木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

トッププロからみた、入賞直前のプレー

kihara-poker.hatenablog.com

 

ライブトーナメントのお話、第3段です。上の記事の続きです。

先週の話で、トッププロがQToで入賞直前にオールインをコールして敗退という話を書きました。

チップリーダーが下位10%のハンドを降りていたとしたら、QToはほぼ五分です。

平均勝率50%とすると、コールすることで450ドルの期待値を失うということは前回の記事で書きました。

450ドルもの期待値を失うコールをするなんて、このプロは有名人なのにバブルファクターも分からないのか、大したことないな、と思うかも知れません。

 

しかし!

 

ことはそこまで単純じゃないのです。

この有名プロは、トーナメントに出ずにキャッシュゲームをやっていたら、時給200ドルとか300ドルとか、もしかしたらもっと大きな数字を出す事が出来る人なのです。それなのにトーナメントに出るのはなぜかと言うと、トーナメントが好きだったり、優勝の名誉が欲しかったりするからなのです。決して、お金が欲しくてトーナメントに出るわけじゃないのです。お金のことを考えるのなら、キャッシュゲームを打つべきなのに、お金の期待値を考えて入賞までフォールドするというのも実は非常に行動が矛盾しているのです。

 

仮に勝率が50%だとして、降りたら9bb、コールして勝ったら22bbになるので、チップ期待値は+2bbです。チップ期待値は基本的にそのまま優勝確率と比例します。優勝だけをみるならコールする方が正しいのです。そこそこなハンドが入って、入賞直前という状況を利用してチップリーダーが弱いハンドでもオールインしてきてくれている、絶好のチップを増やすチャンスでもあるのです!

さらに、その後少しはバブルが続きます。チップリーダーはやはり広くプレーしてくるでしょう。その時、また入賞を無視してチップを増やすためにリスクを取れば、優勝確率はもっと高くなるでしょう。賞金期待値をまた捨てることになりますが・・・

 

 

基本的に、しっかり勝てるトッププロにとって、

「お金とはプレーすれば自然に増えるもの」

なのです。時給300ドル出せるプロにとって、1500ドルのトーナメントに出て敗退するのは、1500ドルを失ったというイメージより、5時間分の労働の結果を失った、という感覚なのです。

優勝する確率を下げて平均で2時間長くプレーして期待値450ドル多く取るという行動は、実は損な行動、ということになります。バブル前の時にリスクを取って敗退したら、その時間でキャッシュゲームに行くことが出来るのですから!