木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ポーカーの進化とツールの影響1

ポーカーは比較的新しいゲームだということもあり、非常に速いスピードで進化しています。そして、それについて行けなくなったプロがどんどん駆逐されていく世界でもあります。

ポーカーにおける進歩という意味で、AIが占める位置づけはどの程度なのか。AIが出てくる以前と以降のプレーの差はどうなのか。そこを、ガッツリポーカーをやっている人向けに書いていきたいと思います。

 

AI(主にスノーウイーとソルバーを意識してます。ソルバーをAIと読んでいいかは議論の余地があるけど)が出てきて変わったプレーは大きく分けて2つ。

1、フロップやターンでのオーバーベット

2、ウエットなボードでの小さなベット

3、複数のべットサイズのバランス

この3つだと思います。

以前は、ボードによってべットサイズを変えるのはOKだけど、ハンドによってべットサイズを変えるのは良くないとされてました。

変えたほうがそのハンド単体で見たら得なことはそれなりにあるけど、そうすると他のハンドの時にバレてしまう。不完全情報ゲームでこちらの戦略がバレるリスクは非常に大きく、また強いプレーヤーはそういう相手のベットのサイズやタイミングや頻度などの変化に非常に繊細に対応してました。というか、今でも対応してます。

端的に言うと、ブラフは小さく打ちたいし、そこそこの強さのハンドは中くらいに打ちたいし、モンスターは大きく打ちたい。でもそうするとバレる。ばれないために全部中くらいに打とうよ、的な。

しかし、AIが登場して、変わったのは

「しっかりバランスを取って変化させたほうがもっと得じゃない?どうせポーカーはフロップターンリバーの3つしか無いんだから」

という感覚です。

ボタンがオープンしてBBがコール。

フロップAQ7ss

この時に、ボタンのCBのサイズが50%と150%の2通り使い分けるとして、50%のときと150%のときがハンドの構成が変わってきます。

50%にはエアーとそこそこのハンドと強めのドローが多く含まれ、セットなどは少なめ、的な。150%を打つ時は2ペア+がかなり含まれ、またガットショットもかなりこちらに組み込まれます。

全部70%で打つより小さくブラフできるし、強いハンドで大きく打てます。

ただ、これは少しでもバランスが崩れると単なるベットテルと変わらなくなり、そこを突かれると大きくやられてしまうことになるのです。そして、人間にはその繊細なバランスを保つのが非常に難しいのです。

以前はこのボードなら打つ時は全部70%でいいじゃん。と思われてたのですが、AIはむしろそういうバランスを取ることが得意だし、妥協という概念もないので、とことん得しようとしてきます。そして、AIがバランスの取れたオーバーベットを含むバランスの取れた複数サイズのプレーを示すようになります。人間が自分でバランスを組み立てなくて良い、AIが示したバランスを大体どういうことか考え、プレーに利用する。それこそがAIが出現したことによるプレーの進化です。

 

しかし、です。繊細なバランスを達成することが出来た(事によって、べットサイズを複数使ってプレーできるようになった)のはAIによるものですが、その概念自体が新しいものでは全く無いのです。新しいけど、根本から新しいのではなく、より洗練されるきっかけになったのがポーカーAIの功績(罪?)です。

 

 

実は、ポーカー界には本当に根本から概念を覆すような出来事が2008年から2010年にかけて起こったのです。こちらはAIの出現というレベルを越えたインパクトのある出来事です。

 

2に続く