木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

フォールドエクイティーの話

自分がブログを初める前に、ツイッターでフォールドエクイティーの話を書きました。それをブログ記事としてまとめ直して見ようと思います。

 

そもそも、以前ツイッターでアンケートを取って、予想通りかなり多くの人が誤解をしていたのですが、フォールドエクイティー(以下、FEと略します)は、「エクイティー」とあるように、期待値です。

単位はbbでもドルでも良いのですが、ここでは換算しやすいようにbbで統一します。

 

で、多くの人の誤解ですが、FEを「降ろせる確率」と思っている点です。

つまり、

「AKでオープンして、相手がコール。フロップXXXで、ここでベットしたらFEは○○%だから」

的な。でもそれだと、期待値じゃないですよね。

正しい認識は、降ろしたことによる期待値、です。

例えば、こちらがAA、相手が78。ターンの時点でボードが56KQ。ポットが44bb。

相手のアウツは44枚中8枚なので、ここで期待値通りにポットを分配すると、自分が36bb、相手が8bb。

ここで、44bbのオールインをしたら、相手はフォールドします(コールしてくれたら非常に美味しいです!40bbを追加で投入して、相手の取り分は132bbのうち8/44なので、24bb。差額の16bbもこちらは得します)。

 

その時、期待値通りに分配してたら8bbあるはずの相手のエクイティーが、0になります。逆に言うと、自分の期待値は8bb増加します。これがFEなのです。

 

逆に言うと、相手が27だった場合、ターン時点のこちらの勝率は100%です。つまりこの場合、ターンでオールインしたら、相手がフォールドする確率はほぼ100%ですが、FEは0なのです。

 

 

 

では別の問題。こちらが78を持っていて、ボードがKQ65。ポットは44bb。

残りスタックは44bb。相手はチェックでこちらのターン。

相手はK以上を持っている確率は50%でこれは絶対コール。

相手がQを持っている確率は20%で、これは半分コール。

相手がAJ、AT、JTを持っている確率はそれぞれ10%で、これは全部フォールドさせることが出来る。他の可能性はない、としましょう。

 

チェックで回った際の期待値は、KかQを持たれていた場合は8アウツ。AJ,ATの場合は14アウツ、JTの場合は10アウツですから、

44×(8/44×70%+(14+14+10)/44×10%)=9bb

なので、相手のエクイティーは35bbです。

 

オールインしたら40%降ろせるので、フォールドエクイティーは、35bb×40%=14bb。

コールされた時はこちらの勝率は8/44。追加で88bbのポットが増え、そのうち16bbが自分の取り分ですから、オールインする際の追加のリスクは24bb。(2020/1/9注、28bbの誤り)

そのうち、40%は降ろせるので、コールされるのは60%。

なので、オールインブラフのリスクは24bb×60%=14.4bb。(2020/1/9注、28bb×60%=16.8bbの誤り)

 

リスクが14.4bbでFEが14bb。ギリギリオッズに合わないかなあ。

(2020/1/9注、リスクが16.8bbでFEが14bb。ちょっとオッズに合わない)

 

でも、こういうのをオールインすることで、こちらはKK,QQ,77,66,KQ,AA,AK等のモンスターハンドでもオールインすることとのバランスを考えたりすると、そちらのバリューベットにコールして貰える可能性が増えます。

一方で、本当はリバーでベットラウンドがありますので、チェックで回して引いたらプラスのインプライドオッズがあります。逆に、リバーで7か8を引いた場合にJTにオールインされて降ろされるインプライドオッズがあったり、9を引いてJTに負けるインプライドオッズもありそうです。

それらのバランスを考えて、プレーを決めるわけです。

 

 

こちらの勝率が低い(当然その時のエクイティーも低い)時の方が、FEは高くなります。勝率(=勝つ確率)が低いときにエクイティーが低いのは当然ですが、これは単に比例しているだけです。

そこから誤解して、エクイティー→勝率→確率

と誤解して、FEをフォールドさせることが出来る確率、となっちゃったのかなと思います。余談ですが、この勘違いは、日本人だからというものではなく、英語がネイティブの人もかなりの割合で勘違いしてます。言葉は生き物なので、勘違いしている人が大多数派になって、FEが「降ろせる確率」、を意味する時代が来る可能性も無くはないかもしれません。「期待値」の誤用が市民権を得てしまったように。