一般的に、人間には様々な向き不向きがあります。
自分が幼少期からどんな英才教育を受けていて、そこに自分自身が夢中になれるくらいの興味があったとしても、絶対に100メートルのオリンピックメダリストには慣れなかったのは間違いないでしょう。
逆に、ウサイン・ボルトがどんなにポーカーに興味を持って真剣にやったとしても、自分はおそらくトータルで彼に負け越すことはないとも思います。100メートルを引退してサッカープロを目指して、早くもプロの試合に出てるので、彼はスポーツ全般に対して大きな適性があるのでしょうが。
自分に関していえば、平均的な人類より、ゲーム全体への適性はかなりある方だったと言えると思います。
ところで、ゲームへの適性と言っても、ゲーム内でも色々な種類の適性があります。
将棋への適性、囲碁への適性、チェス、麻雀、バックギャモン、ポーカー・・・
自分はポーカーのプロで、ポーカーへの適性について感じることが多々あるので、それを書こうと思います。
ポーカーは「不確定不完全情報ゲーム」に分類されます。
平たく言うと、「運が絡み、相手の情報が見えないゲーム」です。
一方、囲碁や将棋は「確定完全情報ゲーム」です。
「運が絡まず、相手の情報がすべて見えているゲーム」
ですね。実は、この観点からみると、囲碁将棋とポーカーは正反対なゲームなのです。
基本的に「確定ゲーム」、つまり、運の要素がないゲームだと、何手先、とかの深読みが出来ます。そして、読んだ先に読み抜けがあって、それが致命的なダメージにつながったりします。
一方、「不確定ゲーム」、運の要素があるゲームだと、深読みは基本的には出来ず、その代り、漠然とした見通しと、大雑把な勝率を確率で認識する能力が要求されます。
「完全情報ゲーム」、相手の情報が見えているゲームだと、その局面を正確に判断する能力が必要となります。将棋だと形勢判断、バックギャモンだと勝率やギャモン率などの確率。
一方、「不完全情報ゲーム」だと、相手の持っている手の組み合わせを漠然と把握し、それに対してどの程度こちらの手が有利/不利か。そして、ゲームの進行によってその手の可能性がどんどん変わっていくので、それを常にアップデートしていく能力が問われます。
トータルでは、囲碁将棋では
「先を(主に一段落する局面まで)正確に読み、その先の局面の形勢判断をする。それを複数読み、それらを比較してどれがより勝ちに近いかを判断する。
その過程で読み抜けがあったら一気に不利になる可能性があるため、正確な読みと形勢判断が必要となる」
一方、ポーカー(麻雀も近いですが)は
「次に何が来るかも分からず、相手の手も分からない。なので正解手とされるプレーも本質的には無い。
そのうえで、相手が持ちうる手の可能性を考え自分の手を考慮した上で、どのプレーが最善かを常に判断し、自分が信じた最善を実行し、踏み出すことが大切」
だと思います。
ポーカーや麻雀は、暗闇の中、信じた方向に突っ走る、そういうある意味無謀なことをゲーム内で躊躇なく出来ないといけない。
囲碁将棋は、明るくよく見える中から、如何に遠くを正確に見通すかが問われる。
囲碁将棋が強いからと言ってポーカーが強いとは限らないし、逆も然り、というわけです。自分は将棋はかなりやりましたが、そこそこまでしか強くならなかったので。
しかし当然、両方に強い適性があることも十分にありえます。
将棋で言うと、
「ちょっと不利な形勢。Aを選ぶとそのままちょっと不利な状況で着いていくことが出来る。Bを選ぶと、9手先に相手の好手があって、それを指されると一気に負けになるけど、対戦相手がその手を見落としていた場合、若干有利な局面に持ち込むことが出来る」
という時、そして、対戦相手がその見落としをする可能性が高いと判断した時。
勝率40%のままで行くか、相手が7割の確率で見落とし、その時60%勝てる。
その時に、躊躇なく後者を選び、対戦相手に好手を気づかれてあっさり負けになった時に、それを引きずらずに諦めることが出来るか。
それが出来る人は、ポーカーや麻雀の適性があると言えると自分は思うのです。
自玉が詰むか詰まないか際どい。若干詰まなさそうに見えるが本当に際どい。
受けたとして、受かるかどうかも分からない。
今なら敵玉には必死をかける事ができる。
持ち時間はない。
そこで何を選択するか。
自分が「詰まなさそうに見える」と思ったなら、それを信じて突っ込む、それが出来る人のほうが、ポーカーに向いているんじゃないかと自分は思うのです。