木原直哉オフィシャルブログ

プロポーカープレーヤー、木原直哉が、思ったことを書いていきます。道場やってます。https://lounge.dmm.com/detail/308/

次男が誕生しました!

昨日(8月25日)、次男が誕生しました!

予定出産で、28日に出産のはずでしたが、24日に突然破水からの25日に産まれました。

それでも3510gとかなり大きめの赤ちゃんです。

 

ところで、8月28日はA七段の誕生日で、8月29日はB七段の誕生日。どちらとも仲良くさせて頂いているのですが、そこでA七段もB七段も、

「どっちの誕生日と一緒かは随分違うね」

と冗談を言ったりしていました。そして、前週の検診で、予定出産の日を28日決定したときは、A七段の勝ちか?的な感じでしたが、そんなやり取りを知ってか知らずか、次男は

「やっぱりもっと早めに出ていくよ」

と早く出てきました。ちなみに、8月25日は妻の姉(子どもから見るとおば)の誕生日ですね。

 

 

まあ冗談みたいな話はいいとして、子どもが健康で産まれてくるかどうかは運の要素が非常に大きいです。

流産したりすることもそれなりにはあるのですが、それも殆どは運です。よく、親が自分の行動を責めたりしがちですが、妊娠中にタバコを吸いまくるとか泥酔しまくるとかの絶対的な間違いを犯してない限り、親の責任ではありません。

逆に、健康に産まれてくれたことも運ですし、それは非常に感謝です。

ところで、検診等では何も見つからなかったのですが、今回の出産の途中、赤ちゃんが苦しそうにしてるとお医者さんがおっしゃったそうです。

で、緊急帝王切開の準備をしはじめたところ、二人目ということもあり、すっと出てきてくれて、特に異常もなかったのですが、臍帯卵膜付着という状態だったとのことです。これ、ぐぐったらなかなか怖いもののようで、緊急帝王切開をできるような設備が無かったら、出産時に赤ちゃんが亡くなることがかなりあるもののようで、これの時はほぼ帝王切開して産むことになるとのことです。

今回は二人目かつ、すっと出てきてくれたので、帝王切開も不要で子ども無事でしたが。

すごくすべて順調に行った出産であっても、こういうリスクが実はあったりするんですよね。

 

ただ、産まれたら確実に大きくなれるかどうかも分からないです。突然どんな病気になるかわからないし、どこで避けられない自己に巻き込まれるかも分かりません。

その上で、幸運を祈りつつ出来ることをするというのが子育て、というか人生全部そうかなと思います。

 

これからの子どもの人生に幸あれ! 

オーバーベットについて、解説編

http://kihara-poker.hatenablog.com/entry/2018/08/21/134354

前回の記事の続きです。

 

200bbずつ持ち。プリフロップでボタンからAIが2.5bbにレイズ。人間がBBからコール。

フロップAQ8r (ポット5bb)

人間チェック。AIがベット20bb。

 

 

このフロップですが、人間側のハンドレンジにナッツ級のハンドはほぼありません。

というのは、AA、QQ、88、AQはどれも3ベットに回るハンドです。

A8が3ベットするかどうか半々と言ったところで、Q8はコール側が濃厚です。

一方、AIのレンジには、AA、QQ、88、AQ、A8、Q8はすべて含まれています。

つまり、ボタンレイズ、BBコールというこのフロップでは、BB側にナッツ級のレンジが存在せず、レイザーだけにナッツ級のレンジが存在するのです。

 

ですので、200bbのディープスタックでは、BBはボタンのベットに対してレイズすることが殆ど出来ないのです。リレイズされてコールできるハンドがほぼ存在しないですから。

 

ところで、前回の記事を思い出してください。

安い金額に対しては広いレンジでコールをして、高い金額に対してはフォールドオアレイズの戦略を取るのが良い対抗戦略だと話しました。

しかし、このフロップは、BBはレイズできるハンドはほぼないのです。

相手は高い金額に対するフォールドオアレイズ戦略のレイズの選択肢が失われている状況です。なので、高い金額でベットすることが有効になるのです。

このゲームは200bb持ちなので4倍ポットを打ってますが、普通の100bb持ちのゲームなら5bbのポットに対して8bb位を打つのがよく見かけるプレーだと思います。するとターンで21bbで残り89.5bb。ターンとリバーのポットベットでオールインになります。ターンで7割くらいにして、リバーでオーバーポットオールインも有力でしょう。

フロップでのこのサイズのベットを、2ペア+とストレートドロー(KTとかJ9とか)とバックドアトドロフラドロ(K5sとか)でやるのが良いです。

特に引いた時にナッツにならないJ9のストドロはオーバーベット側に組み込みます。Tを引いた時に、相手からKJが出てくることがほぼ無くなるでしょうし。

イメージとしては、レンジの強さでゴリ押しする感じです。

ただ、このベットをすべてのハンドでやるわけではありません。A6とかKQとかではチェックや小さいベットをする方が自然でしょうし、56オフのようなハンドもちょっとやりすぎ(とはいえ有力ではある)だと思います。

 

ちなみに、同様な考え方はターン以降でもあります。

ボタンが2.5bbにレイズ。BBがコール。

フロップ279hhs(5bb)

チェックチェック。

ターン3d

BBベット12bb。

このフロップはどちらもナッツ級が存在します。BB側は99だけ薄いですが。

相手がフロップでベットをしなかったので、トップペア以上を持っている可能性は非常に低いです。よくあるパターンはAXです。Aハイのハンドの強さを活かしたいというプレーですね。

ターンで73や33や23s以外に改善することがないカードです。

この時BBは、かなりのレンジでオーバーベットが有効になります。ボタンはセットのスロープレーをしてない限り、相当レイズしづらいのです。

 

基本となる考え方は、安いベットにはコールヘビー。高いベットには絞ってフォールドオアレイズ。

しかし、これをさせないプレーをしましょう、というのがAIが推奨するオーバーベットであって、盲点になるけど実はかなり合理的なプレーだと思います。

 

 

オーバーベットについて、前提知識編

最近、AIの進化によって、フロップでのポットオーバーベットを見かけるようになってきました。しかし、どういう状況の時にオーバーベットが有効なのか、非常に難しいと思います。そこで、例を出しつつ、解説したいと思います。

 

http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1702/03/news028_2.html

この記事は、2017年1月に行われたAI対人間のNLHEのHU勝負について書いた記事。ここでAIがしたオーバーベットについて書いてます。

記事は一般向けなので、せっかくなのでもっとポーカーをやる人向けに解説し直してみます。

 

200bbずつ持ち。プリフロップでボタンからAIが2.5bbにレイズ。人間がBBからコール。

フロップAQ8r (ポット5bb)

人間チェック。AIがベット20bb。

 

 

今回は解説に入る前に、前提知識についてお話します。

このハンドの解説については次回以降。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ところで、プリフロップでレイズした人がフロップでベットすることをCB(コンティニュエーションベット。日本語にするなら継続ベット)と言います。

ボタンがレイズ、BBがコール。フロップ289。BBチェック、ボタンベット、みたいなベットです。何故かと言うと、ボタンにはAAやKKが含まれるけど、BBには含まれない。AAやKKに勝てるハンドなんてそうそう入らないので、全然絡んでなくてもとりあえずベットするのは価値が高い。というのが元々考え方で、それ自体はそこまでずれた考え方ではありません。

しかし、AAですら現状ではワンペアであって、99、88、22、98には既に負けてます。非常に強いハンドではあるのですが、ナッツ級ではないのです。それでも、AAを持っていたら、フロップベットに相手が降りたら残念と思う程度には有利であることは間違いないですし、そういうハンドをレンジに含んでのCBは非常に価値が高いのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レイズサイズについて。

2008年くらいまでは、プリフロップのレイズ金額は3bbから4bbが標準とされていました。3bbだと小さいと言われてました。

その頃までは、3ベットはモンスターハンドでしかすべきではないというのが一般的な考え方でもありました。しかし、たくさんのハンドをこなすうちに、広いレンジでの3ベットの有効性に気づいたプレーヤーがどんどん3ベットをするようになります。そのプレーは(今となっては当然と思うかもですが)有力なので、たくさんのプレーヤーが真似をするようになりました。そして、2009年から2011年にかけて、どんどん3ベットをしていく時代に突入します。2011年頃は、やりすぎなほど3ベットが増えました。ライト3ベットですね。

ちなみにライトは、頻度が高いことを意味し、金額が安いという意味ではありません。勘違いしている人が多いので補足。

すると当然増えていくのは4ベットです。そして、当然のように5ベットも増えます。

 

次第に、コールするくらいなら3ベットした方が得なんじゃない?

3ベットにコールするくらいなら4ベットした方が得なんじゃない?

という風潮が出来上がります。そして、OOP(アウトオブポジション。ポジションがない場所のこと)からはフォールドオアレイズで、コールするのは良くないプレーだ、という主張をする人たちもかなりいましたし(ちなみに自分はそれには反対でしたが)、そこまで行かないまでもOOPからのコールはかなり少なかったです。

 

ところで、OOPからコールされないのであれば、レイズは小さくて良いですよね。

相手がコールしてこないのなら、スチールは2bbで十分です。小さくスチールすれば、3ベットされて降りるときの損失も少ないです。AAやKKが入っていたときは大きくレイズしておいたほうが良かったとは思うけど、でも3ベットされるのであれば4ベットすることで十分美味しいです。

 

そういうロジックで、プリフロップのレイズ金額は、2.5bbですら大きいという感じになっていき、2bbでのオープンがかなり流行ります。

 

ところで、3ベットについても同様のことが言えます。

OOPから4倍、IPから3倍が3ベットの基本的な金額でしたが、3ベットに対してもコールされることが極端に減って、4ベットオアフォールド、に近い状況になってきました。すると、IPから2倍、OOPから2.5倍くらいの高頻度の3ベットをする人が増えます。それでも結降ろせるので、もっと安くする人も登場しました。そして、頻度はどんどん高くなっていったのです。

具体的に言うと、アグレな人は6マックスで

VPIP/PFR/3b/4bレンジ、が28/25/15/12

というような感じですね。もちろんフロップ以降も安く高頻度にガンガンベットしてきます。

 

2013年くらいから、そういうオーバーアグレを食う戦略を取る人が増えてきます。

自分がまさにそうだったのですが、こういうオーバーアグレな人に対しては、実はコーリングステーションになるのがベストなのです。

金額が安いので、とにかく何かあれば降りる必要がない。モンスターハンドを持っててもレイズとのバランスを取りつつ、スローが有力。

 

そう、安いベットに対しては、高頻度でコールをするのが対抗戦術として有力なのです。そうして、コールをするプレーヤーが増えてきたことで、オーバーアグレなプレーヤーは次第に駆逐されていきます。

コールが増えてきたので、プリフロップの2bbレイズはかなり減ってきます。次第に2.5から3bbのレイズが標準になり、3ベットも8%程度に落ち着く、というのが今の状況なのです。

 

ところで、ベットやレイズの金額が安い場合の対抗戦略について歴史を見ながら説明しましたが、金額が高い場合の対抗戦略はどうなるでしょうか。

それは当然安い場合の逆で、マージナルなハンドでのコールを減らし、フォールドオアレイズ戦略を取ることなのです。

 

ここまでの話は主にプリフロップの話でしたが、金額の高い安いについてはフロップ以降についても全く同じことが言えるのです。だって、論理的には同じことですよね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

以上、CBの意味と、ベット金額についての話でした。

 

収束について

何度か話題になってますし、自分も何度か意見を書いたことはありますが、ブログに書いたことは無かったので改めて書いてみようと思います。

 

まず大前提として、「ブレ」はハンド数の平方根に比例して大きくなります。

標準偏差という概念があるのですが、それはあるハンド数をこなしたときに、平均的にどれくらい平均値から離れるか、というものです。

例えば、コインの裏表のゲームをしたとしましょう。

100回繰り返すと、不正がない限り平均で50回表が出ます。

そして、この問題の場合、標準偏差は5です。

つまり、50回からのブレを計算した場合、その平均値は5となるのです。

さらに、平均値(=期待値)から1標準偏差以内である、45回から55回までの間に来る割合はざっくり68%、2×標準偏差以内の40回から60回までの間にくる割合はざっくり95%となります。

五分のオールインを100回やって39回以下しか勝てなかったり61回以上勝てたりするのは合わせて5%しかないんです。

 

ところでこの標準偏差、ハンド数のルートに比例して大きくなるのです。

100回なら標準偏差は5でしたが、400回なら2倍の10、900回なら3倍の15、10000回なら10倍の50となるのです。

つまり、100回のオールインをした場合5回くらいブレるのが普通ですが、10000回オールインを場合、50回分くらいブレるのが普通なのです。

「確率は収束するって言うじゃない?おかしいじゃん?」

って思うかも知れません。しかしですよ、1回当たりで見ると100回のときは100回中5回のブレ、だいたい5%ですが、10000回のオールインなら0.5%。

そう、トータルでは平均との差は増えていくのですが、1回あたり(100回あたり、でもいいけど)で見ると、平均との差は小さくなっていくのです。

 

さて、100回コイントスをして、58回表がでました。この時、40回から60回の間に来る確率は95%なので、まあ確率の範囲内と言えるでしょう。

では表が62回出たら?

35回から65回の間に来る確率は0.5%くらい。そろそろイカサマを疑いますが、確証があるほどではありません。

しかし、表が75回出たら?

これが本当に起こったのなら、確率のブレと言うよりはこのコインで表が出る確率は50%よりは高い(=イカサマ)可能性の方が高いと言えるでしょう。

 

 

 

では逆に、表が出る確率が53%のコインを使ってこのゲームをしたとしましょう。

 

100回すると、期待値は53回ですが、標準偏差は5なので、48から58回に来る確率が68%。期待値はプラスですが、まだ負ける可能性は普通にあります。

この状態で、100回は確率が収束したと言えるでしょうか。普通は言わないでしょう。

 

900回すると、期待値は477回ですが、標準偏差は15なので、462回から492回の間に68%、447回から507回の間に95%。

まあまあ負ける可能性は低そうです。これは収束したと言えるのかどうか、ひとそれぞれな気がします。

 

10000回すると、期待値は5300回。標準偏差は50なので、5250回から5350回の間に来る確率が68%。5200回から5400回の間に来る確率は95%。5150回から5450回の間に来る確率は99.5%。

つまり、10000回やれば、必勝と言っていいのです。

この状態だと、多くの人は収束したと呼ぶんじゃないでしょうか。

 

 

つまり、一般的に収束したと呼ぶには、その人がどの程度勝てるかに依るのです。

そして、トータルでマイナスの人は、どんなにプレーしても収束することはないとも言えるんじゃないでしょうか。

 

 

矢澤亜希子さん、2回目のバックギャモン世界チャンピオンに

既報の通り、バックギャモンの世界選手権で矢澤亜希子さんが2回目の優勝、世界チャンピオンになりました。本当におめでとうございます!

https://twitter.com/akikoyazawa/status/1026210698316140546

 

この大会は、ポーカーで言うところのWSOPメインイベントに相当する大会で、本当の世界チャンピオンです。

矢澤さんは2014年に優勝してます。2回の優勝は日本人初、女性初の偉業です。

自分は矢澤さんとはお互いがバックギャモンの超初心者の頃からよく一緒に遊んで来た仲で、もう知り合ってから17年になります。

当時良く一緒に夜通し遊んでいたのは矢澤さんの他に、2009年のチャンピオンで世界ランキング1位の望月さん、将棋のプロ棋士の片上七段、2011年のチャンピオンの鈴木琢光、T君、F君、Nプロなどなど。当時はみんなお金が無かったけど、とにかく若くて体力があったし、よく朝まで一緒に遊んでました。

矢澤さんは当時は阿部さんで、旦那さんの矢澤広伸さんは当時のバックギャモンの日本トッププレーヤーの一人。矢澤広さん、Nさん、Kさん、Iさんなどがプロではない当時のトッププレーヤーでしたが、みなさん他に仕事があったりであまり朝まで遊ぶことは無かったです。そう考えると、朝まで遊んでいたメンバーが世界チャンピオンになっているのはまあそうだよなあと言う感もありますが・・・

 

矢澤亜希子さんの特徴としては(少なくても自分にはそう見える、というものですが)、ぼやっと先を見通すのが非常に正確、という印象です。

それだけなら他のトッププロも強いのですが、矢澤さんは対戦相手が犯しやすいエラーを含めて先の局面を考える事ができる、という感じなのです。

そういう強みがあるので、一見感覚派かと思いきや、日本人のバックギャモンプロ4人(望月、景山、中村)の中では一番、数学の能力に長けています。

矢澤さんは体力がそこまで無く、ゲーム中にずっとピップカウントを追い続ける(ランニングピップカウント。ゴールまでの必要な総出目数を数え続けること。出来たら有利だけど体力をすごく消耗する)のは得意ではないですが、その分を必要なときの計算能力や処理能力で補っているのだと思います。

元々の、対戦相手要素を含めたぼやーっとした先の展開読み能力に加えて、(バックギャモンでは誰もがやっているけど)ソフトを使った研究で正しいアクションを身につけていく。さらに対戦相手に応じてプレーを適切に変える能力。そこに数学的な力が加わったプレーヤーなのです。

 

自分も仲間の活躍を見ると、またバックギャモンの世界選手権に出たいなあと感じます。なかなか家を開けられないですが。

数年前まではWSOPとかぶっている時期にやっていて、ポーカー以外の要素で出れなくなってから時期がWSOP後に変わったのですw

 

 

再びになりますが、矢澤さんおめでとうございます!

これからも活躍していくと思いますし、自分のブログの読者で彼女をご存じない方がいらっしゃったらぜひこの機会に覚えておくことをおすすめします。

 

 

 

正しいハンドリーディングとは

久しぶりに真面目なポーカーの戦略系の話を書こうと思います。

 

一般的に、相手の手を読むというと

「あの人は○○を持っている」

というのを当てることだと思っている人が大多数でしょう。

もちろん、状況によっては相手のハンドが分かることが極々極々たまにあります。しかし、ポーカーにおいて、真の意味で読むとは何なのかを説明していこうと思います。

 

例として、お互い200bb持ちのキャッシュゲーム。

COからスタンダードなプレーヤーが3bbにレイズ。自分がBBで7s7dでコール。

 

フロップ(6.5bb)

3d4h8c

 

自分がチェック、相手ベット5bb。コール。

 

ターン(16.5bb)

3d4h8c Jh

 

自分がチェック、相手ベット12bb。コール。

 

リバー(40.5bb)

3d4h8c Jd Kh

 

自分チェック、相手ベット32bb。どうする?

 

 

こういうシチュエーション、よくありますよね。そこで相手が何を持っているかを考えるわけですが、そんなの正直分かりようがありません。こういう時の正しいリーディングを書いていきたいと思います。

 

 

以下、線の間は長いので、読み飛ばしても可。ただ、真剣に勉強したい人は読んでください。入れた数字は適当です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一番簡単なのは強い順に考えます。

相手がKKだったら

プリフロップレイズ? Yes(100%)

フロップベット? Yes(95%)

ターンベット? Yes(80%)

リバーベット? Yes(100%)

KKは有り得そうですよね。

同様に、JJ、88、44、33は?

Yesが4つ並びます。全部ありえます。

 

次に強いのはKJですが

プリフロップ? Yes(95%)

フロップベット? わからない(?%)

ターンベット? Yes(70%)

リバーベット? Yes(100%)

フロップでベットしてくるかどうかだけ分からないですよね。

 

次はK8ですね。

プリフロップ? スーテッドだったら半々?でも薄いかな。

フロップベット? Yes(80%)

ターンベット? わからない

リバーベット? Yes(100%)

 

次はK4、K3ですが、プリフロップ?で普通Noだし、仮に参加してもターンでNoの可能性が高く考慮から外します。

 

次はJ8ですが、プリフロップ?スーテッドなら半々?

フロップベット? Yes(80%)

ターンベット? Yes(95%)

リバーベット? Yes(80%)

プリフロップで参加していたらリバーまでこういうアクションになりそうですよね。

 

J4、J3、84、83、43はスーテッドでもプリフロップでNoですよね。

 

次はAK、KQです。

プリフロップ? Yes(100%)

フロップベット? わからない

ターンベット? わからない

リバーベット? Yes(70%)

AKでフロップとターンの両方をベットしてくる可能性はどれくらいあるんでしょうか。KTだと?

 

次はJ持ち。AJ、QJJTですが、

プリフロップ? Yes(100%)

フロップ? わからない

ターン? Yes(70%)

リバー? わからない

 

次にペア。QQ、TT、99

プリフロップ? Yes(100%)

フロップ? Yes(80%)

ターン? Yes(70%)

リバー? わからない

 

次に8持ち。

A8、T8s、98s、87s、86sくらいかな。

プリフロップ? Yes寄りだけど分からない

フロップ? Yes(70%)

ターン? わからない

リバー? No

 

最後に、これがめちゃくちゃ重要なのですが、こちらが勝っているハンド。

A4、A3 

プリフロップ? スーテッドならYes。オフスートならわからない。

フロップ? Yes寄り

ターン? 多分No

リバー? No

あまりなさそう。

 

AQ、AT、A9、A7、A6

プリフロップ? Yes(A7、A6はスーテッドのみかな)

フロップ? わからない

ターン? わからない

リバー? わからない

何とも分からないですよね。

 

A5、A2

プリフロップ? スートならYes、オフならNo寄り。

フロップ? Yes寄り

ターン?  わからない

リバー? わからない

ただし、AQ、ATよりは3発打ち切ってくる可能性はありそう。特にハートのスーテッドなら。

 

QT,Q9、T9は?

プリフロップ? スートならYes、オフはQTがYes寄りでQ9とT9がNo寄り。

フロップ? わからない

ターン? わからないけどYes寄り

リバー? わからない

 

76s、75s、65sは?

プリフロップ? Yes

フロップ? Yes

ターン? わからない

リバー? わからない

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

わからない、と書いたところが結構ありますよね。

そして、リーディングとは、その相手が自分に対して、「わからない」と書いた部分をどうプレーしてくるか。それを読むのです。それこそがリーディングなのです!!!

 

例えば、ラスベガスの5/10に良くいるような

「ドローがあったら絶対ベットするし、リバーで滑っても頑張ってくるけど、マージナルなハンドはすぐチェックする30代くらいの専業風」

が相手だとしましょう。

すると、AK、KQなどのわからないはNo寄りになります。

Jヒット系も、リバーでNoがつく場合が多そうです。

そして、A5、A2はYes寄りになり、ドローになるようなQT9の組み合わせはかなりYes寄りになります。

765の組み合わせもかなりYes寄りになります。

そう考えていくと、そういう相手には

「リバーでベットされたので勝率が十分高いと判断できる」のです。だって、バリューでリバーを打つ組み合わせ、少なくないですか?

 

一方、本当に強い人相手だと、薄いバリューもしっかり打ってくるので、こちらが負けているハンドでバリューを打ってきたり、ドローの時に途中でチェックが混ざる可能性から、3発打ち切った時にバリューベットである頻度がずっと高くなり、リバーでコールした時にはトータルで負けている可能性が高いでしょう。ただ、必要勝率は30%くらいなので、ブラフが30%混ざっているかどうかを真剣に検討するのです。

 

再びになりますが、今日のエントリのまとめ。

「リーディングとは、相手のハンドを当てることではなく、相手が特定のハンドをどうプレーしてくるかを読むことである」

 

オリンピックは商業利権に従うべきだ

連日暑いですね。毎日35度になって、熱中症の心配も大きいです。

 

この影響で、2年後に東京で行われるオリンピック、暑すぎて大丈夫なの?対策したほうがいいんじゃない?という声がたくさん聞こえます。

 

よく上がる話としては、

開催を秋にしたら?

→北米のアメフトやヨーロッパのサッカーとかぶるから無理

→オリンピックほどのイベントなのに、そういう商業利権に合わせるっておかしくない?選手の命の方が・・・

 

○○のイベントは☓☓の国で人気だからという理由で、競技時間が競技に向かない時間になるのはどうなの?

(さすがにマラソンはかなり時間を考慮するようではありますが。日本で人気なスポーツなのもありますし)

 

という話をよく目にします。

しかし、人気が莫大とは言えないゲームをある程度真剣にやってきた自分からすると、これらの意見は非常にズレていると感じるのです。

 

自分はバックギャモンをそれなりにやってました。

バックギャモンの世界的な愛好家は3億人と言われています。

毎年モナコで行われるバックギャモンの世界選手権は、その年の真の世界1を決める大会です。その世界チャンピオンは、ポーカーにおけるWSOPメインイベント優勝、将棋の名人に当たるような位置づけです。

その世界選手権ですが、日本人では2009年に望月正行さんが、2011年に鈴木琢光さんが、2014年に矢澤亜希子さんが優勝して、世界チャンピオンになってます。望月さんは2010年に世界ランキング1位になり、その後2012年に2位になりますが、2014年に1位に復帰してからはずっと1位です。

プレー人口3億人の中で、名実ともに世界トップを継続しているわけです。

それなのに、バックギャモン界以外、特に母国の日本での知名度の低さは何故なんでしょう。

それは、バックギャモンがメディアに取り上げて貰えていないから以外の何者でもないと思います。

 

オリンピックは4年に1度ですが、夏に300個、冬に100の金メダリストが誕生します。

正確には団体競技があるので、金メダリストの数で言ったらもっともっと多いです。

まあ何れにせよ、4年で400の金メダル競技があるわけです。

しかし、バックギャモンの世界チャンピオンはポーカーのWSOPメインイベント優勝と同じで、たったの4人なのです。

なのに、バックギャモンの世界チャンピオンは世界では知られていないのに、オリンピックの金メダリストは(マイナーな競技であっても)知名度が非常に高くなるのです。

 

オリンピックの金メダリストの知名度がこんなに高くなるのは当然、バックギャモンの話と正反対で、メディアに取り上げて貰えるからです。

オリンピックがこれほどまでに名誉ある大会になったのは結局のところ、こうやってメディアにたくさん取り上げてもらえるから名誉ある大会と言われるようになり、それがまたメディアに取り上げてもらえるきっかけになり…と、正の循環を繰り返して来たからです。オリンピックそのものが最初からすごい大会というわけではないです。そもそも歴史だって100年ちょっとしかないわけです。

 

結局何が言いたいかというと、オリンピックが名誉ある大会として認めてもらえているのは、商業利権に利用してもらえているからなのです。商業利権に利用してもらって築き上げられた名誉。その名誉を口実に、商業利権を批判するのは非常に違和感があるのです。

自分はオリンピック選手ではないですが、多少プレー環境が悪くても注目して貰える方が、優勝しても殆ど取り上げてもらえないよりずっと良いと思います。バックギャモンの不遇を思うとさらにその思いは増していきます。

また、どんな環境で勝負が行われようと、選手はみんな同じ環境でプレーするわけで、そこはフェアです。プロはその環境に合わせて準備するべきだし、環境を結果の言い訳にしてはいけない。商業利権の恩恵を一番受けているのは、人気がある競技のトッププロです。現役トッププロ側から真夏の五輪開催への不満を見たことは自分はないです。それは彼らは商業利権から恩恵を受けていることを自覚してるからだと思うし、一般の人がそういうプロの健康や体調、命を気遣う必要はないと自分は思います。

 

ただ、観客の体調や命を気遣っての批判なら理にかなっていると自分はまた思っています。それでも、その観客も、オリンピックだから見に来るわけで、同じ競技の日本選手権を見に行く人は超少数ですよね。結局の所、オリンピックは商業利権に従ってプログラムを組まざるを得ないのは仕方ないことだと思っています。