木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

ドンクベットについて

すっかり記事の更新が滞り、気づいたら年が明けてしまってました。

昨年始めたこのブログですが、2019年も宜しくおねがいします。

道場でドンクベットについて質問を受けて、長くなるのでせっかくだからこちらにもっとしっかりまとめて記事として書くことにします。

 

まずは用語の定義から。

「ドンクベット」とは、

一つ前のストリート(フロップでのドンクベットならプリフロップ、ターンのドンクベットならフロップ)でポジションが無いところから相手のベットやレイズをコールし、次のストリートでベットやレイズした人の順番が来る前にベットすること。

 

例えば、Aさんがボタンからレイズ。BさんがBBでコール。

フロップ359

 

Bさんベット。

これがドンクベットです。

 

Bさんチェック、Aさんチェック。

ターン2

 

Bさんベット。これはドンクベットではありません。フロップでベットが入ってないですから。

 

別のハンド。

Aさんがカットオフからレイズ。Bさんがボタンからコール。

フロップ249

 

Aさんベット。これはドンクベットではありません。CB(コンティニュエーションベット、継続ベット)といいます。Aさんがプリフロップのレイザーで、Bさんがコーラーだからです。もし、Aさんがレイズ、Bさんがボタンから3ベット、Aさんコール、でフロップでAさんが先にベットしていたら、これはドンクベットです。

 

Aさんさんチェック、Bさんベット。これもドンクベットではありません。

特に名前はありませんが、統計ツールではBMCB(ベットtoミスドCB、CB打たなかった人に対するベット)という項目で表します。

 

 

別のハンド。プリフロップでAさんがボタンからコール。BさんがBBでチェック。

フロップ48T

Bさんベット。これもドンクベットではありません。プリフロップでレイズが入ってないですから。

 

 

ところで、ドンクとはdonkeyです。ロバ。つまり、ドンクベットとは

「ロバベット」

です。ロバベットってなんだよ?って思うかもですが、もっと日本語としてぴったり来る言葉に意訳すると、

「ウマシカベット」

ってことです。

 

 

ドンクベットがなぜ「ウマシカベット」という名前がつくくらい馬鹿にされるかと言うと、

「もしベットするくらい強い手が入っているなら、一回前のストリートでコールしかしてないのは変じゃない?なのに先にベットするって辻褄が合ってない。そういうことすらわからずベットするのはウマシカだ」

という理屈です。

 

なので、Aさんがボタンからレイズ、BさんがSBからコール、CさんがBBからコール。

フロップXXX

こうなったら、BさんCさんは、プリフロップのレイザー(レイズした人)のAさんまでチェックで回すのが自然なプレーだと言う感じです。

セットのような強い手でもそうすることで、相手のベットを牽制する意味合いもあるのです。

 

 

じゃあドンクベットはしないほうが良いの?

そう言う風に聞こえますよね。

 

最初のうちは、そんなもんだくらいで思って置くと良いです。しかし、ある程度強くなってくると、ドンクベットが必要になるシチュエーションはそれなりにあるのです。

 

1、ターンかリバー、主にリバーで、ナッツが劇的に変わるカードが落ちた時。

例えば、ターンでボードが2s4d9sTh

BBチェック、ボタンベット、BBコール。

リバー8s

みたいな。ターンナッツのTTがリバーですごくいろんなハンドに逆転されてます。これだと、引いたときとブラフを混ぜ合わせて、リバーでドンクベットすることがかなり有力になります。

 

2、超マルチウエイの時。

ライブで良くあるのですが、

UTGコール

UTG+1コール

MPレイズ

COコール

SBコール

BBコール

UTGコール

UTG+1コール

6人ポット。フロップXXX

基本的に、プリフロップでレイズした人はAAを持っている可能性が存在するけど、コールしかしなかった人は持っていないだろうと予想します。

AAがフロップ時点ですでに逆転されている可能性は結構低いから、AAの可能性がある人までチェックで回しましょう、という感じですが、6人ポットだと、そもそもプリフロップ時点でのAAの勝率は50%を切ります。それなら、最初にレイズした人がベットしてくる可能性はそんなに高くないし、だったらセットとかの強い手を他の人が持っていてドンクベットするのは有力じゃないか、という感じです。

 

3、PLOやPLO8のように、プリフロップのエクイティー差が小さいゲームをプレーしている時。

ポーカーとはホールデムだけではありません。PLOもポーカーだし、スタッドもポーカーです。そして、PLOでもドンクベットという用語は共通です。

オマハ系のゲームは、仮に1対1であっても、AAXXがフロップで既に不利であることはよくあります。それなら、オリジナルレイザーまでチェックで回す必然性は非常に下がります。

ちなみにPLOやPLO8では、フロップはともかく、ターンやリバーのドンクベットは非常に大切になります。

 

 

余談ですが、ドンクベットという用語は、もともとオンラインポーカープレーヤーの用語です。

アメリカのライブ専門のおじさんとかは、こういう用語を使わないし、知らないことも多いです。そんな時に、ハンドの議論で、全然悪意なく

「このフロップであの人がドンクベットして・・・」

という会話をしたりしますが、その時に「あの人」がこの会話を聞こえていたりすると、

「何だと!馬鹿なベットとはふざけるな!」

と喧嘩になることがある(少なくても数回見たことはあるw)ので、注意しましょう。