オリンピックは商業利権に従うべきだ
連日暑いですね。毎日35度になって、熱中症の心配も大きいです。
この影響で、2年後に東京で行われるオリンピック、暑すぎて大丈夫なの?対策したほうがいいんじゃない?という声がたくさん聞こえます。
よく上がる話としては、
開催を秋にしたら?
→北米のアメフトやヨーロッパのサッカーとかぶるから無理
→オリンピックほどのイベントなのに、そういう商業利権に合わせるっておかしくない?選手の命の方が・・・
○○のイベントは☓☓の国で人気だからという理由で、競技時間が競技に向かない時間になるのはどうなの?
(さすがにマラソンはかなり時間を考慮するようではありますが。日本で人気なスポーツなのもありますし)
という話をよく目にします。
しかし、人気が莫大とは言えないゲームをある程度真剣にやってきた自分からすると、これらの意見は非常にズレていると感じるのです。
自分はバックギャモンをそれなりにやってました。
バックギャモンの世界的な愛好家は3億人と言われています。
毎年モナコで行われるバックギャモンの世界選手権は、その年の真の世界1を決める大会です。その世界チャンピオンは、ポーカーにおけるWSOPメインイベント優勝、将棋の名人に当たるような位置づけです。
その世界選手権ですが、日本人では2009年に望月正行さんが、2011年に鈴木琢光さんが、2014年に矢澤亜希子さんが優勝して、世界チャンピオンになってます。望月さんは2010年に世界ランキング1位になり、その後2012年に2位になりますが、2014年に1位に復帰してからはずっと1位です。
プレー人口3億人の中で、名実ともに世界トップを継続しているわけです。
それなのに、バックギャモン界以外、特に母国の日本での知名度の低さは何故なんでしょう。
それは、バックギャモンがメディアに取り上げて貰えていないから以外の何者でもないと思います。
オリンピックは4年に1度ですが、夏に300個、冬に100の金メダリストが誕生します。
正確には団体競技があるので、金メダリストの数で言ったらもっともっと多いです。
まあ何れにせよ、4年で400の金メダル競技があるわけです。
しかし、バックギャモンの世界チャンピオンはポーカーのWSOPメインイベント優勝と同じで、たったの4人なのです。
なのに、バックギャモンの世界チャンピオンは世界では知られていないのに、オリンピックの金メダリストは(マイナーな競技であっても)知名度が非常に高くなるのです。
オリンピックの金メダリストの知名度がこんなに高くなるのは当然、バックギャモンの話と正反対で、メディアに取り上げて貰えるからです。
オリンピックがこれほどまでに名誉ある大会になったのは結局のところ、こうやってメディアにたくさん取り上げてもらえるから名誉ある大会と言われるようになり、それがまたメディアに取り上げてもらえるきっかけになり…と、正の循環を繰り返して来たからです。オリンピックそのものが最初からすごい大会というわけではないです。そもそも歴史だって100年ちょっとしかないわけです。
結局何が言いたいかというと、オリンピックが名誉ある大会として認めてもらえているのは、商業利権に利用してもらえているからなのです。商業利権に利用してもらって築き上げられた名誉。その名誉を口実に、商業利権を批判するのは非常に違和感があるのです。
自分はオリンピック選手ではないですが、多少プレー環境が悪くても注目して貰える方が、優勝しても殆ど取り上げてもらえないよりずっと良いと思います。バックギャモンの不遇を思うとさらにその思いは増していきます。
また、どんな環境で勝負が行われようと、選手はみんな同じ環境でプレーするわけで、そこはフェアです。プロはその環境に合わせて準備するべきだし、環境を結果の言い訳にしてはいけない。商業利権の恩恵を一番受けているのは、人気がある競技のトッププロです。現役トッププロ側から真夏の五輪開催への不満を見たことは自分はないです。それは彼らは商業利権から恩恵を受けていることを自覚してるからだと思うし、一般の人がそういうプロの健康や体調、命を気遣う必要はないと自分は思います。
ただ、観客の体調や命を気遣っての批判なら理にかなっていると自分はまた思っています。それでも、その観客も、オリンピックだから見に来るわけで、同じ競技の日本選手権を見に行く人は超少数ですよね。結局の所、オリンピックは商業利権に従ってプログラムを組まざるを得ないのは仕方ないことだと思っています。