MDFについての誤解とAggと。
http://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2018/11/29/152238
先週の記事の続きです。
HJが3bbにオープン。
自分がBBであるレンジでコール。
フロップKQ3r(6.5bb)
自分がチェック、HJが4bbベット。
ここでMDFは、6.5÷(6.5+4)=61.9%
つまり、このベットを
「62%以上でコールかレイズしないといけない。そうでないと相手にエクスプロイトされてしまう」
こういう誤解をしている人がそれなりにいるように感じました。
それについて書いていこうかと思います。
まず、このボード自体が、BBのコールレンジより、HJのレイズレンジが強いです。
元々のハンドのエクイティー的にHJのレンジの方が上で、そこから更にHJに有利なボードになっているのです。
その上、相手は100%のレンジでベットしてくるわけではないです。TP以上の強いハンドはほぼ100%ベットしてくるでしょうが、マージナルや弱いハンドはチェックも混ざってくるでしょう。
普通に考えると、その状況でこのボードで62%もコール以上出来るはずがないです。
では何がそういう誤解を産ませるのか。
自分はそれが、MDFという名前にあるのだと思います。
MDFとは、直訳すると
「最小ディフェンス頻度」
です。その頻度以上守らないといけない率を表している数値、を意味しているような気がしますよね。
もし、HJのレンジとBBのレンジがほぼ同等の強さになるボードで、HJが100%のレンジでベットしてきた場合は確かに、MDF以上にディフェンスしないとエクスプロイトされてしまいます。
しかし、上記のレンジはHJ側に有利かつ、HJ側のベット頻度は100%ではありません。
正直、MDFと同じ数値は、名前を知る前からずっと使ってました。ただし、認識としては
「コールされる率がその割合以下ならばブラフが利益的になる頻度」
という感覚です。
同様な、名前が意味を勘違いさせてしまう数値として、
aggとかaf(アグレッションファクター)
と呼ばれる数値があります。これは
(ベット回数+レイズ回数)÷(コール回数)
で表される数値です。
ベットやレイズが多い人は確かにこの数値が高くなります。
6.5bbのポットに4bbベットしてコールされたら分子に1が増え、チェックして4bb打たれたものをコールしたら、分母に1が増えます。
しかし、フロップである一定頻度でCBを打つのはすごく普通のプレーです。
そのCBをコールするかどうか。aggは2から3くらいが標準ですが、そうなると分母の1は分子の2から3くらいに数値に対して寄与します。
それくらい、ベットする回数よりコールする回数の方が少ないのです。
なので、この数値を見る時は、メインには、
「数値が小さいほどコール頻度が高い。数値が高いとコール頻度が低い」
ことを意味する数字だと思ったほうがより適切になるのです。
なのに、「アグレッションファクター」という名前によって、アグレッシブかどうかを評価している数値だと思われてしまっているのです。
話をMDFに戻すと、MDFはディフェンス側の意識ではなく、ブラフする側に必要な成功率を見積もる際に必要な概念であって、どっかの誰かがつけた名前によって本質的な意味を勘違いしないようにしなければなりません。