トーナメント優勝することはどの程度評価していいのか
この記事の続きです。
「億り人」になったところで、それがその人が本当に実力があるのかどうかを担保しない、という趣旨の記事を書きました。
そして、ポーカーにおけるトーナメントとの比較も書きました。
ポーカーのトーナメントにおいても、一回大きなトーナメントで優勝したら確実に強いかというと、そうとは限りません。
強い人であるという可能性は、実績が無いときよりはかなり高くなりますが。
ちなみに、スポーツや囲碁将棋などでは、タイトルを取るのは、本当にトップクラスの10人程度に限られるでしょう。その中では、その日の体調だとか、たまたま瞬間の判断だとかが影響するのかもしれませんが、タイトルを取ったら、少なくてもその時はトップ10程度以上の実力は保証されると言っていいでしょう。それが、運が絡むものだと断言出来ないのです。
自分がポーカー界で有名になったのは、2012年にWSOPの5000ドル6マックスPLOで優勝したからです。これも全く一緒で、優勝したからと言って、即強いと考えるのは間違いです。
この時は参加人数が419人。参加費が5000ドル。
当然スキルはバラバラです。確実に言えることは、その中でトップクラスに強い人でも、優勝できる確率は100分の1から200分の1の間。
一方、そこまで強くない人でも、2000分の1程度では優勝できるでしょう。
そう、弱くても優勝は出来るので、優勝したから強いとは、ポーカーのような運が絡むゲームでは言えないのです。
一方、5万ドルPPCと呼ばれるトーナメントがあります。
WSOPの目玉イベントの一つで、かなり多くのトッププロは、メインイベントよりもこちらが格が高いと思っています。
正直、このトーナメントに何度も出ることができれば、それだけでタイトルを取っていることよりも評価されるのです。
出るだけならお金を払えばOKです。なのに何故?
それは、ビジネスの大成功者でない限り、5万ドルのような大金を用意するのは、その金額をポーカーで勝たなければなりません。もしくは、トッププロだらけのそのトーナメントに出場することが期待値プラスだと周囲の人に思われることで出資を受けなければなりません。
つまり、そのようなトーナメントに出場し続けることは、単発で運良く優勝したわけじゃなく、ポーカーで勝ち続けていることの証明なのです。
そう、結局プロは単発で勝ったかどうかではなく、長期に渡って勝ち続けているかどうかが評価の基準なのです。
自分はタイトルを2012年に取りました。そして、その後複数目のタイトル獲得を目指して頑張りましたが、残念ながら結局取れていません。しかし、こうやって出場し続けることは、トータルで勝っていることの証でもあるのです。
表に出ないし、出すつもりもないけど、個人的には高いレート(=厳しいフィールド)のゲームで勝ち続けていることこそが自分のプロとしての矜持でもあるわけです。
そして、そのことは投資でも同じじゃないかなと思います。
生涯収入が2億円として、そこから5000万円を口座に入れることが出来るとして、100万円を1億円にする。
それが出来たとして、そこから先は、追加で口座に入れる事ができる金額よりも、口座に入っている金額の方がはるかに大きいという世界になります。
そうなると、口座残高に対してしっかりと基準を守った運用をしないといけない。
その状態でさらに数年間トータルで勝ち続けることが出来て初めて、その人は(少なくてもその時代においては)真の実力がある投資家だと呼べるのでしょう。