AKQJのカードが1枚ずつあります。
強さは普通に
A>K>Q>J
です。
一人には、Kが配られ、それは相手にも分かってます。
もう一人には、AQJの3枚のうちどれかがランダムに配られます。
ポットは100ドル。これでポーカーをします。あなたはどちらを持ちたいですか?
まず、ポットベットまでしか許されて無いとします。
Kの立場からすると、ポットベットの必要勝率は33.3%
つまり、ブラフが3回中1回以上含まれていたらコールします。
逆にブラフが3回中1回以下ならフォールド。
ちょうど3回中1回ならコールでもフォールドでも良いということになります。
それをブラフする側の立場で考えてみましょう。
Aでバリューベットします。
3回中1回ブラフだと、相手はコールでもフォールドでも良いという頻度で、それより多いと全部コールされて損しますし、それより少ないと全部フォールドされて損します。つまり、3回中1回ちょうどブラフするようにします。
なので、例えばQを全て諦めて、Jを半分ブラフします。
そうするとKは、コールしてもフォールドしても期待値は同じなので、簡単のために全部フォールドするとして、
AとJの半分→AQJ側の勝ち
QとJの半分→Kの勝ち
ということになって、期待値的に勝率50%と同じになるのです。この場合は、AQJ側を持っても、K側を持ってもどちらも同じなのです。
もし、ダブルポットベットがオールイン金額だとしましょう。
Kの側からすると、必要勝率40%。
本物:ブラフ=3対2の時にコールでもフォールドでも良くなるので、AQJ側はそういう頻度になるようにします。
つまり、全てのAと、Jの2/3でオールインして、全てのQと、Jの1/3で諦めます。
この時、K側はフォールドでもコールでも同じになるので
AとJの2/3→AQJ側の勝ち
QとJの1/3→K側の勝ち
となります。
つまり、AQJ側は
1/3 + 1/3 × 2/3 =5/9
Aが来る確率 Jが来る確率 ブラフする頻度
で勝ち、同様に1/3+1/3×1/3=4/9で負けるのです。
つまり、ダブルポットベットが許される場合は、AQJ側の勝率は実質的に5/9、つまり55.5%と同じなのです。
逆に、本来66.6%勝っているはずのK側は、実質的に勝率44.4%と変わらない勝負をすることになるのです。
なぜこんなことが起こるか。
それは、難しい言い方をすると、
「K側のレンジがキャップされていて、AQJ側のレンジはポラライズされている」
からなのです。
もっと平たく言うと、
「AQJ側は自分のハンドが勝っているか負けているか分かっているけど、K側はそのハンドが勝っているか負けているかが分からない」
から起こるのです。
でもこれ、実際のポーカーじゃないよね?と思うかと思います。
しかし、これと同じようなことが、ドロー対メイドハンドで起こります。
ドローハンドの価値が上がるのはこれが原因なのです。