木原直哉オフィシャルブログ

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オーバーベットについて、解説編

http://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2018/08/21/134354

前回の記事の続きです。

 

200bbずつ持ち。プリフロップでボタンからAIが2.5bbにレイズ。人間がBBからコール。

フロップAQ8r (ポット5bb)

人間チェック。AIがベット20bb。

 

 

このフロップですが、人間側のハンドレンジにナッツ級のハンドはほぼありません。

というのは、AA、QQ、88、AQはどれも3ベットに回るハンドです。

A8が3ベットするかどうか半々と言ったところで、Q8はコール側が濃厚です。

一方、AIのレンジには、AA、QQ、88、AQ、A8、Q8はすべて含まれています。

つまり、ボタンレイズ、BBコールというこのフロップでは、BB側にナッツ級のレンジが存在せず、レイザーだけにナッツ級のレンジが存在するのです。

 

ですので、200bbのディープスタックでは、BBはボタンのベットに対してレイズすることが殆ど出来ないのです。リレイズされてコールできるハンドがほぼ存在しないですから。

 

ところで、前回の記事を思い出してください。

安い金額に対しては広いレンジでコールをして、高い金額に対してはフォールドオアレイズの戦略を取るのが良い対抗戦略だと話しました。

しかし、このフロップは、BBはレイズできるハンドはほぼないのです。

相手は高い金額に対するフォールドオアレイズ戦略のレイズの選択肢が失われている状況です。なので、高い金額でベットすることが有効になるのです。

このゲームは200bb持ちなので4倍ポットを打ってますが、普通の100bb持ちのゲームなら5bbのポットに対して8bb位を打つのがよく見かけるプレーだと思います。するとターンで21bbで残り89.5bb。ターンとリバーのポットベットでオールインになります。ターンで7割くらいにして、リバーでオーバーポットオールインも有力でしょう。

フロップでのこのサイズのベットを、2ペア+とストレートドロー(KTとかJ9とか)とバックドアトドロフラドロ(K5sとか)でやるのが良いです。

特に引いた時にナッツにならないJ9のストドロはオーバーベット側に組み込みます。Tを引いた時に、相手からKJが出てくることがほぼ無くなるでしょうし。

イメージとしては、レンジの強さでゴリ押しする感じです。

ただ、このベットをすべてのハンドでやるわけではありません。A6とかKQとかではチェックや小さいベットをする方が自然でしょうし、56オフのようなハンドもちょっとやりすぎ(とはいえ有力ではある)だと思います。

 

ちなみに、同様な考え方はターン以降でもあります。

ボタンが2.5bbにレイズ。BBがコール。

フロップ279hhs(5bb)

チェックチェック。

ターン3d

BBベット12bb。

このフロップはどちらもナッツ級が存在します。BB側は99だけ薄いですが。

相手がフロップでベットをしなかったので、トップペア以上を持っている可能性は非常に低いです。よくあるパターンはAXです。Aハイのハンドの強さを活かしたいというプレーですね。

ターンで73や33や23s以外に改善することがないカードです。

この時BBは、かなりのレンジでオーバーベットが有効になります。ボタンはセットのスロープレーをしてない限り、相当レイズしづらいのです。

 

基本となる考え方は、安いベットにはコールヘビー。高いベットには絞ってフォールドオアレイズ。

しかし、これをさせないプレーをしましょう、というのがAIが推奨するオーバーベットであって、盲点になるけど実はかなり合理的なプレーだと思います。