木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

他分野の専門家がまともかどうかを判断するのは難しい

自分はポーカーが専門です。ポーカーの事なら相当色々正しくニュースを判断出来る自信があります。

将棋と麻雀は趣味だけど、それなりに色々判断出来る自信はあります。

地球物理系の学問は、そこまでではないけど、完全なエセは判断出来ます。

化学や医学は、一般教養レベルで、基本的には素人です。

 

一般的にどの分野にも、研究の王道分野を進む人と、王道から外れて知名度やお金を稼ぐことに執着している人がいます。

研究者で、王道を行くのが95%で、邪道を行くのが5%という印象です。

この邪道を行く人達は殆どが、自分自身が既にメインストリームに戻ることはない、戻れない、ということを自覚しているのです。一方彼らは往々にして自身のマーケティングやプロモーションが上手いのです。

 

科学、研究の世界では、

80%から90%くらいの体感→そうかも

95%から99%→その可能性が高い、恐らく○○です

99%から99.9%→まず○○です

100%→です。絶対〇〇です。○○だと分かってます。

 

自分の卒業研究のテーマだった地球システム的には

「過去100年間、地球の平均気温は上昇している可能性が高いです(99.5%)。

二酸化炭素には温室効果があります(100%)。

地球温暖化の原因の中で一番大きいのは恐らく二酸化炭素です(98%)。

このまま対策を取らないと、地球の環境が大変なことになるかもしれません(85%)」

 

うん、絶対という言葉は本当に使わないんです。だって、1%は本当に1%リアルに起こり得ることを何度も体感しているから。

でも、一般の人は90%くらいで簡単に「絶対」という言葉を使っちゃうんですよね。

「あいつら、絶対付き合ってるって!」

「あの人、絶対クスリやってるよね」

 

逆に、専門家が98%のつもりで「その可能性が高い」と言っても、一般の人には、50%を超える程度、60から70%という感覚で受け止めてしまいます。専門家は、そう取られてしまうことは分かっていても、だからといって95%程度で「絶対」なんて言葉は気持ち悪くて使えないのです。業界の内部の人から変な人扱いされちゃう恐れもありますし。また、空気を読んで発言を変えることは基本的にしません。正しいという信念に従って生きている人たちであり、場の雰囲気がどうであれ、それを曲げる発言はとてもできないのです。

 

メディアを作る人は、科学の観点からすると一般人なので、やっぱり同じ感覚です。で、科学者にもっと断言してほしいと。でもまともな科学者は断言しない。

また、トーク力と研究者としての能力はそこまで相関が無いので、まともな研究者はトーク力が高くないことが殆どです。テレビに出る人は、トーク力の上位0.1%の人の集まりなので、当然ですが。

しかしですよ、断言してくれる科学者もいるんです。5%ほどの邪道な科学者。

彼らは業界内部から変な人扱いされても問題ありません。だって、そのメインストリームで生きていくことを諦めた人たちだから。

しかも、専門の知識以外の部分、セルフプロデュース力だとかトーク力だとかは高いのです。それを磨くことで生き残ってきたわけだし。すると、メディアで重宝される。

そうやって、知名度が高く、トーク力もあり、空気をよく読んで発言する邪道研究者が生まれるのです。

 

 

一般人からすると、肩書はみな同じように見えます。

片方はトークが回りくどく、断言しない。

片方はトークがわかりやすく、良く断言してくれる。

どっちのほうが説得力があるように見えるでしょうか。

 

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では、自分が専門ではない分野で専門家の知見がほしい時、どうやって判断すれば良いのでしょう。

肩書はみんな立派に見えるし、知名度は当てになりません。

 

自分は2つの方法を取ってます。

1、断言しない人、現状は何が分かってないかを明確にする人の信用ランクを上げ、よく断言する人の信用ランクを下げます。

2、自分自身が所属するコミュニティー(自分の場合はポーカー)で、中道なプレイを選ぶ専門家(医学ならポーカーが趣味の医者)が否定する人の信用ランクを下げる。

 

こんな感じです。まず断言ですが、上記の理由で非常に科学者的じゃないんですよね。ただ、出てきた言葉がどの程度その人本人のものなのか分からないし、一般的にどういう意味で使われているかを分かった上であえて言っている可能性もあったりするからそれだけで全て判断は出来ません。

2番目ですが、趣味で王道なプレイをする人は、本業でも王道である率が非常に高いと思います。趣味で邪道で本業で王道なパターンもあるから、趣味で邪道な人はどちらの意味でも参考にしないようにしてます。そして、趣味の世界でもトップクラスに登りつめる人は、本業でも能力が高く、見る目を持っている可能性が高いと判断します。

そして、複数の意見を総合的に参考にするのです。

 

それでも誤った情報を掴んでしまうことは多々あります。しかし、常にその可能性を頭に入れつつ、専門家についても情報をアップデートしつづけるのが良いのではないかなと思います。

 

よく

「情報を鵜呑みにしづらい時代になった」

と言いますが、むしろ昔のほうがメディア(本や雑誌を含む)以外から情報を仕入れる方法がなくて、情報を判断することが不可能だったと思います。

今はあらゆる人が情報を発信し受信できます。そういう面でも非常に良い時代になったと思います。