木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ライブキャッシュゲームに於けるエクスプロイット

最近、有料ノートが増えてきてますね。

自分は読んでない記事が多いので何とも言えないです。

ただ、戦略記事に関しては相当強い人じゃないと本当にタメになることは書けません。

しかし、一方で

「エクスプロイット」

に関しては様々な「俺流」が存在し、それが記事化されたものが多々ある印象です。GTO系と違って正解があるわけじゃないですし、場によっても全然違います。

なので、様々なエクスプロイット記事が存在する(存在できる?)のです。

でも読む方からすれば、どの程度信用して良いものかもまた、分からないとも言えます。この記事の主眼としては

「エクスプロイットの有料記事を書く場合は、自分のこの無料記事より特化したり、より良い内容のものであって欲しい」

という自分の思いから、エクスプロイット記事のハードルを上げる意図で書く予定です。

 

 

GTO系の人は

「基本はGTOであり、相手がそこからずれるならば、そのズレを入力して差分を考えるのが正しいエクスプロイットである」

という主張をします。

そして、自分はその主張をほぼ支持します。特に、そこそこ打てるけどいくつかリークがあるというようなプレイヤーをエクスプロイットする場合はまさにこれです。

 

 

しかし一方で、ライブキャッシュゲームはGTOからずれるというレベルではなく、本当にびっくりするプレイがたくさん出てくるのです。

レークなしの状態で、GTO系のプレイヤーが想定する高い利益は10bb/100とかでしょうか。いくら言っても信じて貰えないのですが、自分がコマースの5/10NLHEを打った場合、レークなしで少なく見積もって50bb/100出ます(そこからレークで15くらい取られますが)。

マカオの50-100だったら、35bb/100(からレークが15とか)とか出たら良い方だとは思いますが。

これらの数字は、GTOを基本として、そのズレを考える方式では達成するのは難しいです。プレイをドラスティックに変えることが得なのです。

 

じゃあそのエクスプロイットを考える時にどういう基準で考えるべきなのか、それをポーカーの基本原則に立ち返って考えていきたいと思います。

 

http://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2019/10/10/171625

 

以前書いた、ポーカーの基本原則の記事です。

 

原則1「大きなベットにはフォールドを多くしてコールは少なく」

(実質的に降りない時のレイズの割合は高くなる)

原則2「小さいベットに対してはフォールドを減らしてコールを多く」

(実質的に降りない時のレイズの割合は小さくなる)

原則3「狭いベット(=強いレンジ)には、フォールドを増やしてコールやレイズを減らす」

原則4「広いベット(=弱いレンジ)には、フォールドを減らしてコールやレイズを増やす」

原則5「広くベット(レイズ)する時は小さめに」

原則6「狭くベット(レイズ)する時は大きめに」

 

ただし、これらはオールインという特殊ルールが近くない状態、十分深いスタックを持っている状態での話です。

 

自分の考えるエクスプロイットは、この原則を本当に忠実に守ることです。ソルバーが推奨するプレイは、本当に綺麗にこの原則を守る印象です。

逆に言えば、この原則からハズれればハズれるほど、期待値を失います。

この原則を相手に外させることこそ、また外れたことをさせることこそ、エクスプロイットになるのだと思います。

 

 

原則1「大きなベットにはフォールドを多くしてコールは少なく」

(実質的に降りない時のレイズの割合は高くなる)

これは逆に言えば

EX原則1「フォールドが少なく、コールが多く、降りないときのレイズの割合が低いリークがある相手には大きなベットをせよ」

です。これって、よく見るエクスプロイットの記事の主眼の一つだと思います。

 

原則2「小さいベットに対してはフォールドを減らしてコールを多く」

(実質的に降りない時のレイズの割合は小さくなる)

これは逆に言えば

EX原則2「フォールドが多くコールが少なく、実質的に降りないときのレイズの割合が高いリークがある相手には小さくベットせよ」

です。ライブキャッシュだと、弱い専業とかにこのリークがある人が多い印象です。

 

原則3「狭いベット(=強いレンジ)には、フォールドを増やしてコールやレイズを減らす」

これは逆に言えば

EX原則3「フォールドが少なくてコールやレイズが多い相手には強いレンジでべットする」

です。これもよく見る、「降りない相手にブラフするな」ですね。

 

原則4「広いベット(=弱いレンジ)には、フォールドを減らしてコールやレイズを増やす」

これは逆に言えば

EX原則4「フォールドが多くてコールやレイズが少ない人には広いレンジでベットせよ」

です。EX原則2と合わせて、これはライブMTTでよく見る光景だし、そういうエクスプロイットを主張する記事も見ますね。また、タイトパッシブ系の弱い専業相手にはやはり同様に通用します。

 

ここまでの原則とEX原則をきっちり守るのです。

 

 

 

原則5「広くベット(レイズ)する時は小さめに」

この逆は

「広く大きいべット(レイズ)」をしてくる相手にはどうプレイすべきでしょう。

原則1と4から

「フォールドは多くコールは少なく降りないときのレイズの割合は高く。フォールドは少なくコールやレイズは多く」

前半と後半で、フォールドの多い少ない、コールの多い少ないがキャンセルしますね。どちらからも共通して残るのは、

「レイズは多く」

です。そう、怖いようでも、レイズをかなり広くしていくのがめちゃくちゃ得になるのです。

 

 

原則6「狭くベット(レイズ)する時は大きめに」

これは逆に言うと

「狭く小さいべット(レイズ)」をしてくる相手にはどうすべきか。

原則2と3から

フォールドを減らしてコールを多く実質的に降りない時のレイズの割合は小さく。フォールドを増やしてコールやレイズを減らす」

フォールドを多くと少なく、コールを多く少なく、がキャンセルします。共通して残るのは

「レイズを少なく」

です。降りるかどうかの判断は普通で良いのだけれども、レイズするのは相当控える、という感じです。

 

 

それから、通常ではありえない高い時給を出すには、

・高い参加率

・大きなポット

これが必須です。これは原則5の逆をやっているわけですよね。それはなぜ可能なのか。それはテーブルの平均的に、対戦相手がこれをエクスプロイットしてこないから

です。具体的には

「レイズが多く」

ないからです。

そう、別にこのプレイをして、コールされても全然痛くないんですよ。広く大きなベットをしている人は、レイズされるのが非常に困るのです。

ゲームのスタートはプリフロップです。

広くレイズする時に困るのは広めの3ベットです。それがされないならガンガン4bbで通常の2倍くらいのレンジでレイズしていきます。一方、3ベットを多用されるのならレイズはちょっと控えます。

広く大きく3ベットする時に困るのは原則から広めの4ベットです。コールは別に困りません。しかし、5-10くらいのライブキャッシュゲームでは、3ベットはともかく、4ベットは本当に狭いです。狭すぎます。なので、やりすぎな位3ベットするのは理にかなってるのです。ただし、レイズしてきた人のレンジが狭い場合、原則3に反するので駄目です。ライブキャッシュゲームでは、3ベットの少なさ(と、降りたら暇w)を根拠にアーリーから広くレイズするアグレ専業がそれなりに居ます。そこを狙い撃つのです。

また、アグレ専業は、こちらのレイズに対して広く3ベット仕掛けてきます。そこは相手が5べットオールインをやりすぎだという場合以外は、広く4べットを返すのです。

一方、一般的なプレーヤーが3ベットしてきた場合は、相当狭い3ベットであることが多く、しっかりフォールドします。

 

ライブゲームは、オンラインと違ってHUDが出ません。なので対戦相手の観察と、少ないハンド数からどういうタイプかを推測するチカラ、そして、その推測した結果を元に原則とEX原則に当てはめてプレイを返して行くのです。