木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

カジノと依存症

カジノが日本にも出来るかどうかという話題が出ると、ほぼ必ず、依存症との話題がセットになります。

カジノを推進する側と否定する側の議論でよく見るのが

「既に実質のカジノであるパチンコが溢れている状態で、作っても特に変わらない」

「いや、現状でギャンブル依存症がこれだけ深刻なんだから、そこにカジノを作ったらもっと悪いことになる」

というような論調です。

 

この手の議論を見ていて、自分はいつも思うのです。どっちもズレてるよね、と。

ギャンブル依存症はよく問題になりますが、依存症はギャンブルだけではありません。

合法なものから非合法なものまでたくさんあります。

お酒、タバコ、ゲーム、ドラッグのような、無くても困らないものから、買い物依存症の様に、買い物自体は無くてはならないものながら、ある程度以上依存すると深刻な害をもたらすものまであります。

買い物と同様な依存では、塩分、糖質への依存や、そもそもの食事行為への依存。

それから、人への依存(執着)もあります。ストーカーも同じ括りだと自分は思います。

タイガーウッズがマスターズで14年ぶりに優勝したニュースは非常に良いニュースですが、彼がセックス依存症だと言うことで話題になったのを思い出した人も多いかと思います。

 

必ず一定の人数、依存症になる人はいます。

たまたまそれがお酒だったりタバコだったりドラッグだったりセックスだったり糖質だったり。

その中の一つとして、ギャンブルもあるのです。

ギャンブル依存症になる人は、仮にギャンブル的なものが無かったらかなりの割合で別のなにかに依存するのであって、問題の根っこはギャンブルがあるかどうかではないのです。

(自分はその研究者ではないので、ソースは?と聞かれても困りますが、あくまで自分の意見として聞いてもらえたらと)

 

カジノはこれから出来るわけですが、その業者や業界に対して、必要以上に依存症対策を迫られているという感覚があります。

ある程度以上高頻度で通っていたら対策を取らないといけないとか、必要以上に魅力的に表現するなとか。

でもですよ、依存症が問題なのはギャンブルに限ったことではなく、買い物だって同じなわけです。

「必要以上に魅力的に商品を宣伝してはいけない」

「週○回以上日用品以外の買い物に来ている客が居たら、報告を義務付ける」

とかをデパートに課すようなものです。

当然ですが、そういう対策をデパート等は一切取っていません。なのに、なぜカジノ業界だけそれを課されないといけないの?それは不公平じゃないの?と思うのです。

 

結局、カジノ(パチンコ)に依存するのはカジノが悪いけど、買い物に依存するのは個人の自己責任だ、という主張は自分は一貫性がないと感じます。

 

結局、依存症になる人は一定人数います。

依存症から脱却出来ていない人は、仮にギャンブル依存症だったのがギャンブル施設に行けなくなったら、お酒とかに依存するのです。逆もまた然り。

カジノが出来ることで依存症の人が増えるとは自分は全く思わないし、むしろ他の業界より依存症対策がしっかりなされている分だけ、そういう人がカジノに来ることで治療を受けることが出来るという事例もかなり出てくるのではないかと思います。

 

 

ちなみに、依存の先として、それら以外にも仕事への依存という人もかなりいるかと思います。

他の依存と違う点は、仕事に依存しすぎても、生活が壊れることはないのですよね。仕事しすぎて家庭で不満を持たれて云々はあるかもですが。

よく聞く、

「仕事熱心だった人が突然○○にハマって・・・」

というのは、依存体質で仕事にうまく依存出来ていた人が、仕事がうまく行かなくなったり人間関係で困った際に他のものに依存してしまうのが原因じゃないかなと思います。

正直、将棋のプロ棋士なども、かなり依存体質な人が多い気がします。

依存は言い換えると熱中と同じなわけで、それがたまたまいい方向に向いた、というのではないでしょうか。それは非常に幸運なことだっただけですが、自分はそれこそが依存症対策の一番の突破口になるのではと思います。これからの時代、全員がいわゆる普通の職業につかなくても社会が成り立つわけですから。

 

 

ポーカー界に、グレッグマーソンというプロが居ます。

彼は10代後半から薬物依存症になりますが、その後ポーカー依存症と言っていいくらいポーカーに熱中して一気に強くなり、薬物依存症から立ち直ります。それだけだったら単なる依存先が変わっただけですが、彼はポーカーに非常に強い適性がありました。そして2012年に、WSOPの1万ドル6マックスを優勝し、同年にWSOPメインイベントも優勝したのです。特に残り3人になった時は、今までの常識では存在しなかったプレーを使い、他の二人(二人とも若くて強いプロ)は目新しいプレーにうまく対応出来ずに圧倒されるという内容で、歴代のWSOPメインイベントチャンピオンの中でも別格の評価を得ています。

 

 

話がそれてしまいましたが、自分はカジノが出来たからと言って依存症が増えるとは思わないです。

依存体質な人が依存先が仕事からカジノになった場合のみ、カジノによる依存症が増加したと言えるでしょうが、それと同等以上の人数が、他の対策が全くされていない依存先からカジノに来ることによって、カジノの依存症対策プログラムで救われると思うのです。