木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ポーカースタジアム、稼働終了と雑感

本日、2022年2月28日を持ちまして、自分が監修させていただいたポーカースタジアムは稼働終了となりました。2年間プレイしていただき、ありがとうございます。

開発期間から数えると4年関わっていて、とても愛着があるゲームだったので、正直なところ終了してしまうのはとても残念です。

 

自分自身も、高校時代は平均して週5でゲームセンターに通ってて、浪人時代も大学生時代もかなりの頻度でゲームセンターで遊んでいました。

「こんなに無料でゲームができる時代なのに、なんでお金を使ってゲームセンターに?」

とはよく言われますが、たくさん通って、たくさんお金を使って来た人間だからこそ、ゲームセンターで遊ぶことの楽しさもわかりますし、なぜゲームセンターに行くの?という気持ちも良くわかります。なので、ゲームセンターのポーカーでより楽しんで貰えるように少しでも協力したいと思ってました。

しかし、こういう結果になって、自分の力不足を実感する次第でもあります。

 

監修が入るようなゲームだと、監修側がプレーヤーの目線になりすぎて、全然儲からない仕様を提案して、多少なりとも利益にならないと困る運営側と意見がぶつかる、というのがよくありがちなのではないかと思います。

しかしポーカースタジアムの開発で印象に残っているのは、自分が

「この仕様だったら全然インカムにならないと思うからどうでしょうか」

と言い、伊藤pの上司の方に

「インカムのことは気にしないで、もっと楽しいと思うゲームになるように考えてほしい」

と言われたのはいい思い出です。

 

日本の大企業とご一緒にお仕事をさせていただいたのは、今回のバンダイナムコ様が唯一です。ご一緒させて頂く前は、大企業は融通が利かないことが多いのかな、というイメージ、偏見がありました。

しかし、ご一緒に働かせて頂いて、自分が気づいてなかったことに気付かされました。

それは、見切り発車で後から何とかする、ということをせずに、細部までキッチリと詰めてからしっかりスタートする、ということが企業への信頼に繋がり、その信頼の積み重ねの結果として大企業という地位を築いているんだなということでした。言葉にすると当たり前なのですが、なんだろう、これを感覚的に理解した、納得したという感じなのです。

 

 

製品が出来て、最初のロケテスト

当初のルールは、40bb持ちの時間50秒。

テストに参加された方は覚えているかと思いますが、サクサクプレイすれば、タイトに打ちつつ、ちょっと勝ち残ると200円で2時間遊べることもあるという状況でした。いくら楽しいと思うゲームを目指していても、それはまずい。

本来アグレッシブに攻めるのが正しい局面でもチェックで回してしまうことが想像以上に多かったのです。

かと言って、「10ハンドとか10分とか打ったら100円」というような仕様だとゲーム性が壊れてしまいますので良くないというのは自分も運営側も全員の総意でした。

それならば、自然にアグレッシブにプレイしてもらえるように、ということで、1ハンドごとに時間が固定で減り、ポットを獲得したり、相手を飛ばしたら時間が回復するという仕様を導入することにしました。タイトにプレイするのが好きという人から不評なシステムだったのは承知してますが、一方でどんどん参加し、ガンガン攻める人が損をして、じっと待つことが得をするようなシステムはゲームとして致命的な欠陥であるという思いもあり、このシステムで行くことになったのです。

たくさん遊んで頂いた方は、この思いを共通で持って頂いていると感じますし、思いに賛同して頂けていたことはとても嬉しく思います。

 

個人的にとても残念だったのは、稼働期間中がコロナ禍とドンピシャリで被ってしまったということです。サービス開始して一気に認知度を上げたいというタイミングでコロナ禍もスタートし、緊急事態宣言によって出鼻をくじかれることになりました。そこで沢山の人がプレイしてくれたら、じゃあうちの店舗にも置いてみようというゲームセンターの方も出てきたのではないかと。

そして、サービス終了するまで結局コロナ禍が完全に明けることはありませんでした。

スタートして、順調にプレーヤーが増えていったらあれをやろう、これをやろう、と色々話し合っていたアイデアは多々あるのですが、ほとんど形になることがなく終了してしまいました。

 

たらればを言ってもしょうがないのは分かってますが、コロナがなかったらポーカースタジアムはどの程度広まっていたのだろう。稼働終了の心配なんて無いくらい流行っていたのか、それともさほど変わらない立ち位置になっていたのか。それが見られる世界線でなかったのがとても残念です。

一方で、同じコロナ禍にあっても、自分がもっと良く立ち回れていればもっと多くの人に楽しんで貰えてサービスは継続出来たのかな、それともそう思うこと自体、思い上がりなのかな、と思ったりも。

 

 

 

なんかとりとめの無い文章になってしまいました。

2年間に渡って、ポーカースタジアムで遊んで頂いた方、ありがとうございます。

ポーカースタジアムはサービスを終了してしまいますが、自分はポーカーをやめるつもりはありません(プロとしていつまで続けるかは分からないですが)ので、いずれどこかでお会いする機会はあるかと思います。その際は是非またよろしくおねがいします。