木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

教えると言うこと

kihara-poker.hatenablog.com

最近の記事で、エクイティーリアライゼーションという話題を書きました。

この単語の説明を書いている時に、大学1年の時の数学の授業の一つの風景を思い出しました。

 

複素関数論の授業で、

「コーシーの積分定理」

というのが出てきて、それを証明しましょう、という話なのですが、突然「グリーンの定理」なる定理の存在を持ち出してきて、それをさらっと全くわかりようがない説明で数分で証明を記述し、グリーンの定理を適用したらコーシーの積分定理が証明できました、という授業の1風景です。

 

これ、今から振り返ると、教え方として非常に良くない、と思うのです。

もちろん定理としては正しいし、内容も間違えてないです。また、証明するのもこの方法が一番速いのも間違いないでしょう。

でもね、それなら教科書にも書いてあることです。教えるべきことは、この定理はどういうニュアンスの意味があるのか。どういうところで使えるのか。それを先生自身の言葉で説明することだと思うのです。

証明も、そこまでで習った範囲ですごく遠回りして行うものの方が良いと思うのです。グリーンの定理を使わないと証明するのが困難なのであれば、証明するならばこういうものがあるので数年後に確認してみてね、とサラッと紹介する程度で良いと思うのです。

 

 

なぜこんな1風景を思い出したかというと、

「COの30%レンジのオープンにボタンから22は降りたほうが良いよ」

という説明をするにあたって、エクイティーリアライゼーションという概念を導入し、

「レンジ(相手のハンドの可能性)全体に対する勝率は45%かも知れないけど、リアライズされたエクイティーは40%しかないからオッズに合わない」

という説明をするのって、大学1年生の時に受けた数学での授業での説明とすごくかぶると思うのです。

この問題での説明の場合、なぜリアライズされたエクイティーが元の勝率より下がるかという説明もないですが。そもそも、リアライズドエクイティーなんてスタックやポットへの参加人数にものすごく依存するから、いくらって言いようがないんですけどね。

 

説明というのは、どんなに遠回りであっても、説明される人が理解できる範囲の言葉で書かないといけないのです。

ブログは読み手が不特定多数なので、ある程度レベルを想定しないと書きようがないです。自分の書く文章は、ポーカーを週1で1年位やってます、位の人が理解できるレベルを最低レベルとして想定してます。

それでも、一部というかかなりの割合の人には難しすぎると思うでしょうし(特に数式が出てくる部分とか)、一部の人には冗長すぎると思うかも知れません。

難しい内容を議論したかったら、書かないといけない考察内容が増えるし、そこを理解するにはこれくらい前提でいいよね?というものが増えるので、難しい内容を簡単に説明するというのは原理的に非常に困難です。簡単に説明や理解が出来るのなら、そもそも難しい内容と言われないですからw

でも、そこそこ難しい内容を、多くない前提知識だけで「算数」の側面から見て考察して行くのが自分の得意な思考方法です。それを多くの人に共有できたらと思ってます。

算数部分についていけないと言われても、塾の個人指導的な場所で聞かれたら答えられますが、こういうブログではある程度は読み飛ばして下さい、としか言えないので、そこは申し訳ありませんが・・・