何度か話題になってますし、自分も何度か意見を書いたことはありますが、ブログに書いたことは無かったので改めて書いてみようと思います。
まず大前提として、「ブレ」はハンド数の平方根に比例して大きくなります。
標準偏差という概念があるのですが、それはあるハンド数をこなしたときに、平均的にどれくらい平均値から離れるか、というものです。
例えば、コインの裏表のゲームをしたとしましょう。
100回繰り返すと、不正がない限り平均で50回表が出ます。
そして、この問題の場合、標準偏差は5です。
つまり、50回からのブレを計算した場合、その平均値は5となるのです。
さらに、平均値(=期待値)から1標準偏差以内である、45回から55回までの間に来る割合はざっくり68%、2×標準偏差以内の40回から60回までの間にくる割合はざっくり95%となります。
五分のオールインを100回やって39回以下しか勝てなかったり61回以上勝てたりするのは合わせて5%しかないんです。
ところでこの標準偏差、ハンド数のルートに比例して大きくなるのです。
100回なら標準偏差は5でしたが、400回なら2倍の10、900回なら3倍の15、10000回なら10倍の50となるのです。
つまり、100回のオールインをした場合5回くらいブレるのが普通ですが、10000回オールインを場合、50回分くらいブレるのが普通なのです。
「確率は収束するって言うじゃない?おかしいじゃん?」
って思うかも知れません。しかしですよ、1回当たりで見ると100回のときは100回中5回のブレ、だいたい5%ですが、10000回のオールインなら0.5%。
そう、トータルでは平均との差は増えていくのですが、1回あたり(100回あたり、でもいいけど)で見ると、平均との差は小さくなっていくのです。
さて、100回コイントスをして、58回表がでました。この時、40回から60回の間に来る確率は95%なので、まあ確率の範囲内と言えるでしょう。
では表が62回出たら?
35回から65回の間に来る確率は0.5%くらい。そろそろイカサマを疑いますが、確証があるほどではありません。
しかし、表が75回出たら?
これが本当に起こったのなら、確率のブレと言うよりはこのコインで表が出る確率は50%よりは高い(=イカサマ)可能性の方が高いと言えるでしょう。
では逆に、表が出る確率が53%のコインを使ってこのゲームをしたとしましょう。
100回すると、期待値は53回ですが、標準偏差は5なので、48から58回に来る確率が68%。期待値はプラスですが、まだ負ける可能性は普通にあります。
この状態で、100回は確率が収束したと言えるでしょうか。普通は言わないでしょう。
900回すると、期待値は477回ですが、標準偏差は15なので、462回から492回の間に68%、447回から507回の間に95%。
まあまあ負ける可能性は低そうです。これは収束したと言えるのかどうか、ひとそれぞれな気がします。
10000回すると、期待値は5300回。標準偏差は50なので、5250回から5350回の間に来る確率が68%。5200回から5400回の間に来る確率は95%。5150回から5450回の間に来る確率は99.5%。
つまり、10000回やれば、必勝と言っていいのです。
この状態だと、多くの人は収束したと呼ぶんじゃないでしょうか。
つまり、一般的に収束したと呼ぶには、その人がどの程度勝てるかに依るのです。
そして、トータルでマイナスの人は、どんなにプレーしても収束することはないとも言えるんじゃないでしょうか。