自分は「頑張ってください」という言葉がかなり嫌いです。
「頑張ってください」と言われる立場の人は、大体既に十分すぎるくらいに頑張っているのです。そして、言う方も言われる方も、そのことは百も承知なのです。
なので、言う方は勿論、頑張りが足りないことに言及しているわけでも、実際にそれ以上の頑張りをすることを求めているわけでもなく、単に応援する気持ちの表明として「頑張ってください」と言っているわけです。
勘違いされないように明言すると、「頑張ってください」という言葉を言う人が嫌いなわけでは決してありません。だから言われた時は真の意味と捉えて「ありがとうございます」と返します。
そう、「頑張ってください」という言葉は、表面上はさらに頑張ることを要求する言葉であるにも関わらず、真の意味は「応援していて、良い結果が出ることを祈っています」という言葉なのですよね。その点が非常に言葉として嫌いなのです。
同じく嫌いな言葉に
「なんで勉強しないの!!」
もありますが(当然真の意味は「勉強しなさい」)、表面上の意味と違う真の意味がある言葉は、言葉としてあまり良くないと思うのです。
しかし、「頑張ってください」という言葉には非常に難しい問題があります。
それは、日本語に、「頑張ってください」の真の意味と似た短い表現が難しいんですよね。受験生を会場に送り出す時に、「頑張ってね」という言葉を使わずになんと送り出せば良いのでしょうか。自分は塾の講師時代、相手によって
「リラックスして、試験を楽しんできてね。それが出来たら合格確定だよ!」
(主に成績が良くて受かる可能性が高い子相手)
「今までたくさん勉強してきたんだから、それを信じて力を出し切っておいで」
(本命のちょっと無理気味なところに挑戦する子相手)
などと使い分けてました。しかし、どちらも長い・・・
英語では非常に便利な言葉があります。
good luck
ですね。007などの映画でも良く出てくる、「幸運を祈る」です。すごくいい言葉だと思います。
今では、大人相手の場合は
「応援してます」
(キツい勝負に望む人相手)
「期待してます」
(成功する可能性が高い勝負の場合)
「グッドラック」
(ポーカーや麻雀など、明らかに運が絡む勝負の場合)
と使い分けるようにしてます。
何れにせよ、「頑張って」を使わずに短く表現するのは結構難題で、だからこそ「頑張って」が安易に使われやすいのですが、天の邪鬼な自分には、その安易さが嫌いな点でもあるのです。
一方、他の人に応援された時に
「頑張ります」
と言うのはすごく自然なことだと思います。
頑張るのは自分なわけで、そこまで頑張ってきたけどそのまま頑張るというのは極めて自然です。また、複数人数で行う作業に於いて
「頑張りましょう」
と言うのも自然だと思います。
そう、頑張るという言葉は、頑張ってない人を叱咤する以外では
「I」や「We」が主語になるべき言葉であって、「You」を主語にすべきではない自分は思うのです。
「期待してます」や「応援してます」だと、こちらが勝手に期待や応援をしていることを表明するだけであって、相手に何かを求めているわけではなく、それが言葉として心地よいんです。
繰り返しになりますが、
「頑張ってください」
という言葉を言う人が嫌いなわけではありません。単なる価値観の問題として、自分は使わないようにしていると言うだけです。ただ、この価値観に共感してくれる人がいれば、それはそれで嬉しいです。