木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

2014年のWSOPメインイベントの1ハンドとテルの話

*超長文注意!3000字です!

 

パンローリング社さんから、新しく出た

「テルを見抜け」

の本を献本していただきました。4割位読んでますが、そうそう!!!と思える内容ばかりです。今までのスキル系の本とは違ったテイストですが、かなりおすすめの良い本だと思います。読み終わったらレビュー書きます。

また、最近出た別の本

エドミラーのポーカースクール」

も頂き、半分ほど読みました。こちらは強い相手に如何にプレーするかというのを完全に置いておき、如何にぬるいテーブルで弱いプレーヤーから稼ぐか、ということに主題を置いた本ですね。こちらも読み終わったらレビュー書きますが、これからどんどん強くなりたいと思って読む本ではなく、経験値が少ない人がぬるいライブポーカーでいかに勝つかをメインにしてます。

 

さて、「テルを見抜け」の本を読んでて、一つのハンドを思い出したので書きます。

2014年のWSOPメインイベント。3万点スタートから12万点でデイ2に進出。かなり上位のスタックを持ってました。

デイ2は増えたり減ったりでほぼ12万点のまま、7時間ほど経過。

ブラインドは500-1000、アンティ100のラウンドです。

(以下、チップ量やレイズ額は正確には覚えてません)

その中で、一人のおじさんのテルに気づいてました。テルは、そうかもと思ってもその場で信用してはいけなく、思った後何度か検証作業が必要です。そして、そのおじさんは参加率がそこそこ高いためテルの検証をする機会が複数あり、結果的にかなりの信頼度で合ってると言うことができるものでした。

それは何かと言うと、弱いハンドでレイズするときはチップを置いた後に指で弾き、強いハンドだったらそのまま置くかスライドさせ、指で弾かない、というものです。

確証を得るまでショウダウンまで行かないといけないのですが、6時間過ぎてやっと確証を得ることが出来ました。残り3時間ちょっとでどれくらいおじさんからそのテルを利用して取れるかな、と思ってました。

しかし!!!!!!!

自分のテーブルが次の次にブレイクする順番が来てしまいました。そんな・・・

 

そして、その時、おじさんは10万点持ち。UTG+1から2600にレイズ。チップを置いた後、指でチップを弾きました!そして、HJに新たに移動してきた9万点持ちの若いプレーヤーがコール。自分がSBで、ハンドが・・・83o

テーブルブレイクが近くなかったら、せめてもっとマシなハンドを選んだでしょう。しかし、テルを利用したブラフはラストチャンスに近い状況です。また、自分はほとんどブラフをショウしてきてませんでした。やるしか無い!

リレイズ、メイク10800。

BBが降りておじさんもフォールド。一安心、と思いきや、HJの若いプレーヤーが時間を使ってます。

「(降りていいよ、降りていいよ、ほらWSOPメインイベントは長いから)」

しかし、HJのプレーヤーはコールを選択。非常にめんどくさい状況です。

 

フロップ245r (ポットは26100)

お、かなり良い方のフロップです!べット11200。HJコール。

ストドロになってないスーコネ系はほぼ降ろせるはずでしたがコールされました。

可能性としては、小さくないペア、AQ、AJs、ATs。後はAKが半分くらいと、わずかにセットのスロープレーなどでしょうか。

 

ターンT (ポットは48500)

依然としてレインボーです。ここでベットすればAQ,AJは降ろせるでしょう。また、88,99当たりも降ろせるかも知れません。しかし、オールインされたら相手のオールインは最強のオールインに近くなるので、非常にもったいない事になってしまいます。

チェックで回して貰うことも願ってチェック。

相手は15200点のべット。

コールした場合、必要勝率はおよそ19%。単純に8アウツがほぼ勝ちで、それは46枚中8枚なので17%強あります。

また、引いた時に追加で取れるのは確定でしょう。逆に引けなかった時に取られるのはブラフ失敗以外にあり得ません。コール以上するのは確定です。

では相手は何を持っているのでしょうか。

AK、AQ、AJはかなり薄いでしょう。というのは、このボードでチェックされたらチェックしてリバーをみるのがあまりに普通です。特にAKはプリフロップでおじさん相手に一回コールしたとしても、自分の3ベットに対してはオールインしてきた可能性も高いので、より薄いでしょう。

ATは十分有り得そうです。

JJもありそうなところです。

TTはほぼ間違いなくこのプレーラインを取ります。

QQはプリフロップからJJよりは若干可能性は低いですが、フロップ以降は一緒でしょう。KK、AAはかなり低いでしょう。

そして、89sのようなフロップでの弱いバックドア持ちハンドからのフローティング(弱いハンドで一回コールして後でブラフするプレー)も可能性は低いながら頭の片隅には入れておくべきです。

それから、フロップセットのスロープレーが薄いながら考えます。

22,44,55はプリフロップで降りる可能性が高く、コールしてもこのフロップならスロープレーせずにレイズするほうが普通でしょう。そうなると、ターンで22,44,55がこのアクションで残ってる可能性はかなり低いです。とはいえ、無視してもいけません。

 

 

そこまで考えた上で、引いた場合の打つ金額も考えます。リバーでAが落ちたら23kくらいの小さいべット。リバーで6ならオールイン。

Aと6以外が落ちた時に何でブラフ出来るのかを考えます。

それは・・・K

相手から見たら、こちらのハンドはかなりAKが濃厚に見えるんじゃないでしょうか。コールした場合、78900点のポットに5万点残り。オールインされても降りれないので先にオールイン。自然です。さらに、相手のハンドの可能性として、KXは本当に少ないです。

相手のハンドの可能性として88からQQまでのペア、ATなどはほぼ降ろせます。不運にもセットを引かれていたら終わりですが、その時は諦めます。5万点で8万点を取りに行くブラフなので、39%降ろせれば良いのですが、十分それは見込めます。

そして、それ以外のカードは諦めよう。

 

そこまで3分弱考えてプレーを決めた上で、コール。

 

リバー 3

 

3????

自分で1枚持ってたカードなので、完全に思考から抜けてました。

え、3って・・・

結構ブラフできそうに見えるけど、相手にAを持たれていたら即コールされる。

混乱し、そして・・・チェック。

 

相手は10秒ほど考えてチェック。83を見せると、相手はQQをショウ・・・

 

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正直、ここ4年で一番悔やまれるプレーの一つです。

ターンでベットされた次点で3について思考が巡っていれば・・・

恐らくA持ちとA持ち以外のバランスを考え、相手がAQ,AJだった場合のプレーについてもその場でもっと思考し、39%以上降ろせるという結論に達していたと思います。

 

 

結局ここで8万点までスタックを減らし、テーブル移動。移動先で600ー1200アンティ200のレベルになり、参加するハンドでことごとく負けて最後のレベルで飛んでしまいました。

自分を信じて83で3ベットしたことは全く後悔ないです。フロップとターンのプレーも問題ない。しかし、ターンで思考から抜けていた3がまさに来て、それに対して一番正しいプレーが出来なかった。タラレバは良くないのは分かってますが、これを降ろして16万点でテーブル移動してたらどうなっていたのだろうとも思ってしまうのです。