木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

100個の金貨問題

ゲーム理論の問題で、100個の金貨を配分する問題があります。

Aさんが100個の配分を決めます。

Bさんはそれを受け入れるか、拒否するかの2択です。

受け入れたら二人ともその個数を貰ってお終い。

拒否したら二人とも貰えず終わる。

 

元の問題では、拒否した場合は、AさんもBさんも殺されてしまうとかいう設定があったりしますが、まあそんな設定は一旦なかったことにしましょう。

 

で、ゲーム理論的な最適戦略はどうなるでしょうか?という問題です。

この問題、Aさんは99個、Bさんが1個という配分に決定し、それをBさんはそれを受け入れて99対1という分配にするのがお互いの最適であると言うのがゲーム理論的な回答です。不公平だと言われようが、Bさんは拒否したら0枚、承諾したら1枚なので受け入れざるを得ない、というのです。

 

ポーカープレーヤーとしては、この問題を見たときに

「これ、1回だけじゃなくて100回やった場合、どういう風にするのが最適なんだろうか?」

とふと思ったんですね。

100回やるとき、Aさんが最初に99対1の提案をしたら、Bさんは拒否します。拒否されるとAさんは99個を失うので、もっとBさんに渡すことになるはずです。これ、まさに交渉ですよね。

最後の一回は、99対1にするとして、それまではどういう流れにするのでしょうか。

Aさん側の方が配分を決める権限があるので、若干有利でしょう。後はBさんがどの程度拒否することで有利な条件を引き出せるか。

やったことはないけど、結構面白いゲームになるんじゃないのかなと思います。

自分の感覚では60対40くらいに落ち着く気がします。それぞれの側をもってやってみたい気がします。

 

 

そして、元の問題に戻ります。

ゲーム理論的には、一回だけしかやらない前提で、99対1の配分をするのが最適とされます。しかし、それは本当に現実を近似出来ているのかな?というのが自分の感想なのです。

いや、たしかにその後一切絡みがないのなら99対1が最適なのは明らかだと思います。しかし、100回やる前提なら、99対1の提案は絶対に拒否されるわけで、確実に損をする提案です。現実世界ではその後も人間関係が続くので、単発の仕事であっても、99対1の提案って実は相当期待値を失うプレーだと思うのです。

 

現実には、100回という区切りすら存在せず、何回やるか予め教えられていない状態で複数回やる前提のこのゲームと近いですね。それを、一回だけのゲームだと思っているかのように振る舞って直近の得だけを最大化しようとしている人を結構見る気がしますし、それが合理的で、そういう人が得をする世界なのは良くないとかよく言いますが、でも実はそれはかなり期待値が損な生き方に現実世界でもなっていると自分は感じるし、60対40とか50対50を意識して生きていくことが、実は個人の利益も最大化されるんじゃないかなと思ってます。