木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ポーカーの「正解」って何?

ポーカーにおける正解って何なのでしょう。

ふと思い立ってこんなアンケートをしてみました。

 

https://twitter.com/key_poker/status/1193440435726774272

 

ハンドのプレーを迷った時に、ソルバーに入れてみて

「ああ、これはコールしたほうが正解だったのか」

というような発言を目にします。

こういうのを見て、いつも思うのです。

「正解」って何?と。

 

数学のように、答えが定まっているものは「正解」は存在します。

ポーカーは、答えが定まっているのでしょうか。

お互いが強い前提での均衡解のプレーとしてはコールが解であるとして、それはあくまで均衡解であって正解ではないのですよね。

 

「均衡解的にはコールである。しかし、対戦相手が要素がわかっていれば誰もがフォールドする。」

こういう状況の「正解」とは何なんだろう。

 

アンケート結果では

10/76=13%の人がコールが正解

66/76=87%の人がフォールドが正解

と回答してます。

恐らく、思ったより多くの投票をしてもらえたので、ポーカーをどっぷりプレーしている人以外も投票してくれたのでしょう。そういう人はほぼフォールドを選ぶと思うので、自分の想像よりずっとフォールドが正解という回答が多かったです。

 

個人的にはこれ、この選択肢自体も正解がなく、宗教論争に近いと思うのです。信念というか。

個人的には、

 

 

100%

    初級者→殆どがフォールドが正解を選ぶ

10%

    中級者→少しコールが正解を選ぶ人が増える

1%

    上級者の下→一番、コールが正解を選ぶ率が多い

0.1%

    上級者の中→コールが正解を選ぶ人が減りはじめる

0.01%

    上級者の上→コールが正解を選ぶ人は激減

0.001%

    強いプロ→殆どがフォールドが正解を選ぶ

 

 

という感じになりやすいんじゃないかなと思います。やればやるほど、ポーカーって難しいし、「正解」的なものが分かればどんなに楽なんだろうと思うのです。

 

 

しかしまあ、87%の人が「フォールドが正解」だとしているわけで、均衡解的なものより、より実戦的なプレーを正解だと思っているわけです。

でも一方で、87%のうちそれなりの人が

「ソルバーによると、コールが正解」

というような表現をついついしてしまっているのではないでしょうか。

自分はそういう表現をよく見ますし、だから気になってこのアンケートを作ってみました。

 

 

面白かったので、将棋でもアンケートをしてみました。

https://twitter.com/key_poker/status/1193886339126591488

 

将棋を問題にしてみました。

これ、自分のフォロワーだから必至をかける方を選択する人が多数派ですが、将棋の棋士のフォロワーだったらどういう結果になるんだろうと気になります。

 

ただ、自分自身としてはですね、将棋の問題は必至をかけることを選ぶとは思うのですが、将棋の場合は

「不正解だと分かっていて、より勝ちやすい方を選択する」

という思考なんですよね。

 

 

自分は、割と一般的に

「これが正解、というものはない」

と思っているのです。

ただ、よく誤解されるのですが、正解が無くても不正解はありえるのですよ。

AKQ65のボードのリバーで、23でオールインすることは正解かもしれないし、正解ではないかも知れない。

しかし、23で相手のオールインをコールすることは確実に不正解と断言出来ます。

将棋も同じじゃないかなと。

次にこちらの玉が詰む状態で、それを放置して攻めるのは

「不正解」

です。対戦ゲームの面白いところは、こちらが不正解を選んだが故に、相手がもっと大きな不正解を犯してくれるということがあるのです。

 

そもそも、将棋界でよく言われていることですが、

「不利な時はお互いが最善を尽くしたら負けだから、正解は存在しないのでは?」

という話です。ポーカーの場合は運が絡むゲームなのでそういう要素はないですが。

不利な時は相手がミスをしてくれないと絶対に勝てない。それならばどこでミスをしてもらう可能性が高いかを考えるのが最善を尽くすということじゃないだろうか、と。

一方で、有利な時は正解があるのですが、個人的には、

「次善手とされる手でも、有利が続くならばそれは依然として正解である。ただ、それを選ぶことで、その後の正解の幅が狭くなる」

だと思うのです。

評価値的なもので言うと、+1500から+100になる手はまだ正解の範疇だけど、+100から-100になる手は正解ではない、なんじゃないかなと。

でも、人間的には+1500から+100になる手はダメですよね。

なので、人間同士で戦っている以上、結局正解という概念自体が違うんじゃないかと思うわけです。

 

結局、勝てばOKが勝負ごとの世界です。

将棋の場合は、受けて不利でない局面では

「詰めろを放置する」

のは確実に不正解。ただ、人間要素的に、それによって勝率をあげることが出来るかも知れない。

 

ポーカーの場合は、こちらの情報は見えてないので、コールされたら負けな23でオールインという行為は不正解ではないのです。そこが完全情報ゲームと不完全情報ゲームの違いなんじゃないかなと思います。