木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

GTOプレイ、という名前が嫌い

これ、ちょっと前にGTOに関する議論をした時に自分が言った言葉ですが、これについてしっかり説明してなかったかなと思って、軽い記事にします。すごく個人的な好みの問題なので、別に同意してもらわなくても構わないですがw

 

GTO、とは、ゲームセオリーオプティマル。「最適なゲーム理論」日本語にするならこんな感じでしょうか。

ゲーム理論は1990年台に出てきて、自分もポーカー初心者の頃に一冊本を読んで軽く勉強しました。

 

プレーのバランスを取るとか、相手に搾取されないためのプレー頻度調整、的な概念は、いわゆるGTOプレイが出てくる前からありました。

よく、「フィルアイビーが相手だったら、こうプレーすべき」的な話が記事になっていたものです。大体時計の秒針の話題に帰着するのですがw

 

2013年位にポーカースノーウイーが登場し(ちなみにこれはGTOソフトではない)、その後2015年位にPioSolver(GTO解計算機)が登場。登場自体はもっと前かもですが、有名になった時期という感じですね。

そして、それらのAIによって、ノーリミットホールデムのプレーが一気にレベルが上がったのは多くの人の共通する意見でしょう。

自分も過去記事に書きましたが、AIはオーバーベットを非常に巧みに使います。人間はついついプレーを一貫させるために、大体同じようなベットサイズを使いますが、AIはオーバーベットを人間が想像する以上に高頻度で使い、また、オーバーベットを有効にするための小さいベットをプレーに取り入れてきています。

 

で、自分がGTOプレイという名前が嫌いだという訳は何かと言うと・・・

そのような戦略の進化は、GTOという理論があったから産まれたわけじゃなく、PioSolverという優秀なソフトが出てきたから産まれた進化です。

仮にゲーム理論の数学的知識がなくても、全く同様のソフトが登場して、全く同様にポーカーのレベルは上がってきていただろうと自分は思うわけです。

一部の人は大したことないとか言うけれど、ポーカースノーウイーは非常に強いポーカーAIですが、これはGTOソフトではありません。

最新のPioSolverを使って出されたプレーをGTOプレイと一般には言いますが、GTOという理論がこの進化に寄与した割合は非常に小さく、ソフトの進化がその大半を担っているのです。

なので、自分的には、GTOプレイではなく、「Pioプレイ」とか「Solverプレイ」もしくは単に「解析解」とか呼ぶほうが自然だと思うのです。

更に言うと、「オプティマル、最適」とありますが、実際のポーカーテーブルではGTOプレイよりもっと利益が出るプレイが殆どの場合存在します。

そうなるとGTOプレイは多くの場合、実際のテーブルでは「最適な」戦術とはなりえないはずです。「不正解ではないプレイ」であることは保証されていますが。

 

以上から、自分は「ソルバープレイ」や「解析解」という呼び方が適切なんじゃないかなと思うのです。