木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

リミットゲームとポットリミットゲームの戦術の違い

多くのミックスゲームはリミットで行われます。

多くのプレーヤーは、慣れてないゲームでもリミットなら打っていいかなと思うのもありますが、ポットリミットの慣れてないゲームはやっぱり抵抗があるんですよね。

 

しかし、一部のドローゲームとフロップゲームは、たまにポットリミットで行われることもあります。

オマハハイローはリミットだけじゃなく、ポットリミットもかなり一般的です。しかし、2-7TDなどはポットリミットはあまり一般的ではありません。

しかし、WSOPのBigBetMixやDealersChoiceイベントでは2-7TDのポットリミットもゲームの中にあります。

一般的に言って、ポットリミットとリミットでどうプレイが違うのか、それをホールデムと2-7TDを元に書いてみようかなと思います。

 

 

まず、既に多くの人がNLHEを元に書いてますが、ノーリミットやポットリミットのビッグべットゲームにおいては、エクイティが多少50%を切っていても、レンジがポラーされている方が強いです。

レンジがポラーされているというのは、平たく言えば、

「勝っているか負けているかが、自分のハンドだけでほぼ分かる」

ということですね。ポラーと対称的なのは、レンジがリニア(線形)であると言うことです。

平たく言えば

「そこそこの強さのハンドを持っていて、勝っている可能性がそれなりにはあるが、相手のハンド次第で勝っているか負けているかが大きく変わる」

なのです。

ブラフが少なすぎる相手だと、リニアなハンドを持っていても打たれたら負けていると判断しやすいからリニアであるデメリットが小さいし、ブラフが多すぎる相手だと、リニアなハンドでコールしておけばまあOKなのでプレイは簡単です。リニアなハンドを持っていて、相手が強いときが難しいんですよね。

ちょっと厳密な言い方ではないですが、ポットリミットゲームなら、最後に勝率34%あれば、最後に2対1でブラフを打つことで、34%側なのに期待値は51%相当になります。ポラーであることはそこまで強力なのです。

逆に言えば、勝率66%でリニアなレンジを持っていて、相手がポラーなレンジなら、実質的に49%しか勝率がないのと変わらないとも言えるのですね。

一方、リミットゲームなら、リニアなハンドは非常に価値が上がります。というか、元の勝率通りの価値に近くなるという感じでしょうか。

 

では、2-7において、リニアな強さのハンドとはどういうものでしょうか。

それは、

「9パットや87パット」

のようなハンドです。そこそこ強いけど、相手の強いドローに対して非常にツラい。

 

 

2500ドルバイインのようなイベントでも、2-7TDで、2479xで9を残し、1枚チェンジにしてできるだけ早くハンドを完成させようとする人が結構います。

そのプレイは、上にあげた、リニアなハンドを作るプレイなので、ポットリミットにおいては非常に良くないのです。

「リミットホールデムはドローハンドが安くドローできるので強くなる」

というのが勘違いであると以前書きました。

https://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2018/05/29/113000

 

強いドローの価値は、ポットリミットこそ高くなるので、リミットで2479xの9をチェンジするなら、ポットリミットでは尚更9はチェンジしないと行けないのです。

そして、一度でもこういう9を残すプレイをしたのを見たら、その後絶好の攻撃ターゲットです。セカンドドロー後にチェックレイズポットを打ったり、最後に微妙な86くらいで大きなバリューベットを打ったり、またブラフしたり出来るのです。

 

強いドローハンドとブラフ、セミブラフ。マージナルなハンドでポットを膨らませない忍耐(フリーカードを与える勇気)。そして、強いドローハンドを手にしたときに大きなポットをプレイすることをいとわない勇気。これらが、ポットリミットゲームをプレイする際に必要なものなのです。