ケリーの公式3:見積もるチカラ
ケリーの公式は、上のリンクで書いた通り、結果が2つの場合しか適用出来ません。だからこそ、ゲームのプロの自分が知ってて、投資関係の記事やブログがたくさん出てきます。
しかし、「ケリーの公式」とか「ケリー基準」とかでググったら、投資関係の記事で強引に数字を当てはめたようなものがたくさん出てきます。
じゃあ実際に、3つ以上の結果に対してケリー基準を当てはめてみたらどうなるか考えてみましょう。
60%で勝ち、40%で負けの1対1のベットなら、資産の20%を駆けるのがケリー基準だと先のリンクの記事で書きました。
では、30%で勝ち、20%で負け、50%でチャラのベットだったらいくら賭けるべきでしょうか?
ってこれ、聞くまでもなく、20%ですよね。50%のチャラは関係ないので、30%で勝って20%で負けるのは、60%で勝って40%で負けるのと全く一緒です。
復習です。
f=(p*(b+1)-1)/b
fはかける資産の割合。
pはその勝負の勝率。
bはその勝負のオッズ(US方式)。
これがケリーの公式でしたね。
30%で勝って20%で負けて50%でチャラ。
この場合、pは30%、bは1なので、f=-0.4
そう、この式だと、チャラ分はそのまま負けと同じ扱いになっているのですよね。勝率pしか定義されていないので。
ところで、ケリーの公式は
f=(bpー1×(1-p))/b
では、この式で考えてみましょう。
p=0.3ですが、1-pの代わりに0.2を入れます(負ける確率として)。
すると、b=1なので、f=0.1。つまり10%。
やはり、こう変形した式であっても、f=20%という数字は出てきませんでした。
今回の問題は、50%でチャラなので、そこを無視すれば良いのは間違いないですが、良くありそうなこんな問題
「20%で+100円、10%でー200円、70%で+2円」
という問題だと、70%の部分を無視することは出来ません。
期待値は一回あたり
0.2×100+0.1×(-100)+0.7×2=1.4円です。
取るリスク200円を基準に考えるので、オッズbは100÷200で0.5で
f=1.4÷(200×0.5)=1.4%
と表面上の数字は出てきます。
しかし、先程の50%チャラ問題と同様に考え、期待値を計算した後70%をチャラと思って出てきた数字だと考えると、この場合の実際のfは
f=1.4÷0.3=4.7%
なのだと思います。まあそんなもんかなという感じがしますね。
これくらい単純な問題だと、fを概算で見積もることも可能でした(恐らく間違えていないはず)。じゃあもっともっと複雑な結果だと・・・?
うん、やはり計算するのは不可能です。
計算するのが不可能なものを何とかどれくらいか知りたい。その時に、公式に何とか数字を当てはめてみる、というのは最悪です。
ではどうするべきなのか。それは、見積もりです。うん、分かりますよ、自分の考察が正しいか自信が無いのに、公式以上に難しいことをやらないといけない不安。
先程の例だと、0.3で割ったところですね。公式にはどこにもそんなものは無いけど、30%勝ち、20%負け、50%引き分けからの類推から0.3で割るのが適性だと自分は判断し、この見積もりを出しました。
答えだけをより正確に出すにはプログラムを組むのが一番早いかもしれませんが。
この「見積もる」という力がバックギャモンでめちゃくちゃ大切な要素なのですが、ポーカーでも同じように生きる大切な力だと思うので、慣れてない人は練習してみることをおすすめします。
ちなみに、ポーカーを用いた見積もりの練習は、勝率を見るのが良いでしょう。
AcKd対AdAhの勝率を見て、じゃあ、AcKc対AdAhの勝率を予想して、その後答えを見る。
AdKd対TdThの勝率を見て、その後AdKd対2d2hの勝率を予想する。
AdAs対5h6h、フロップKhQh2dの勝率を見て、その後AdAh対5h6hの勝率を予想する。
そうやって近くて答えがあるものを見つけ、そこから類推するという作業は非常に勉強になるのでおすすめです。