木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

AKQJゲームとポラライズ

AKQJのカードが1枚ずつあります。

強さは普通に

A>K>Q>J

です。

一人には、Kが配られ、それは相手にも分かってます。

もう一人には、AQJの3枚のうちどれかがランダムに配られます。

ポットは100ドル。これでポーカーをします。あなたはどちらを持ちたいですか?

 

 

まず、ポットベットまでしか許されて無いとします。

Kの立場からすると、ポットベットの必要勝率は33.3%

つまり、ブラフが3回中1回以上含まれていたらコールします。

逆にブラフが3回中1回以下ならフォールド。

ちょうど3回中1回ならコールでもフォールドでも良いということになります。

それをブラフする側の立場で考えてみましょう。

Aでバリューベットします。

3回中1回ブラフだと、相手はコールでもフォールドでも良いという頻度で、それより多いと全部コールされて損しますし、それより少ないと全部フォールドされて損します。つまり、3回中1回ちょうどブラフするようにします。

なので、例えばQを全て諦めて、Jを半分ブラフします。

そうするとKは、コールしてもフォールドしても期待値は同じなので、簡単のために全部フォールドするとして、

AとJの半分→AQJ側の勝ち

QとJの半分→Kの勝ち

ということになって、期待値的に勝率50%と同じになるのです。この場合は、AQJ側を持っても、K側を持ってもどちらも同じなのです。

 

もし、ダブルポットベットがオールイン金額だとしましょう。

Kの側からすると、必要勝率40%。

本物:ブラフ=3対2の時にコールでもフォールドでも良くなるので、AQJ側はそういう頻度になるようにします。

つまり、全てのAと、Jの2/3でオールインして、全てのQと、Jの1/3で諦めます。

この時、K側はフォールドでもコールでも同じになるので

AとJの2/3→AQJ側の勝ち

QとJの1/3→K側の勝ち

となります。

つまり、AQJ側は

 

  1/3  +   1/3  ×   2/3   =5/9

Aが来る確率   Jが来る確率  ブラフする頻度

 

で勝ち、同様に1/3+1/3×1/3=4/9で負けるのです。

 

つまり、ダブルポットベットが許される場合は、AQJ側の勝率は実質的に5/9、つまり55.5%と同じなのです。

逆に、本来66.6%勝っているはずのK側は、実質的に勝率44.4%と変わらない勝負をすることになるのです。

 

なぜこんなことが起こるか。

それは、難しい言い方をすると、

「K側のレンジがキャップされていて、AQJ側のレンジはポラライズされている」

からなのです。

もっと平たく言うと、

「AQJ側は自分のハンドが勝っているか負けているか分かっているけど、K側はそのハンドが勝っているか負けているかが分からない」

から起こるのです。

 

でもこれ、実際のポーカーじゃないよね?と思うかと思います。

しかし、これと同じようなことが、ドロー対メイドハンドで起こります。

ドローハンドの価値が上がるのはこれが原因なのです。