スローロールからみた、マナー論
某所でとある話題のついでに出たライブポーカーのマナーについて。
日本ではポーカーが知られるようになったのは非常に最近ですし、ポーカーは最初から、完全なゲームとしての立ち位置を獲得しています。
その事自体は、自分はすごく嬉しいことだと思います。
将棋は羽生さんが1996年に7冠を取ってメディアにたくさん登場するまで、しっかりとしたプロ組織があったにも関わらず、ギャンブルのイメージが拭えないものでした。今の人からすると、
「え?そうなの?」
と思うような話だと思いますが。
先崎9段が、文春に連載していたコラムで
「若い頃は職業を聞かれたら編集者と答えていた。将棋のプロ棋士などと答えたら、胡散臭いと思われて女性にモテないから」
と書いてました。
今なら、将棋のプロ棋士と聞いたら、トップクラスにモテそうな職業ですよね。
麻雀は、依然としてギャンブルのイメージが消えません。
その点、現状の知名度こそ小さくて、普及の意味合いで苦労しているポーカーですが、日本ではそういうイメージは無いのは幸いだと思っています。
一旦ついたイメージは、羽生さんの登場のような大きな出来事がないとなかなか消えないんですよね。
で、ポーカーの本場、アメリカでは、知名度こそ非常に高いものの、未だにギャンブル的な印象は拭えません。
ポーカープロというイメージは、ちょうど日本の麻雀プロと将棋のプロの中間のような感じでしょうか。
「ポーカーは実際にお金賭けてるからそりゃそうだろ」
という指摘があるのは分かるけど、証券会社に勤めることはどうなの?とか思うわけですが、そこは今回の投稿とは別の話なのでおいておきます。
で、ポーカーの話。
リバーで3人がポットにいます。
Aがチェック、Bがチェック、Cがチェック。
ショウダウン(手を見せ合うラウンド)。
ルール上はAからハンドを見せます。Aは弱そうなハンドを持っているような素振りを見せます。
ここで、Bがナッツ(そのボードで最強の手)を持っていたとします。
ゲームや競技的な側面から見たら、ポーカーは情報戦でもあるので、Aのハンドを見てからBは手を開けるのが自然です。
しかしこのような、勝っているのが分かっているにも関わらず、相手が手を見せるのを待ってこちらが手を見せる、この行為を「スローロール」と呼び、ポーカー界ではやってはいけない最悪のマナーの一つとされています。
同様に、こちらがナッツを持っています。
相手がオールイン。
そこで1分考えてコール。
これも「スローロール」と呼ばれます。
ポーカーは元々、マフィアがたくさん出入りするようなバーなどで行われていた、お金を賭けた勝負。
そして、Aはマフィアのボスだとします。
あなたはBだとして、Aがハンドを開けるのを待ってから、絶対負けはないと分かっている最強の手を見せるでしょうか。
もちろん、Aが見せる前にハンドを見せますよね。
相手がマフィアのボスじゃないにせよ、相手はお金を失うことがこちらは分かっているわけです。それなのに、使う必要がない時間を使って、敗者を貶める行為、死体にむち打つような、KO負けを喫した相手を更に殴るような行為、だとされていて、その名残がマナーとして今でも残っているのです。
これ、知らずにアメリカでやってしまうと、本当に揉めます。相手を間違えると、殴られてもおかしくないのです。
ちなみに、今ポーカーをやっている人の95%は知らないと思いますが、昔はチェックレイズはルール上はOKでも、マナー違反でした。
「は?」
と思った人、多いのではないでしょうか。
「チェック」とは弱いハンドを意味する。なのに弱い素振りをしてレイズするなんて失礼な!
という感じです。
今でこそ笑ってしまうような話ですが、アメリカのポーカールームの壁に貼ってあるルール表には、かなりの割合で
「チェックレイズはOKです」
とわざわざ明文されてます。
そのうち無くなるかもですが、チェックレイズは本当にマナー違反だったんです。
じゃあチェックレイズしたかったらどうするの?と言うと、1bbをベットします。
ベットすれば、レイズに打ち返したとしても、
「ベットしたじゃん!」
と言えるわけです。また、1bbをベットすることで、レイズするかもしれないよと見せて相手を牽制するのです。
まあ、将棋でも、昔は
「待ち駒は卑怯」だとかありましたよね。
相手の王様の逃げる先に予め駒を打つことで逃げ道を塞ぐ、というめちゃくちゃ当たり前のプレーですが、それすら「卑怯」との名前で許されなかった時代があるのです。
もちろん今はそんなマナーはありません。
でも、残っているマナーはあります。
「勝った時に喜んではいけない」
これは相撲でもたまに問題になったりします。よく考えると、勝った時に喜びを表現してはいけない決まりなんて無いはずですよね。ボクシングで勝った人がガッツポーズをしたり、競馬で勝った人が手を高くあげたり、オリンピックのどの種目でも一緒ですが、勝った喜びを表現することを批判されたりは(少なくても今は)しません。
本来、喜びを表現するなというのは、ルールなんてなくて、明文化されていないマナーなわけです。
でも、敗者を思いやる気持ちから、喜びを表現すべきでないと今はマナーとしてなっていて、またそれをしっかり守っている人はカッコいいとされます。
でもそれは、ポーカーで勝った場合に当てはまってもそんなに不自然じゃないんじゃないかなと思うのです。なので、スローロールをしないことは、それと同じようなマナーなんじゃないかと思うのです。
***個人的には、(ナッツでオールイン対して長考は流石にどうかと思うけど)情報戦の観点からみると、相手のハンドを見てから見せるというのは許されても良いと思うし、将棋で勝ったほうが喜びを表現しても良いと思います。ただ、現状どういう風にとられるかを書いた投稿です。
オマハハイローのハンドの勝率
ちょっとマニアックな話題ですので、ごく一部の人以外はこの記事スルーしてください。
1つ目
A、Ah 3c 4h 5h
B、Ac 2d 9s Ks
C、Ad 2h 3s Kd
プリフロップです。誰がベストハンドでしょうか。
また、その勝率イメージは?
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↓
普通に考えると、全員クロース、多分A345ssがちょっと弱そうかなとか思うところだと思うのですが、
https://gyazo.com/e605a39104154a3bdd1b3d0732c4f840
なんと、A29Kssが大差でベストハンド。38%超えです。
9って、持っててもストレートが増えないしローにも効いて来ないし、正直これがそこまで強い印象は、オマハハイローをやりこんでる人からすれば無いかと思います。
しかし、このハンドに限っては、仮に9が1枚落ちれば、A29Kがスクープする確率は50%を優に超えそうです。また、9が落ちずとも、ハイもローも十分なエクイティーが依然としてあります。
見た目では強くなさそうなこのハンドが、実はすごく強いんですね。
なお、A345がいなかった場合は、A29Kが48%です。アンダードッグですね、A23Kに対して。まあ当然とも言えますが。
第2問。
フロップでの勝率です。
ボードが
As 8s Jh
A、Ad 2s 3d 8c
B、Ac 6c 7d 9c
Aが2ペア+ナッツロードローです。お互いにバックドアも含めてフラッシュドローはありません。まあ、Aが有利なのは間違いないところですが、では勝率のイメージは?
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↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
自分の第一印象は、Aが70%強でした。
ハイもローもベストハンドですから。
しかし・・・
https://gyazo.com/e56495e39cab0502435ccb967e1e06d8
なんと、56%しかない!
これはめっちゃ意外です。そもそもこういう数字が出る時は、ハイが実はアンダードッグだったりするのですが、ハイだけでもAが53%の勝率があります。
なのに、ハンドトータルで56%・・・?
これは正直、考えても全然分かりません。
ナッツローにならないとほとんどスクープが出来ない、ということなのは分かるのですが。
オマハハイローは難しいですね・・・
Aの側ならどっち道ベットするだけなのですが、Bの側で降りすぎないようにしないといけない方が難易度高い気がします。
ドンクベットについて
すっかり記事の更新が滞り、気づいたら年が明けてしまってました。
昨年始めたこのブログですが、2019年も宜しくおねがいします。
道場でドンクベットについて質問を受けて、長くなるのでせっかくだからこちらにもっとしっかりまとめて記事として書くことにします。
まずは用語の定義から。
「ドンクベット」とは、
一つ前のストリート(フロップでのドンクベットならプリフロップ、ターンのドンクベットならフロップ)でポジションが無いところから相手のベットやレイズをコールし、次のストリートでベットやレイズした人の順番が来る前にベットすること。
例えば、Aさんがボタンからレイズ。BさんがBBでコール。
フロップ359
Bさんベット。
これがドンクベットです。
Bさんチェック、Aさんチェック。
ターン2
Bさんベット。これはドンクベットではありません。フロップでベットが入ってないですから。
別のハンド。
Aさんがカットオフからレイズ。Bさんがボタンからコール。
フロップ249
Aさんベット。これはドンクベットではありません。CB(コンティニュエーションベット、継続ベット)といいます。Aさんがプリフロップのレイザーで、Bさんがコーラーだからです。もし、Aさんがレイズ、Bさんがボタンから3ベット、Aさんコール、でフロップでAさんが先にベットしていたら、これはドンクベットです。
Aさんさんチェック、Bさんベット。これもドンクベットではありません。
特に名前はありませんが、統計ツールではBMCB(ベットtoミスドCB、CB打たなかった人に対するベット)という項目で表します。
別のハンド。プリフロップでAさんがボタンからコール。BさんがBBでチェック。
フロップ48T
Bさんベット。これもドンクベットではありません。プリフロップでレイズが入ってないですから。
ところで、ドンクとはdonkeyです。ロバ。つまり、ドンクベットとは
「ロバベット」
です。ロバベットってなんだよ?って思うかもですが、もっと日本語としてぴったり来る言葉に意訳すると、
「ウマシカベット」
ってことです。
ドンクベットがなぜ「ウマシカベット」という名前がつくくらい馬鹿にされるかと言うと、
「もしベットするくらい強い手が入っているなら、一回前のストリートでコールしかしてないのは変じゃない?なのに先にベットするって辻褄が合ってない。そういうことすらわからずベットするのはウマシカだ」
という理屈です。
なので、Aさんがボタンからレイズ、BさんがSBからコール、CさんがBBからコール。
フロップXXX
こうなったら、BさんCさんは、プリフロップのレイザー(レイズした人)のAさんまでチェックで回すのが自然なプレーだと言う感じです。
セットのような強い手でもそうすることで、相手のベットを牽制する意味合いもあるのです。
じゃあドンクベットはしないほうが良いの?
そう言う風に聞こえますよね。
最初のうちは、そんなもんだくらいで思って置くと良いです。しかし、ある程度強くなってくると、ドンクベットが必要になるシチュエーションはそれなりにあるのです。
1、ターンかリバー、主にリバーで、ナッツが劇的に変わるカードが落ちた時。
例えば、ターンでボードが2s4d9sTh
BBチェック、ボタンベット、BBコール。
リバー8s
みたいな。ターンナッツのTTがリバーですごくいろんなハンドに逆転されてます。これだと、引いたときとブラフを混ぜ合わせて、リバーでドンクベットすることがかなり有力になります。
2、超マルチウエイの時。
ライブで良くあるのですが、
UTGコール
UTG+1コール
MPレイズ
COコール
SBコール
BBコール
UTGコール
UTG+1コール
6人ポット。フロップXXX
基本的に、プリフロップでレイズした人はAAを持っている可能性が存在するけど、コールしかしなかった人は持っていないだろうと予想します。
AAがフロップ時点ですでに逆転されている可能性は結構低いから、AAの可能性がある人までチェックで回しましょう、という感じですが、6人ポットだと、そもそもプリフロップ時点でのAAの勝率は50%を切ります。それなら、最初にレイズした人がベットしてくる可能性はそんなに高くないし、だったらセットとかの強い手を他の人が持っていてドンクベットするのは有力じゃないか、という感じです。
3、PLOやPLO8のように、プリフロップのエクイティー差が小さいゲームをプレーしている時。
ポーカーとはホールデムだけではありません。PLOもポーカーだし、スタッドもポーカーです。そして、PLOでもドンクベットという用語は共通です。
オマハ系のゲームは、仮に1対1であっても、AAXXがフロップで既に不利であることはよくあります。それなら、オリジナルレイザーまでチェックで回す必然性は非常に下がります。
ちなみにPLOやPLO8では、フロップはともかく、ターンやリバーのドンクベットは非常に大切になります。
余談ですが、ドンクベットという用語は、もともとオンラインポーカープレーヤーの用語です。
アメリカのライブ専門のおじさんとかは、こういう用語を使わないし、知らないことも多いです。そんな時に、ハンドの議論で、全然悪意なく
「このフロップであの人がドンクベットして・・・」
という会話をしたりしますが、その時に「あの人」がこの会話を聞こえていたりすると、
「何だと!馬鹿なベットとはふざけるな!」
と喧嘩になることがある(少なくても数回見たことはあるw)ので、注意しましょう。
GTOプレイ、という名前が嫌い
これ、ちょっと前にGTOに関する議論をした時に自分が言った言葉ですが、これについてしっかり説明してなかったかなと思って、軽い記事にします。すごく個人的な好みの問題なので、別に同意してもらわなくても構わないですがw
GTO、とは、ゲームセオリーオプティマル。「最適なゲーム理論」日本語にするならこんな感じでしょうか。
ゲーム理論は1990年台に出てきて、自分もポーカー初心者の頃に一冊本を読んで軽く勉強しました。
プレーのバランスを取るとか、相手に搾取されないためのプレー頻度調整、的な概念は、いわゆるGTOプレイが出てくる前からありました。
よく、「フィルアイビーが相手だったら、こうプレーすべき」的な話が記事になっていたものです。大体時計の秒針の話題に帰着するのですがw
2013年位にポーカースノーウイーが登場し(ちなみにこれはGTOソフトではない)、その後2015年位にPioSolver(GTO解計算機)が登場。登場自体はもっと前かもですが、有名になった時期という感じですね。
そして、それらのAIによって、ノーリミットホールデムのプレーが一気にレベルが上がったのは多くの人の共通する意見でしょう。
自分も過去記事に書きましたが、AIはオーバーベットを非常に巧みに使います。人間はついついプレーを一貫させるために、大体同じようなベットサイズを使いますが、AIはオーバーベットを人間が想像する以上に高頻度で使い、また、オーバーベットを有効にするための小さいベットをプレーに取り入れてきています。
で、自分がGTOプレイという名前が嫌いだという訳は何かと言うと・・・
そのような戦略の進化は、GTOという理論があったから産まれたわけじゃなく、PioSolverという優秀なソフトが出てきたから産まれた進化です。
仮にゲーム理論の数学的知識がなくても、全く同様のソフトが登場して、全く同様にポーカーのレベルは上がってきていただろうと自分は思うわけです。
一部の人は大したことないとか言うけれど、ポーカースノーウイーは非常に強いポーカーAIですが、これはGTOソフトではありません。
最新のPioSolverを使って出されたプレーをGTOプレイと一般には言いますが、GTOという理論がこの進化に寄与した割合は非常に小さく、ソフトの進化がその大半を担っているのです。
なので、自分的には、GTOプレイではなく、「Pioプレイ」とか「Solverプレイ」もしくは単に「解析解」とか呼ぶほうが自然だと思うのです。
更に言うと、「オプティマル、最適」とありますが、実際のポーカーテーブルではGTOプレイよりもっと利益が出るプレイが殆どの場合存在します。
そうなるとGTOプレイは多くの場合、実際のテーブルでは「最適な」戦術とはなりえないはずです。「不正解ではないプレイ」であることは保証されていますが。
以上から、自分は「ソルバープレイ」や「解析解」という呼び方が適切なんじゃないかなと思うのです。
ポーカープロ的、素人の株式投資法
はじめに、自分はポーカーはプロですが、投資は素人です。
その上で読んで頂けたらと思います。
ポーカーと投資の共通点を挙げていくと
1,相手の情報が分からない不完全情報ゲームである
2,運の要素がある
3,リターンを得るにはリスクを取らないといけない
4,スキルを発揮する余地が非常に大きく、多数のプロが存在する
ここまでは誰もが同意する点だと思います。
その上で、自分が一番大切だと思うのは、4番です。
ポーカーでも投資でも、たくさん数をこなせば、トータルでプロが勝つのです!
投資はポーカーと違って、ゼロサムゲームではありません。
つまり、プロとアマが両方勝つということが存在できます。また、両方負けるということも存在します。
しかし、それなりの頻度でトレードをしていれば、平均的には手数料分位のマイナスサムゲームです。
プロとしては
「アマチュアがたくさんプレーしてくれたらプレーしてくれるほど、より儲かる」
のです。この点はポーカーも投資も一緒です。
だったら投資は一切せずに貯金したほうが良い?
いや、自分はそうは思いません。
世界経済は基本的に成長して行ってます。
仮に20年で2倍に成長するとしたら、20年後には今のお金の価値は半減するということとほぼ同義です。
日本で貯金しても殆ど利息は貰えません。なので、貯金するという選択は、実は一方的に実質的な資産を目減りさせてしまう方法でもあるのです。
だったら素人はどうすべきか。株を買いましょう。
ただし、買う時のポイントとして、
・信用買いをしない
・空売りをしない
・自分の好きな会社の株を買う(株主優待があればよりベター)
・買ったら買いっぱなしで年単位で放置する!
・値動きは極力見ない!
これこそが素人的株式投資法だと思うのです。
自分が一番大切だと思うのは、買いっぱなしで放置するということですね。
基本的に株で儲けようとしたらダメです。そういう動きをすればするほど、プロに食われるだけなのです。また、買ったり売ったりする気がないのであれば、値動きを見てもしょうがないです。値段は見ないようにしましょう。
では、買った株を売るタイミングは?ですが、
・お金が必要になった時
・その会社の商品、もしくはその会社そのものの魅力が下がった時
この2つだと思います。
基本的に、何か不祥事が起こって株価が暴落するということもあるでしょう。そういう時は売りたくなるかも知れませんが、そういう時に動かない方が良いと思います。
「会社の魅力が下がった時」
これは、その会社のファンだからこそ分かることです。
AIを持ってしても、投資のプロを持ってしても、その会社を好きな人が残念と思うような変更をしたところで、それが本当に良い変更なのかは判断つきません。
しかし、その会社を愛用している一個人だからこそ分かることというものもあるのです。
プロは、
魅力が下がる→売上が下がる→利益が下がる→決算書を見る
その最後のタイミングで判断するでしょう。
しかし、ファンなら一番最初のタイミングで判断出来るのです。
例えその変更が一見評判が良くても、ファンである自分がイマイチだと思う変更だったら、そこが売り時です。その時も、値段を見ないようにします。
勿論、自分にとって魅力が回復したと思えば買い直せば良いのです。
相手がルース過ぎる場合の対応
初めて予約投稿をしてみようと思います。上手く行ってくれると良いですが・・・
前回の記事へのコメントで
「質問なんですが、リンプが多いときの利益的な戦略がわかりません。
どのようにすればいいのでしょうか?」
こういう質問を受けました。
またちょっと前に、相手が参加率が適正値よりも高すぎて、レイズに対してもコールしすぎる場合にはどうプレーすべきかという内容に関してのプロプレーヤーの意見があって、そこで色々議論になりました。
・ルースな場ではタイトに打つべき
・ルースな場では、少しだけルースに打つべき
・ルースな場でもあまり気にせず普段どおりのレンジで打つべき
まあ、当然ですが、選択肢はこの3つです。
そこで、この件に関して、自分が思うところを書きたいと思います。
結論から先に書くと、
「ぶっちゃけどれでも良い」
が正解だと自分は思います。
そういうルースな場は、当然ですが場の平均的なレベルは低いです。
なので、ある程度以上のスキルが有れば、どれを選択していても勝てるはずなのです。
一方、こういう質問が出る時は大抵、場の平均レベルよりはるかに上のレベルであるということはないでしょう。また、そうなりやすいのは海外のライブですが、最低レートでも結構高いので、資金管理的な問題やマネープレッシャーも出てきます。
つまり自分が思うのは、ルースに打つべきかタイトに打つべきか以前の、根本のポーカースキルの部分をもっと考えないといけなくて、それさえしっかり出来ていればルースに打とうがタイトに打とうが、普通に勝てるはずなのです。
その上で、こういう質問をしてくる人に対して、自分の「オススメ」としては、
・ちょっとだけタイトに打ち、参加する時はかなり高い金額にレイズする。フロップ以降もしっかり大きくベットする。
です。こういう質問をしてくる時点で、スキル面で他のメンバーを大きく上回っているということはあまりないと思うのです。
その状況で、普段だったらプレーしないようなハンドをプレーすることは、自分自身のミスにも繋がりかねないと思います。
一方、自分だったらそういう場ではどう打つか。
それは断然、
「普段よりルースに打つ」
です。
相手が強かったらエクスプロイトされてしまうような頻度でプレーします。
以前記事にも書きましたが、プロにとってそういうライブの場は、勝負の場という感じではなく、勝って当然で、時給を如何に上げるかという場です。
相手がルースなら、相手よりかなり上のスキルで、相手より少しだけタイトに打つのが一番利益を出すことが出来るのです。
MDFについての誤解とAggと。
http://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2018/11/29/152238
先週の記事の続きです。
HJが3bbにオープン。
自分がBBであるレンジでコール。
フロップKQ3r(6.5bb)
自分がチェック、HJが4bbベット。
ここでMDFは、6.5÷(6.5+4)=61.9%
つまり、このベットを
「62%以上でコールかレイズしないといけない。そうでないと相手にエクスプロイトされてしまう」
こういう誤解をしている人がそれなりにいるように感じました。
それについて書いていこうかと思います。
まず、このボード自体が、BBのコールレンジより、HJのレイズレンジが強いです。
元々のハンドのエクイティー的にHJのレンジの方が上で、そこから更にHJに有利なボードになっているのです。
その上、相手は100%のレンジでベットしてくるわけではないです。TP以上の強いハンドはほぼ100%ベットしてくるでしょうが、マージナルや弱いハンドはチェックも混ざってくるでしょう。
普通に考えると、その状況でこのボードで62%もコール以上出来るはずがないです。
では何がそういう誤解を産ませるのか。
自分はそれが、MDFという名前にあるのだと思います。
MDFとは、直訳すると
「最小ディフェンス頻度」
です。その頻度以上守らないといけない率を表している数値、を意味しているような気がしますよね。
もし、HJのレンジとBBのレンジがほぼ同等の強さになるボードで、HJが100%のレンジでベットしてきた場合は確かに、MDF以上にディフェンスしないとエクスプロイトされてしまいます。
しかし、上記のレンジはHJ側に有利かつ、HJ側のベット頻度は100%ではありません。
正直、MDFと同じ数値は、名前を知る前からずっと使ってました。ただし、認識としては
「コールされる率がその割合以下ならばブラフが利益的になる頻度」
という感覚です。
同様な、名前が意味を勘違いさせてしまう数値として、
aggとかaf(アグレッションファクター)
と呼ばれる数値があります。これは
(ベット回数+レイズ回数)÷(コール回数)
で表される数値です。
ベットやレイズが多い人は確かにこの数値が高くなります。
6.5bbのポットに4bbベットしてコールされたら分子に1が増え、チェックして4bb打たれたものをコールしたら、分母に1が増えます。
しかし、フロップである一定頻度でCBを打つのはすごく普通のプレーです。
そのCBをコールするかどうか。aggは2から3くらいが標準ですが、そうなると分母の1は分子の2から3くらいに数値に対して寄与します。
それくらい、ベットする回数よりコールする回数の方が少ないのです。
なので、この数値を見る時は、メインには、
「数値が小さいほどコール頻度が高い。数値が高いとコール頻度が低い」
ことを意味する数字だと思ったほうがより適切になるのです。
なのに、「アグレッションファクター」という名前によって、アグレッシブかどうかを評価している数値だと思われてしまっているのです。
話をMDFに戻すと、MDFはディフェンス側の意識ではなく、ブラフする側に必要な成功率を見積もる際に必要な概念であって、どっかの誰かがつけた名前によって本質的な意味を勘違いしないようにしなければなりません。