木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ポーカーや麻雀における運と実力の割合

取材を受けると、

「ポーカーにおいて、運と実力の割合はどれくらいですか?」

と聞かれることが多々あります。

この質問って、非常に答えづらいです。短期だったらとか長期だったらとか言い出したらキリがないですが、本質的に一番答えづらい理由としては

「単位が揃ってない」

ってことです。

すごく平たく言うと

「1メートルと1キログラムはどっちが大きいですか?」

って聞かれたら、答えるのって無理だと思いませんか?

直径1ミリメートルの針金1メートルと1キログラムだったらどっちが大きいですか?なら、どちらもキログラムに単位が揃ってますので答えられるのです。

 

例えば、10bb/100位の実力がある人(ライブの良くあるくらいの勝ち組)が300ハンド(1日の稼働ハンド数)打ったとしましょう。

すると、1日で30bbくらいの利益を見込むことが出来ます。

一方、標準偏差は100ハンドなら、ざっくり100bb/100くらいです。NLHEならもうちょっと小さいし、PLOならもうちょっと大きいですが、まあざっくりのオーダーとして。すると、300ハンドならルート3倍して、170bbくらいが1σ。タイトな人なら小さくなるし、ルースなら大きくなります。

一日の結果で平均的にチャラからどの程度離れるかという数字ですね。

まあ、こんなもんって感じがしませんか?

そうすると、分散(運の要素)が170bbで実力が30bb、運と実力の割合は85対15と言えるでしょう。

全く同じゲームにもっと強い人が参加してて、その人の期待利益は30bb/100だとすると、1日で90bb。

すると、170対90で65対35くらい。

 

一方、これを300日繰り返したとすると、ハンド数は9万。

標準偏差は100×ルート(90000÷100)=3000

一方実力の部分は、30×300=9000

運対実力=25対75

もし30bb/100の実力なら、実力部分が27000になるので、

運対実力=10対90

になるのです。

 

こうやって強引に単位を揃えて強引に仮定を当てはめて、本来は結果から推測するしかない期待利益を分かっているものとして、その上で期間を決めてやっと計算できるのです。しかもこの数字はテーブルごとに違うはずですが、それもざっくり均一にしてるわけですし。

 

 

 

うんまあ、こんなことを取材の場で言っても理解してもらえないですよねw

なので仕方なくこう言います。

「まあ大体五分五分と思ってください。一日単位だといくらでも負けるし、一週間単位でも普通に負けうるけど、一ヶ月単位だとほとんど負けないですね」

 

さっきの数字で、30日(9000ハンド)、30bb/100だと、標準偏差が950bb、期待利益が2700bbになるわけです。3σ行くとマイナスになりますね。実際はその他にホテル代とかもかかるわけですが、まあ一ヶ月単位だと「ほとんど負けない」という表現がぴったりかなと思います。10bb/100の期待利益だと、標準偏差が950bb、期待利益が900bbなので、7割方勝つけど、負ける月もある、くらいになります。

これですら、

「毎日、比較的ぬるいライブキャッシュゲームだけを打ち続けたら」

という仮定が入っているわけです。トーナメントとかは含めず、です。

そして、高いレート(きついレベルとほぼイコール)だと、期待利益が下がるのでより一ヶ月単位でのマイナスは起こりますね。

 

 

まとめると、運と実力はどれくらいの割合ですか?と聞かれたら

 

実際の発言「まあなんとも言えないけど五分五分ですね」

心の声「単位が揃ってなくて答えようがないからそんなこと聞かないでよ!」

 

ってな感じですw