに行っていて、帰ってきてから色々忙しくてなかなかブログ書く暇が・・・

ミックスゲームの勧めのシリーズは早く終わらせたいのですけど。

 

とりあえず、最近話題になってる税金の話を分かる範囲で書こうと思います。

ただ、自分は税金に関しては完全に素人なので、鵜呑みにされても困りますが。

 

 

まず、ポーカー以外に仕事がある人の場合。

ポーカーで賞金を獲得したら、それはほぼ例外なく、一時所得になります。

仮に、3000ドルと5000ドルと10000ドルのトーナメントに出て、5000ドルのトーナメントで20万ドル獲得して、3000ドルと10000ドルは賞金無しで飛んだ場合ですが、20万ー5000=19万5000ドル分の利益を一時所得で支払います(チップを、アメリカでの相場の1%の2000ドル払った場合は、それは利益から差っ引くことが出来ます。その場合は賞金の受け取りの際に、gratuityに2000と入れるようにお願いすればOKです)。

一時所得は、その他の損失を控除出来ない代わりに、利益金額を半分として計算します。

つまり、195000ドルの賞金を獲得してますが、税金の計算上、97500ドルの利益があったと思って計算する、というわけです。

 

 

次に、ポーカー以外に仕事がない人の場合。つまり、ポーカー専業ですね。

この場合は、本来ならば既に事業申請しているべきですが、多くの人はそうじゃないでしょう。

とはいえ、申告した際は他の収入も調べられます。

その上で、ポーカー以外の収入がないのなら、どうやってその参加費を出したの?という話になります。そして、その場合はまず、事業所得とみなされるでしょう。

事業所得なら、その年のすべての収入を合算します。

マイナスは当然計上出来ます。

なので、195000ー3000-10000=182000ドルの収入があったとして税金を計算するのです。

 

そう、一つだけ大きく走った場合(そして、ポーカーで大きく勝つときってほぼこれです)、一時所得の方がずっとずっと有利なのです。

日本の最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)。

しかし、一時所得なら、WSOPメインイベントを優勝しても、最大で27.5%なのです。一方、プロだと55%です。

 

 

ところで、有名な競馬裁判がありますよね。

これはどういう裁判だったかと言うと、被告は28億円強の馬券を買って30億円弱の配当を得ました。利益は1.5億円くらいだったかな。

この人は他に仕事があります。なので、これに関しては事業所得には当たりません。

多くの人が競馬で当てた場合は一時所得になります。これは、一時所得の例として公式に書かれているくらいです。

しかし、この人の場合は、たまたま当たったのではなく、継続して利益を上げるために購入し続けていたので、一時所得(外れ馬券を経費で引けない代わりに半額)ではなく雑所得(=外れ馬券を経費で引ける)に当たるという主張だったのですね。それで裁判になり、雑所得になることが最高裁で認められたという話です。これは、ポーカーで言うならば、キャッシュゲームを想定し、勝ったポットだけカウント(=一時所得)して税金を計算するのではなく、通算の利益に対して計算する(=雑所得)のが認められたという感じですね。

 

一方、トーナメントに関しては、ゲーム中の毎回のお金の移動はないですし、出る回数が少ないことを考えると、プレーヤーの利益的にも論理的にも、一時所得が適用されると見るのが妥当でしょう。

 

 

ところで、大きく取ったらどこの国にも180日以下しかいなかったら税金を支払わなくていい、という話がありますが、これは完全に都市伝説です。

日本は全世界課税を導入しています。つまり、日本に家があったり家族がいたりで、日本に帰ってきた際に滞在する場所や人があれば、国外での収入に関しても納税の義務があります。それは180日以上云々は関係ないのです。

タックスヘイブンに多くの時間いて、オンライン事業等で利益をあげていても、日本とその国に租税協定がない限り、日本から完全に移住してない場合は納税義務が発生するのです。

日本とアメリカのように租税協定がある場合は、どちらの国の人でも、住んでいる方の国で税金を収めるという決まりがあります。なので、アメリカ在住としてアメリカで納税していれば、日本に本拠地や家族がいても問題ありません。

一方、日本にも家があるけど、とある国Aにも家があってそこで一年の過半数を過ごしている、という場合であっても、日本とA国の間に租税協定がないのであれば、日本でも課税される可能性があります。

また、中国と日本は租税協定がありますが、日本に家があるけれども、実際はマカオで一年の過半数を過ごしているプレーヤーでマカオに納税していない場合。これはほぼ日本の国税からは、日本在住と扱われて課税されます。マカオへの入港は観光ビザでしょうし。

 

知っている範囲での税金の話でした。

知っている範囲でのステーキング税制の話もあるけど、それはまたの機会に。